侍ジャパン、秋季キャンプで初の実戦形式練習 WBC新ルールに挑む
2025年11月8日、ひなたサンマリンスタジアム宮崎で行われた「侍ジャパン宮崎秋季キャンプ2025」3日目。この日、侍ジャパン代表選手たちは来季に控える「2026 WORLD BASEBALL CLASSIC™(WBC)」の実戦形式練習を初めて経験しました。今回の練習では、WBCで新たに導入予定のルールが最大限に採用され、次世代の世界大会へ向けてチームとして重要な“試運転”となりました。
新ルール適用の背景と目的——投手・捕手・野手全員が進化を求められる
今年の宮崎キャンプ最大の特徴は、NPB(日本プロ野球)ではまだ導入されていない「ピッチコム」と「ピッチクロック」の本格運用、および拡大ベースへの適応が大きなテーマであることです。ピッチコムは、電子機器を使って投手と捕手が素早くサインを伝達するシステム。ピッチクロックは、投手が球を受け取ってから投球を始めるまでの猶予を走者なし15秒、走者あり18秒に制限。さらには、前の打者が打席を終えてから30秒以内に次の打者が打席に入る必要もあります。打者は、残り8秒になるまでに打撃姿勢を完了しなければならないというルールも新設されました。
世界一を争う大舞台WBCで勝利を手にするためには、今までの「当たり前」から更なる適応力やスピード、コミュニケーション力が問われます。井端弘和監督は「今回の強化合宿や11月15・16日の韓国戦中で対応力を身につけてほしい」と、選手達への期待を語っています。
代表選手たちが新ルールに適応——現場の工夫と戸惑い
この日の練習では、髙橋宏斗(中日)、曽谷龍平(オリックス)、北山亘基(日本ハム)、藤平尚真(楽天)らが登板し、ライブBP(実戦形式の打撃練習)を行いました。選手たちは口々に「投球間のテンポが非常に速く感じる」と戸惑いを隠しません。阪神の森下翔太選手は「走者がいるときは特に時間が短く感じます」と語る一方、「ルーティンとして肩にバットを乗せていても、顔が投手に向いていれば“打撃姿勢が完了”と判定されることを確認できた」と変化点と安心感も説明していました。
DeNAの牧秀悟選手は「打席入りのルーティンをしていると30秒ルールで急がなければならない。これから効率よくできる方法を模索したい」と語っており、各選手の微調整が続きます。
守備・攻撃・走塁、細部まで大きく変化
- ピッチコムの活用で、投手と捕手の間でサインのやりとりが迅速に。最大3人までの野手にも装着可能(WBCでの許可範囲は検討中)。NPBでは初めての試みに坂本誠志郎選手(阪神)は「操作に慣れること、投手と連携を深めること、サインを考える猶予の短縮など、これまでの配球リズムが大きく変わる」とコメント。
- ピッチクロック導入により、攻撃側もリズムに参加。打者は8秒前までに打撃姿勢を完了させ、投手が球を受けてから15秒/18秒以内に投球開始。ゆったりとした間合いが減少し、よりスピーディーな展開に。打撃ルーティンや準備にも影響必至。
- 拡大ベース(ベースサイズ拡大)も一部練習で導入予定。これにより走塁や守備の幅、盗塁の成功率に変化が期待されていますが、実戦でどのような効果が出るかは今後要注目。
スタメン発表——阪神・森下が3番中堅、坂本が8番捕手で出場
11月10日、ひなたサンマリンスタジアム宮崎で行われる広島カープとの対戦では、阪神の森下翔太選手が「3番・中堅」で先発、「8番・捕手」には坂本誠志郎選手が名を連ねることが発表されました。WBC本番さながらのルール環境下で、侍ジャパンの新しいチーム作りと各選手の適応力が問われます。
- 森下翔太(阪神)——3番・中堅手。WBC新ルール下で巧みなバットコントロールや守備範囲の広さが期待される若き主砲。
- 坂本誠志郎(阪神)——8番・捕手。配球リードと新デバイス(ピッチコム)の使いこなしでチームを支える。
- その他にも髙橋宏斗(中日)、牧秀悟(DeNA)など実力派ぞろい。
侍ジャパンvs広島カープ:日程・放送・見どころ
- 試合日時:2025年11月10日13時開始
- 球場:ひなたサンマリンスタジアム宮崎
- 放送:地上波およびインターネット配信にて全国放送予定。ライブ配信も各種メディアで展開。
- 出場予定選手リスト:侍ジャパン公式サイト及びメディアで詳細発表(森下、坂本含む主力メンバーが出場)
- 見どころ:WBC新ルール下での実戦適応、若手のアピール合戦、速くなる試合展開や新デバイス運用の現場の工夫等。
この広島戦を皮切りに、11月15日・16日には韓国代表との強化試合も控え、WBCへ向けた実戦強度と国際基準への適応力が一層求められています。
選手・監督の意気込み——進化する侍ジャパンの姿
キャンプを通じて新ルールへの適応に苦心しながらも、自分自身とチームの進化に力を注ぐ侍ジャパンの面々。井端弘和監督は「通常の流れで打席に入れない状況だが、今ここで経験を積んでおけば本大会では必ずプラスになる」とし、前向きな挑戦心を呼びかけます。
投手も捕手も野手も全員が“世界基準”に向けてリセットされた中で、自分たちがどこまで柔軟に、そして巧みに対応できるか。この新しい「侍ジャパン」の挑戦に、今後ますます注目です。
まとめ:新時代へ踏み出す侍ジャパン
2025年秋、宮崎から世界の頂点を目指し進化を続ける侍ジャパン。新ルールの本格導入、実戦での適応力、若き才能たちの台頭——そのすべてが融合して、本番のWBCでの連覇、さらなる高みへの挑戦の土台となります。明日の試合、そして今後の侍ジャパンにご期待ください。



