TOWA株式会社 2026年3月期第2四半期決算 米国関税の影響で減収減益に

2025年11月7日、TOWA株式会社(証券コード:6315)は、2026年3月期の第2四半期(中間期)決算を発表しました。半導体業界の世界的な需要低迷という厳しい環境に加え、米国の関税政策による直接的な影響で、売上・利益ともに大幅な減少となりました。当記事では、TOWA株式会社の中間決算を軸に、業績の詳細や今後の展望についてわかりやすく解説します。
※本記事は公式決算短信や各種報道情報をもとに作成しております。

主な決算ハイライト

  • 売上高:234億4,900万円(前年同期比14.4%減)
  • 営業利益:24億9,300万円(同52.6%減)
  • 経常利益:23億9,400万円(同54.2%減)
  • 親会社株主に帰属する中間純利益:18億4,900万円(同51.7%減)

前年同期比でいずれの指標も大きく下落しました。特に経常利益・純利益は半減以上となり、株主・投資家からも注目が集まっています。

減収減益の主因―米国関税政策と半導体需要の低迷

TOWA株式会社の決算短信では、米国の関税政策による受注減が大きく響いたと分析しています。これに加えて、グローバル半導体市場自体が2025年初頭から世界的な需要低迷に見舞われたこともあり、第一四半期は特に売上高が大きく落ち込みました。

  • 米関税の影響で、北米向け半導体製造装置の受注が減少。
  • 顧客の設備投資マインドも停滞。半導体メーカー各社が投資を控えたことで、TOWAの主要事業であるコンプレッション装置や金型の販売数が鈍化。
  • 為替市況や世界的な物流コストの上昇も、収益を圧迫する要因となった。

中でも、米国市場での競争力維持に向けて、TOWAは生産や販売体制の最適化を進めていましたが、政策的な障壁には短期的な対応が難しく、収益基盤へのインパクトが避けられませんでした。

第2四半期に見えた回復の兆し―アジア需要の復調と高付加価値製品の伸長

一方で、

  • 中国・台湾、その他アジア地域での半導体設備投資が徐々に回復
  • TOWA独自の高付加価値コンプレッション装置や金型製品の売上比率が想定を上回る
  • 製品ミックスの改善や効率化により利益率も上昇傾向

第二四半期(7月~9月)は、四半期売上高が153億7,000万円と過去2番目の高水準に達し、受注高および売上高も増加基調となりました。特に製品構成の見直し、付加価値の高い装置へのシフトにより、営業利益率も回復しています。

また、直近3ヵ月(第2四半期)の連結経常利益は、前年同期比11.3%増の31億2,000万円に伸長しましたが、売上高営業利益率は21.6%から20.0%へと若干低下しました。

損益の増減要因と財務指標

  • 売上高減少の影響額:18億5,900万円減
  • 製品ミックスによる影響額:3億1,200万円減
  • 固定資産の評価減等:3億5,100万円減
  • 販売管理費増:2億4,600万円減

なお、特別損益では、固定資産の売却益や損害賠償金の受取が一部ありましたが、固定資産売却損や投資有価証券評価損などの発生もあり、全体として利益水準を押し下げる結果となっています。

時価総額:約1,946億円(2025年11月10日時点)
発行済株式数:75,157,367株
配当利回り(会社予想):0.77%
EPS(1株当たり純利益):91.45円(2026年3月期会社予想)
ROE(自己資本利益率):13.56%(連結ベース)
自己資本比率:73.8%(連結ベース)

今後の見通しと企業対応

TOWA株式会社では引き続き、米国関税対応やグローバル競争力強化の取り組みを進めています。決算資料によれば、通期計画に対する第2四半期の進捗率は24.4%にとどまるものの、下期(10月~翌3月)では市場回復を見込んで前年同期比77.6%増の74億円という増益計画を掲げています。

  • 高付加価値製品の販売比率をさらに高め、収益性の向上を目指す
  • 生産体制の最適化・効率化によるコスト削減
  • 新規市場への展開と既存顧客の掘り起こし

社内では、業務自動化・省力化、原価低減活動など徹底した収益改善策も継続されています。今後の半導体市場動向次第では業績の大幅回復も確実視されており、投資家や市場からも期待が高まっています。

株価・投資家動向

決算発表後、TOWAの株価は一時的に大きく変動しましたが、7~9月期の収益回復や下期増益計画への期待から、直近では大幅反発の動きも見られています。投資指標をみると、財務の健全性(自己資本比率の高さ)や今後の利益回復予想を受けて、買い意欲が高まっています。

まとめ

TOWA株式会社は、半導体業界全体が軟調な中、米国関税政策という外部要因に翻弄され減収減益となりました。一方で、第2四半期を境にアジア需要の回復と製品構成の改善を追い風に、下期の業績回復へ向けた転機が見え始めています。
この難局にどう立ち向かい、いかに変革を進めていくか。TOWAの今後の一手に、引き続き注目が集まります。

参考資料

  • TOWA株式会社公式「2026年3月期第2四半期決算短信」
  • Yahoo!ファイナンス「TOWA(株)【6315】」
  • ダイヤモンド・ザイ「TOWA—大幅反発、7-9月期収益回復」
  • 各種証券会社、報道機関の決算速報解説

参考元