紅葉彩る季節に、聖徳太子二歳像が特別開帳――滋賀県東近江市・瓦屋禅寺での「秘仏」公開

歴史薫る瓦屋禅寺が特別な秋を迎える

秋も深まるこの季節、滋賀県東近江市の瓦屋禅寺(かわらやぜんじ)では、紅葉とともに心に残る特別な催しが始まりました。普段は目にすることのできない「聖徳太子二歳像」が、期間限定で人々の前にその姿を現します。この特別開帳の機会は長い歴史の中でも数えるほどしかなく、地元住民のみならず歴史や信仰に関心を寄せる多くの参拝者がこの貴重な瞬間を求めて寺を訪れています。

「秘仏」聖徳太子二歳像――鎌倉時代の信仰と造形美

この聖徳太子二歳像は、鎌倉時代に太子信仰が高まる流れの中で製作されました。その由緒は大変古く、寺伝によれば、かつて瓦屋禅寺の境内「斑鳩殿(太子堂)」に安置されていたとのこと。明治時代の崖崩れによりその堂が失われた結果、現在は本堂に移されて大切に守られています。一度は失われかけた像ですが、紆余曲折を経て再び瓦屋禅寺へと戻り、今も多くの人々の信仰を集めています。

  • 鎌倉時代作の仏像
  • もともとは斑鳩殿(太子堂)に安置
  • 明治時代の崖崩れで本堂に移動
  • 一時は流出するも、縁あって寺に戻る
  • 現在も寺宝として特別に保護

他に類を見ない聖徳太子信仰の依代

聖徳太子は、日本の飛鳥時代に活躍した政治家・文化人であり、仏教の守護者としても知られています。その偉業は多くの人々の尊敬を集め、太子信仰という独自の宗教的伝承が生まれました。二歳像は、その太子信仰の象徴的存在。幼き日の太子を象ったこの像は、単なる彫刻作品でなく、歴史や人々の祈りが積み重ねられた深い文化的価値を持っています。

  • 太子信仰の中心的存在
  • 二歳の聖徳太子の姿を精緻に表現
  • 特別開帳はその教えと伝統を今につなげる貴重な機会

紅葉との共演――夜のライトアップで幻想的な体験

今回の特別開帳は、秋の紅葉シーズンにあわせて日中のみならず夜間のライトアップも実施されています。錦織りなす紅葉と荘厳な本堂、そして静かに佇む秘仏の姿。昼とは一味違った幻想的な雰囲気の中で、参拝者たちが祈りを捧げる様子は、この場だからこその特別な体験です。家族連れ、カップル、歴史好き、仏像好き…それぞれがここで特別な秋の思い出を抱いて帰る光景が見受けられます。

長い時を経ての公開――数十年に一度の貴重なご縁

聖徳太子二歳像の特別開帳は、基本的には数十年に一度という大変稀少な機会です。過去においては50年ぶりに公開されたこともあり、その際は一万人もの参拝者が瓦屋禅寺を訪れたといいます。今回の特別開帳もまた、人々の心に強い感銘を与える催しとなることは間違いありません。寺側も多くの方とご縁を結べることを喜びとしており、公式YouTubeチャンネルなどを通じて御開帳法要の様子も記録・発信しています。

  • 特別開帳は50年など長期間を経て実現
  • 数万人の来場者が訪れることも
  • 公式YouTubeチャンネルで法要の様子を配信

伝統文化と地域社会をつなぐ場としての瓦屋禅寺

瓦屋禅寺は単なる古寺ではありません。地域社会と深く結びつき、文化や歴史を未来へ伝える場として今もその役割を担っています。秋の特別開帳は、そうした伝統と現代の人々を結ぶ大切な催し。地元の子どもたちにとっても、地域の宝に触れ、その歴史や文化への理解を育む貴重な機会となっています。また、近年は御開帳の様子を記録・発信し、遠隔地の方にもその臨場感や文化的価値を伝えており、新しい時代の寺院のあり方を模索し実践しています。

  • 歴史的・文化的資産の保護・活用
  • 地域の教育や観光資源としても重要
  • デジタル配信など新しい試みも実施中

訪れる方へ――拝観のポイントと注意事項

特別開帳期間中は、多くの参拝者で賑わいます。混雑が予想されるため、お越しの際は時間に余裕を持ち、感染症対策やマナーを守って拝観をお楽しみください。夜間ライトアップの日程や拝観可能な時間帯は公式情報を確認のうえご来山をおすすめします。

  • 拝観前後の混雑時は寺院スタッフの案内に従う
  • 写真撮影の可否や禁止事項には事前確認を
  • 静かな環境を保つことへのご協力
  • 特別開帳が終わると、次の公開まで数十年を要する場合も

さいごに――この秋、心に残る文化体験を

滋賀県東近江市・瓦屋禅寺での聖徳太子二歳像特別開帳は、古来より積み重ねられた信仰と文化を現代に伝える大切な催しです。秋の紅葉と共に、歴史との出会い、地域の人々とのふれあい、そして現代技術による新しい発信。その全てが調和する空間で、ぜひあなただけの特別な時間をお過ごしください。

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