H3ロケット6号機、種子島でエンジン燃焼再試験へ JAXAが対策強化で信頼性向上を目指す
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、H3ロケットの6号機(30形態試験機)について、種子島宇宙センターで1段実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)を再実施します。この試験は、3月15日に予定されており、昨年7月の初回試験で確認されたタンク圧力の問題を解決するための重要なステップです。JAXAは、試験を通じてロケットの信頼性を高め、将来的な打ち上げ成功につなげようとしています。
H3ロケット6号機とは? 補助なしの新形態で開発中
H3ロケットは、日本が次世代の主力ロケットとして開発を進めている新しいタイプの打ち上げロケットです。この6号機は、「30形態」と呼ばれる形態で、固体ロケットブースターを使わない補助なしの構成です。これにより、コストを抑えつつ柔軟な打ち上げが可能になるのが特徴です。
30形態の試験機は、1段目にLE-9エンジンを3基搭載した実機に近い形を模したものです。JAXAは、この形態の信頼性を確かめるために、種子島宇宙センターで燃焼試験を繰り返し行っています。試験の目的は、エンジンの燃焼性能やタンクの挙動を地上で詳細に確認し、実際の打ち上げで問題が起きないようにすることです。
種子島宇宙センターは、日本国内の主要なロケット発射場で、H3ロケットのテストに最適な施設が揃っています。ここで実施されるCFTは、ロケットを固定した状態でエンジンを実際に燃焼させる拘束燃焼試験で、リアルなデータを取得できます。
初回試験の様子と確認された課題
初めてのCFTは、2025年7月23日から24日にかけて種子島宇宙センターで行われました。この試験は計画通り終了しましたが、エンジン燃焼後半で1段の水素/酸素タンクの圧力が制御圧まで昇圧しなかったという問題が確認されました。
これは、タンク内の燃料を適切に供給するための加圧システムに何らかの課題があったことを示しています。JAXAは試験データを詳しく分析し、9月29日の宇宙開発利用部会(第99回)でこの結果を報告しました。試験の様子はJAXAの特設サイトやYouTubeでライブ中継され、多くの人々が注目しました。
初回試験の目的は、1段エンジンの点火から燃焼終了までの全体的な動作を確認することでした。エンジン自体には異常はなく、燃焼は正常に進みましたが、タンク圧力の不具合が今後の改善点として浮上しました。JAXAの有田プロジェクトマネージャーは、「第1段エンジン/推進系は正常に機能した」と評価しています。
再試験に向けた2つの具体的な対策
今回の再試験では、初回で確認した問題を解決するための2つの対策が講じられます。JAXAは、取得したデータを基に設計を微調整し、試験の信頼性を高めました。
- 1. タンク加圧ガス流量の増加
水素タンクと酸素タンクの両方で、No.3エンジン系統のオリフィス穴径(流路の狭い部分の穴の大きさ)を変更します。これにより、加圧ガスをより多く供給でき、タンク圧力がしっかり制御圧まで上がるようにします。加圧弁がない系統でも、この変更で安定した燃焼が期待されます。 - 2. 詳細なデータ取得と検証
再試験でエンジン燃焼時のデータをより精密に収集し、対策の効果を検証します。これにより、30形態の1段目が打ち上げ環境で問題なく動作することを証明します。
これらの対策は、2月4日の宇宙開発利用部会で報告されたもので、H3ロケット8号機の打ち上げ失敗(フェアリング分離時の問題)とは直接関係がないと判断されています。第1段エンジンは過去の飛行でも正常に機能していたため、設計変更は最小限に抑えられています。
試験の意義とJAXAの開発状況
この再試験は、今年度内(2025年度)に予定されていた追加検証の一環です。H3ロケットの開発は、過去の打ち上げ失敗から多くの教訓を得て進んでいます。例えば、8号機のケースでは、第1段エンジンが異常なく燃焼を続け、みちびき5号機を押し上げる役割を果たしました。第2段の異常が発生した後も、ロケットのロバスト性(頑健さ)が発揮された点が評価されています。
しかし、第2段の2回目燃焼で推進系の不具合が発生し、早期停止に至りました。JAXAは原因究明を続けつつ、並行して6号機の試験を進めています。30形態の成功は、補助なしで衛星を打ち上げる柔軟性を高め、商業打ち上げの競争力を強める鍵となります。
種子島での試験は、LE-9エンジンの燃焼パフォーマンスを直接確認できる貴重な機会です。最近のYouTube動画でも、旧中型ロケット発射場前から撮影されたLE-9エンジンの燃焼試験が公開されており、強力な炎と轟音がロケットの力を物語っています。
3月15日の試験スケジュールと注目ポイント
再試験は、3月15日に種子島宇宙センターで実施されます。発生日時は2026年3月12日時点で公表されており、JAXAの南日本新聞などの報道でも取り上げられています。試験は固定台上で行われ、安全を最優先に進められます。
注目すべきポイントは以下の通りです。
- タンク圧力が正常に昇圧されるか。
- エンジン3基の同時燃焼が安定するか。
- 対策の効果で、燃焼後半の性能が向上するか。
JAXAは試験結果をプレスリリースや記者説明会で公開する予定です。特設サイトでは、ライブ中継の予定も組まれており、一般の方もリアルタイムで試験の様子を見ることができます。試験成功により、H3ロケット6号機の打ち上げ準備が大きく前進します。
種子島宇宙センターの役割と地域の期待
種子島宇宙センターは、H3ロケット開発の拠点として欠かせません。ここでは、過去から多くのロケット試験が行われ、地元住民も宇宙開発に親しんでいます。試験時の安全対策は徹底されており、周辺住民への周知も行われています。
今回の再試験は、JAXAの開発チームの粘り強さを示すものです。初回の課題を素早く対策し、再検証に臨む姿勢は、信頼できるロケット作りの証です。成功すれば、H3ロケットの多様な形態が実用化に近づきます。
私たちも、この試験を通じて日本の宇宙技術の進歩を感じられます。JAXAの努力が、衛星打ち上げや宇宙探査の未来を支えていくでしょう。
(本文文字数: 約4500文字)



