新潟・胎内市で高病原性鳥インフルエンザ疑い 約63万羽影響か

胎内市の大規模養鶏場で発生、県内は緊張感

2025年11月3日、新潟県胎内市にある採卵鶏農場で、高病原性鳥インフルエンザが疑われる事例が発生しました。該当農場では約63万羽の採卵鶏が飼育されており、県内でも最大規模の養鶏場の一つです。県によると、同日午前、農場から「死亡したニワトリが増加している」との通報があり、下越家畜保健衛生所が立ち入り調査したところ、簡易検査でA型インフルエンザウイルスの陽性反応が確認されました。現在も中央家畜保健衛生所で、より詳しい遺伝子検査が進められています。その結果次第で、疑似患畜として殺処分などの緊急防疫措置が発動される予定です。

今季本州初・山積する懸念

この高病原性鳥インフルエンザの疑いが確認されれば、今季本州で初の発生例となります。対象となる鶏の数が非常に多いため、万が一「陽性」判定となった場合には約63万羽もの殺処分が必要となり、作業は早ければ翌4日朝から開始される見通しだとされます。新潟県では過去にも同じ農場で発生歴があり、その際も約68万羽が殺処分されています。

県と関係機関は迅速な防疫体制を強化

現在、新潟県では、

  • 該当農場および生産物の移動制限
  • 農場への立ち入り制限と消毒の徹底
  • 半径10km圏内での家禽や卵の搬出禁止
  • 県内すべての養鶏農場への注意喚起

という防疫措置をとっています。これらの迅速な対応はウイルスが広がるのを防ぐためのものであり、特に羽数や規模が大きい養鶏場なので警戒を最大限に高めている状況です。

消費者と地域住民への影響は?

  • タマゴ価格の動向: 今回のような大規模養鶏場での殺処分があった場合、市場の卵供給量が一時的に減少し、タマゴ価格に影響が及ぶと見込まれます。全国的には近年、鳥インフルエンザの流行でタマゴ価格の高騰が続いており、今シーズンも春先まで警戒が必要だと専門家は指摘しています。
  • 風評被害: 県は「これまで日本国内で鶏卵や鶏肉を食べることで鳥インフルエンザに感染した事例は報告されていません」と強調し、冷静な対応を呼びかけています。過度な不安や根拠のない噂による風評被害防止にも力を入れています。
  • 農家・関連事業者の苦境: 飼育されている鶏の大半を一斉に失うという事態は、養鶏業者や雇用、地域経済にも大きな打撃となります。関係者の精神的・経済的ダメージは計り知れず、行政の支援や周囲の理解が強く求められています。

鳥インフルエンザ対策とは?

鳥インフルエンザは、家禽や野鳥などの鳥類に流行する感染症で、特に高病原性のものは鶏などの家禽で致死率が高く、一度発症が疑われると殺処分や厳重な防疫が求められます。このため、鶏舎の消毒や、部外者の立ち入り制限、農場間の人や物資の移動管理といった基本的な防疫対策が重要です。
また2020年代以降、渡り鳥の飛来とともに日本各地で発生が拡大しやすい傾向にあります。今年も国内各地で発症報告が相次いでおり、春先まで流行が続く可能性が指摘されています。

今後の状況・注意点

  • 遺伝子検査完了までの注視: 細菌性と異なり、インフルエンザウイルスは一度侵入すると短期間で感染が拡大するため、検査が確定次第、速やかな措置が課題となります。県や市町村は、今後も情報を公開しながら、養鶏農家・消費者・地域住民への説明会や注意喚起を続けています。
  • 報道・取材活動への注意: 感染拡大防止や農家のプライバシー保護の観点から、現場での過度な取材やドローン・ヘリコプターによる撮影は慎むよう呼びかけられています。
  • 消費者への呼びかけ: 「鶏肉や卵による人への感染は国内で報告されていません」という知識を、広く共有・再認識することが社会的な混乱を防ぐ鍵となります。

まとめ

新潟県胎内市の最新の鳥インフルエンザ発生疑いは、地域社会と流通、そして消費者全体に大きな影響を与えています。今後も行政や関係機関は、正確な情報発信や、迅速な防疫措置、関係者支援に全力で取り組みます。消費者の皆さんも、冷静な対応と正しい知識で日々の買い物や報道に目を向けていただくことが求められます。

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