カプコン株価に注目集まる:決算好調と『モンハンワイルズ』の動向が交錯
はじめに
カプコン(東証プライム:9697)の株価が今、大きな注目を集めています。
2025年10月29日に発表された2026年3月期第2四半期決算が過去最高水準となる一方、同社の人気シリーズ最新作『モンスターハンターワイルズ』の販売本数が注目され、株主・ファン・市場関係者の間で様々な議論が広がっています。
決算速報:好調な業績が株価材料に
- 2025年4月~9月の連結売上高は811億5,200万円(前年同期比43.9%増)。
- 営業利益は393億3,300万円(前年同期比89.8%増)。
- 経常利益は365億4,300万円(前年同期比76.5%増)。
- 最終利益も275億1,400万円(前年同期比80.1%増)と、いずれも大幅な増益。
- 通期(2026年3月期)業績予想も、売上高1,900億円(前期比12.0%増)、営業利益730億円(同11.0%増)、経常利益700億円(同6.6%増)と、「増収増益基調」。
- これにより、株価は期待感から堅調に推移しています。
特に、2025年7~9月期(第2四半期単独)の経常利益は前年比89.2%増と、高い成長性が目立っています。売上営業利益率も前年同期の29.2%から41.3%へと大幅に改善しました。
『モンハンワイルズ』の売上動向と市場の反応
しかし一方で、カプコンの屋台骨となる大ヒットシリーズ『モンスターハンター』最新作『モンスターハンターワイルズ』の発売後半年間の売上本数が前作『モンスターハンターライズ』を下回ったことが、決算発表にて明らかになりました。
- 「ワイルズ」は、前作ライズの「驚異的ヒット」には及ばなかったものの、多くのゲームファンから好評を集めています。
- ただし、「発売半年」で見ると販売本数の伸び悩みが、やや重しとなっています。
- 背景には、ゲーム市場全体の競争激化や、プレイヤーの分散、シリーズ同士の切磋琢磨があると言えるでしょう。
カプコンでは、過去作を積極的にセール販売する戦略も展開。旧作『モンスターハンター』シリーズは最大75%オフという大幅割引が実施され、結果として新作より旧作の売上が上回るケースも見られました。
- 「安売りしても大丈夫?」という声も出ましたが、これら旧作セールスによって総合的な収益はしっかり積み上がっています。
- 通常、旧作セールス強化は新作の売上を食い合う懸念もありますが、カプコンはシリーズ全体の盛り上げや新規プレイヤー獲得を重視しています。
なぜこれほど業績が好調なのか?
優れた業績の背景には以下の要素があります。
- デジタル販売の拡大:自社プラットフォームや主要なストアでのデジタルセールスが世界的に伸び、利益率を押し上げています。
- IP戦略の強化:『バイオハザード』や『モンスターハンター』など強力IPを国内外で展開し続けており、新作・旧作ともに安定需要があります。
- コスト構造の見直し:自社エンジンの活用や開発効率化によって、高い利益率を維持。
- グローバル販売体制の確立:北米・欧州・アジアでのパッケージ・ダウンロード販売網を統合管理し、機動的なプロモーション展開を可能にしています。
株価動向と投資家心理
決算好調を背景に、株価も上昇傾向が続いています。特に、「増収増益・成長期待・配当安定」がそろうことで、中長期的な資産形成を目指す個人投資家や投資信託からの評価も高まっています。
ただし、下期(10-3月)の業績は前年同期比25.5%減の見通しが出ている点、不透明感も指摘されています。決算短信でも慎重姿勢を見せており、今後のヒット作動向や全社的な収益構造強化が問われます。
ゲーム業界内でのカプコンの立ち位置
- スクウェア・エニックス(9684)、コナミグループ(9766)などの業界大手も軒並み好決算を発表するなか、カプコンは「デジタル主導」の成長力で一歩先を行く存在です。
- さらに、eスポーツ分野やIPライセンス、映像化などの新規事業も拡大中。
- 「多様な収益軸」が、継続的な株主還元を後押ししています。
経営陣のコメントと今後の展望
カプコン経営陣は、決算発表で「デジタルコンテンツの積極展開とグローバル戦略の深化により、今後も安定した成長を志向する」と述べています。
また、「主力タイトルへの期待値を維持しつつ、eスポーツやモバイル展開など新規領域への投資も拡大」していく方針を強調しています。
個人投資家・ファンはなにを注視すべきか
- 今後の新作・アップデート動向:モンハンだけでなく、『バイオハザード』や『ストリートファイター』などのIP展開が、どこまで期待に応えられるか。
- デジタル販売施策:セール販売やサブスクリプションモデルが、収益・コミュニティ形成にどう貢献するか。
- 海外市場でのさらなる拡大:現地展開・現地イベント・IPコラボなどがどのように実現していくか。
- 配当・株主還元策:業績好調の裏で、配当政策の継続と自己株取得の有無も注目です。
まとめ
カプコンは好調な決算を背景に株価も堅調を維持していますが、『モンハンワイルズ』の販売本数減少など、市場評価には不安材料も残されています。
とはいえ、デジタル販売戦略やIP資産活用、グローバル展開への積極姿勢により、中長期的な成長が大いに期待できる企業です。
今後も主力シリーズの展開や株主還元策の動向から目が離せません。




