カナダの大手スポーツチャンネルがテコンドーを「忍者」と紹介し韓国で批判殺到
カナダを代表するスポーツチャンネル「TSN」が、韓国の国技であるテコンドーの動画を公式ソーシャルメディアで「NINJA TRAINING?」と紹介したことが、韓国で大きな波紋を呼んでいます。この投稿は11月28日現在、大きな議論の対象となっており、誤った表記と認識の問題が浮き彫りになっています。
問題となった投稿は10月下旬にシェアされた韓国のテコンドーチームの練習動画で、TSNはこのパフォーマンスに忍者の絵文字まで付け加えて紹介していました。投稿では「テコンドー」を示す表記は一切なく、「忍者」という言葉だけが強調されていたため、韓国のネット上では「テコンドーを日本的イメージで消費した」という非難が相次いでいます。
問題投稿の詳細と拡散の状況
TSNが投稿した動画は、インスタグラムで急速に拡散され、「いいね!」だけで約17万件に達しています。誠信女子大学のソ・ギョンドク教授が11月25日、自身のインスタグラムでこの問題を指摘したことで、韓国国内で広く知られるようになりました。
ネットユーザーからは、「ニンジャの絵文字を貼ったのを見ると、わざとこうしたようだが?」「スポーツ専門チャンネルだと言いながら基本的な事実さえ歪曲する」「テコンドーは韓国の武道なのになぜ日本式表現を使うのか」「影響力のあるメディアであればあるほど正確に仕事をしなければならない」といった抗議コメントが相次いでいます。また、TSNに直接訂正を要請したユーザーもいるということです。
ソ・ギョンドク教授による批判と指摘
ソ・ギョンドク教授は、「動画を見れば明らかにテコンドーの練習なのに、『NINJA TRAINING?』と紹介していた。テコンドーの宗主国とその競技に対する認識がいかに浅いかを示す事例だ」と批判しました。さらに、「テコンドー宗主国に対する低い認知度、アジア武術に対する統合的認識不足などが複合的に作用した結果」であると指摘し、今後の対応に関して「感情的な非難だけに終わらせるのではなく、正当な問題提起を通じて正しい名称と出所を示すよう求めることが何より重要だ」と強調しています。
過去の類似事例との関連
テコンドーに対する誤った認識は、今回が初めてではありません。2024年のパリオリンピック当時、国際オリンピック委員会(IOC)が公式ソーシャルメディアでテコンドー関連の映像を投稿する際、ハッシュタグを誤って「#Judo」と柔道と表記してしまい、物議を醸しました。この時も、ソ教授や韓国のネットユーザーが抗議したことで、IOCは後から表記を訂正した経緯があります。
こうした状況が繰り返されるという点について、ソ教授は「テコンドーとその発祥国に対する基本的理解が依然として不足しているという意味だ」と述べており、単なる誤記ではなく、より深い認識の問題が存在することを示唆しています。
テコンドーの背景とアイデンティティの問題
テコンドーは、韓国の国技として認識される武道です。オリンピック競技としても採用されており、世界的に知られている競技ですが、国際的な認識は必ずしも十分ではないのが現状です。今回のTSNによる「忍者訓練」という表現は、アジア文化に対する西側メディアの理解不足と、東アジアの文化を一括りにする傾向を象徴していると言えます。
韓国がテコンドー宗主国であることを考えると、この誤った表記は単なるミスではなく、テコンドー自体の価値や韓国文化に対する敬意の不足を反映しているという懸念があります。このため、韓国側からは、グローバルメディアに対して正確な情報発信と文化的理解を深めるよう求める声が強まっています。
今後への課題と期待
ソ教授は、感情的な非難だけに終わらせるのではなく、正当な問題提起を通じて直ちに是正するようにすることが重要だと述べています。この指摘は、今回の問題がただの誤字ではなく、国際的なメディアリテラシーと文化理解の問題として捉えるべきであることを示唆しています。
テコンドーの国際的な認知度向上と、正確な情報発信のためには、韓国だけではなく、国際的なスポーツメディアと国際オリンピック委員会も含めた関係者全体の努力が必要とされています。今後、このような誤認を防ぐための取り組みがどのように進むのか、注視される状況が続いています。



