第一三共株価が反発 抗がん剤増産報道と新薬「ダトロウェイ」に注目集まる

第一三共(証券コード:4568)の株価が、年明けの東京市場で再び注目を集めています。抗がん剤増産に向けて約3000億円を投じるとの報道を手掛かりに、株価が反発したことに加え、2026年は新薬「ダトロウェイ」の本格的な評価と、新たな中期経営計画の発表が控える「節目の年」として、市場関係者の関心が高まっています。

第一三共の株価動向:年明けの推移と現在の水準

2026年に入ってからの第一三共の株価は、1月5日には終値3,530円、6日には3,451円とやや調整したものの、7日には3,470円(終値)と小幅に反発しています。出来高は526万9600株と、引き続き活発な売買が続いている状況です。年初来高値は4,564円(2025年1月22日)であり、現在の水準はそのピークからやや下がった位置にありますが、依然として高値圏と言えるレンジでの推移が続いています。

時価総額は約6.5兆円、最低購入代金は1単元(100株)で約34万円台となっており、国内製薬大手の中でも存在感の大きい銘柄です。

株価反発の背景:「抗がん剤増産へ3000億円」報道を好感

今回の株価反発の直接的な材料となったのが、「抗がん剤増産に向けて約3000億円規模の投資を行う」との報道です。この報道を受けて、市場では次のような見方が強まりました。

  • 第一三共が得意とするがん領域ビジネスを中長期の成長エンジンと位置づけていることの再確認
  • 主力抗がん剤の需要が世界的に高まり、増産投資が売上・利益拡大につながる可能性がある点への期待
  • 大型設備投資は企業にとって負担も大きい一方で、将来需要への自信の表れと受け止められやすいこと

実際に、第一三共は近年、抗体薬物複合体(ADC)をはじめとする抗がん剤で、世界市場における存在感を高めてきました。今回の増産報道は、その流れをさらに加速させるものとして、投資家心理を支える材料になっています。

2026年の重要テーマ1:「ダトロウェイ」のポテンシャルを見極める年

市場で「2026年の第一三共の見どころ」として繰り返し挙げられているのが、新薬「ダトロウェイ」の動向です。ダトロウェイは、第一三共が近年力を入れている新しい治療薬であり、同社の成長ドライバーとして期待されています。

すでに第一三共の2026年3月期中間決算では、主力品「エンハーツ」とともにダトロウェイの売上伸長が、10.5%の増収(売上収益9,754億円)に貢献したとされています。 一方で、中間期は増収ながら減益となっており、新薬の上市や開発、設備投資、販管費などのコストが先行している側面も見て取れます。

2026年は、次のような意味で「ダトロウェイのポテンシャルを見定める年」になりそうです。

  • 販売エリアや適応拡大による売上の立ち上がりが本格化するか
  • 医療現場での評価や、実臨床データに基づく安全性・有効性の確認
  • 他社製品との競合状況の中で、どの程度シェアを獲得できるか
  • 企業としての研究開発費・販管費とのバランスが、業績面でどのように表れてくるか

エンハーツに続く第二、第三の成長エンジンをどこまで育てられるかは、今後数年の株価を左右しうる重要なポイントです。その意味で、ダトロウェイの進捗は、個人投資家・機関投資家ともに注目せざるを得ないテーマとなっています。

2026年の重要テーマ2:新しい中期経営計画の公表へ

もう一つの大きなトピックが、第一三共が新しい中期経営計画を公表する予定

第一三共の場合、次のような観点が中期計画の焦点

  • がん領域、とくにADC事業をどこまで成長させるかという数値目標
  • ダトロウェイを含む新薬パイプラインの位置づけと、優先的に投資する開発テーマ
  • 今回話題となったような、増産投資・設備投資の方針や規模感
  • 株主への還元方針(配当性向、自己株式取得など)の考え方
  • 海外展開や提携戦略を含む、グローバル戦略

すでに、2026年3月期通期については、会社側が売上収益・EPSともに増加を見込む予想を示し、途中での上方修正も行われています。 アナリスト予想では、売上高2兆1000億円規模、純利益約2880億円といった水準が意識されており、第一三共が「2兆円企業」としての地位を固めつつあることが伺えます。

新しい中期経営計画で、これらの成長トレンドをどのように中長期目標へ落とし込むのかが、投資家にとっての大きな関心事です。

アナリスト評価:コンセンサスは「強気買い」

株式市場での第一三共の評価は、足元ではかなりポジティブです。アナリストコンセンサスでは、2026年1月7日時点で「強気買い」となっており、その内訳は強気買い11人、買い5人と、ネガティブな評価はほとんど見られません。

アナリストが示す平均目標株価は5,468円で、足元の株価(約3,470円前後)との比較では約58%の上昇余地があるとされています。 もちろん、これはあくまでアナリストの見立てであり、将来の株価を保証するものではありませんが、市場が中長期の成長力を高く評価していることの一つの指標といえます。

業績面でも、売上高は2023年3月期の1兆2784億円から、2025年3月期には1兆8862億円へと拡大し、2026年3月期は約2兆1000億円規模が見込まれています。 純利益も右肩上がりで増加しており、ROEも17%台と高い水準を維持しています。

中間決算のポイント:増収・減益、その中身は?

2026年3月期の中間決算では、売上収益が前年同期比10.5%増の9,754億円と堅調でしたが、一方で利益面は減益となりました。 この「増収減益」という結果には、いくつかの要因が考えられます。

  • エンハーツやダトロウェイなどの主力品・新製品の売上は伸びている一方で、研究開発費や販売費などのコストが先行している
  • 為替や原材料費など、外部環境の変動による影響
  • 一時的な費用計上や、前年度との比較における特殊要因

ただし、アナリスト評価や会社予想を見ると、こうしたコスト先行は「成長投資」として前向きに捉えられている側面もあります。 設備投資や研究開発に資金を投じながら、将来的な収益拡大を狙うという、製薬企業として王道の成長戦略を進めているとみることもできます。

話題株としての第一三共:他の注目銘柄との並びで取り上げられる存在感

株式市場のニュースでは、「話題株ピックアップ」といった形で、その日の注目銘柄がまとめて紹介されることがあります。最近の夕刊ベースのピックアップでは、第一三共はアストロHD、日本郵政などと並んで取り上げられる銘柄となっており、市場全体の中でも注目度の高い大型株として位置づけられています。

こうした「話題株」に選ばれる背景には、次のような点が挙げられます。

  • 抗がん剤増産や新薬関連など、ニュース性の高い材料が多い
  • 日々の売買代金・出来高が多く、投資家の参加が活発である
  • 国内外の機関投資家が注目する、グローバル製薬企業としてのポジション

個人投資家にとっても、ニュースに登場する回数が多い銘柄ほど、企業の成長ストーリーや株価の動きが追いやすいというメリットがあります。一方で、材料や思惑で短期的に株価が動きやすい面もあるため、決算内容や会社の公式発表とあわせて冷静に情報を確認していくことが大切です。

投資家が押さえておきたいポイント

第一三共の株に関心を持つ方が、今押さえておきたいポイントを整理すると、次のようになります。

  • 株価水準:2026年1月7日時点で終値3,470円。年初来高値4,564円からは一定の距離があるものの、業績・成長期待を背景に高値圏で推移。
  • 業績トレンド:売上は右肩上がりで成長中。2026年3月期中間決算は増収・減益だが、主力品・新薬の伸長で通期予想は上方修正。
  • 成長ドライバー:エンハーツに加え、新薬「ダトロウェイ」の売上貢献が本格化するかが焦点。
  • 投資計画:抗がん剤の増産に約3000億円を投じるとの報道があり、がん領域への集中投資姿勢が明確に。
  • 経営戦略:新しい中期経営計画の公表が控え、中長期の売上・利益目標や投資・還元方針が示される見込み。
  • 市場評価:アナリストコンセンサスは「強気買い」。平均目標株価5,468円と、現株価に対して上昇余地が示されている。

いずれのポイントも、第一三共という企業が「短期の値動き」だけでなく、中長期の成長ストーリーを意識して投資対象とされていることを示しています。医薬品・バイオ関連株は、研究開発の成否や承認審査、薬価制度の変更など、専門的な要素も多く絡みますが、そのぶん新薬の成功が企業価値を大きく押し上げる可能性を秘めています。

おわりに:ニュースと決算を丁寧に追いながら企業の成長を見守る

第一三共の株価が注目されている背景には、抗がん剤増産への大型投資ダトロウェイをはじめとする新薬の伸長、そして新中期経営計画への期待という、いくつもの材料が重なっています。

一つひとつのニュースだけを見て一喜一憂するのではなく、決算発表や会社の公式資料を確認しながら、企業としての方向性や成長性を丁寧に見ていくことが、医薬品株と付き合ううえでとても大切です。第一三共は、そうした長い目線での投資検討に値する企業として、多くの投資家から注目されていると言えるでしょう。

参考元