フジクラ、史上初の通期売上高1兆円超&経常利益でも最高益更新へ——データセンター成長と増配で株価は乱高下
発効値高の達成に迫るフジクラ株
2025年11月、フジクラ(証券コード:5803)は、決算日の11月7日から金融市場で大きな注目を集めています。その背景には、業績公開直後でも株価が20,415円(11月7日15時時点)と急落したものの、年初来高値は21,680円(11月4日付)と、ここ数週間で大きく上昇していることが挙げられます。特に11月に入ってからの値動きは活発で、出来高も急増しています。
期減建議、通期売上高1兆円超へ
鉄鋼新聞の報じるとおり、フジクラは期減の2026年3月期において、初めての通期売上高1兆円超を達成する見込みであると判明しました。これは、主に情報通信事業の中でデータセンター向け需要が急速に拡大し、全社的な収益構造を押し上げていることが理由です。前年度の売上高や利益実績からすでに予想を大きく上回る成長ペースとなっており、業界や投資家の期待感が高まっています。
経常利益も最大24%上方修正、連続最高益更新
株探ニュースなどが報じた内容によると、フジクラは2026年3月期の通期連結経常利益予想を、従来の1,480億円から24%上方修正し、1,840億円(前期比34.1%増)と過去最高をさらに上乗せしました。本記事執筆時点(11月7日午後)で発表された決算短信によれば、第2四半期(4-9月)の連結経常利益は917億円(前年同期比75.7%増)と、予想を2億円以上も上回りました。特に7-9月期は499億円(前年同期比91.2%増)と、売上高や営業利益率(16.9%へ上昇)も大幅に改善しています。
増配40円、株主還元も強化
こうした増収増益を背景に、フジクラは株主還元にも積極的な姿勢を見せています。従来予想の年間配当150円から40円増額し、190円(前期は100円)へと大幅アップを発表しました。これは財務体質の強化とともに、BtoB(企業間取引)のIT関連投資が活発な現在の市場環境に応じた株主対応とみられます。
投資家の評価——期待と警戒が交錯
決算の好調を受けて、フジクラの株価は11月に入ってから急騰を繰り返していましたが、発表直後の11月7日には前日比で5%超下落する場面も見られました。市場では、業績の「期待通り」または「期待以上」の面が評価されつつも、株価の上昇が一時的だったため、直近の調整局面で逆に売りが勢いを増した形です。一方で、今後の成長分野(データセンター、5G、EV関連など)への投資拡大や、グローバルサプライチェーンの強化に対する期待も根強く、中長期的な視点で注目する投資家も多い状況です。
また、財務指標にも大きな変化が見られます。自己資本比率は49.1%まで向上し、ROE(株主資本利益率)は24.35%と優秀な水準を維持しています。PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)は市場平均を大きく上回る水準ですが、これは今後の成長展望が既に株価に織り込まれていることを示唆しています。
各メディア・市場関係者の見方
- 鉄鋼新聞は「フジクラの成長はデータセンターや通信インフラの長期的な需要拡大と直結している」と評価。
- 株探ニュースは「今期の業績予想上方修正と大幅増配は、経営陣の自信の表れ」と分析。
- Yahoo!ファイナンス掲示板では、データセンター向け需要の継続性に注目が集まるとともに、「株価の値動きが激しく、短期的な値ごろ感を意識する投資家も多い」との声が寄せられています。
今後の展望と課題
フジクラはいま、グローバルなITインフラ市場の成長を背景に、通信やエネルギー分野でさらなる収益拡大を目指しています。特にデータセンター向けの光ファイバーや電力ケーブル、5G関連部品の受注増が今後の成長を左右するカギとなりそうです。一方で、株価の乱高下やマーケットの調整圧力、為替変動リスク、さらには海外競争の激化など、課題も山積みです。
今期の通期売上高1兆円超え、経常利益1,840億円(予想)というのは、フジクラにとって歴史的な節目となります。一方で、業績の先読みが進む中で、今後の「さらなる成長ストーリー」を市場に描けるかが問われる局面に入ったともいえるでしょう。
まとめ——「新たな成長フェーズ」へ
フジクラは、2025年11月7日に公表された決算内容で、通期売上高の1兆円超え、経常利益の下方修正、大幅な増配など、全て「市場予想を上回る数字」を叩き出しました。データセンターや通信分野の業界成長テーマをうまく取り込んだ形となり、その成長性が株価にも大きく反映されています。
一方で、株価の急上昇後に調整局面に入ったこともあり、今後は短期的な材料消化と中長期的な成長期待のバランスがますます重要になります。フジクラの成長ストーリーはまだまだ続きそうですが、市場の期待に応えるためには、新たな成長ドライバーの発掘や、グローバル競争力のさらなる強化が求められるでしょう。


