『報道ステーション』大越キャスター“偏向”報道騒動――世論調査にまで波及する批判と番組の苦悩
はじめに
『報道ステーション』(テレビ朝日系)は、日本を代表するニュース報道番組として長年にわたり高い影響力を持ち、多くの視聴者に親しまれてきました。しかし、2025年秋、自民党総裁選をめぐる報道をめぐり、大越健介キャスターの進行や発言が「偏向ではないか」と指摘され、SNSを中心に強い批判の的となっています。本記事では、その経緯や具体的内容、視聴者や専門家の反応、番組側の対応や今後の課題などについて、わかりやすく詳しく解説します。
自民党総裁選直前――注目集まる『報道ステーション』の報道
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2025年10月4日に投開票を控え、自民党総裁選を巡る情勢は連日大きな話題となっていました。
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主要5候補による激戦のなか、各メディアが世論調査を展開。『報道ステーション』でも調査結果を取り上げ、その内容が国民の関心を集めました。
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9月29日放送の同番組では、「次の総裁は誰がよいか」との問いに対し、小泉進次郎氏33%、高市早苗氏31%という僅差を報道。自民党支持層では小泉氏41%、高市氏24%とのデータもありました。
「偏向報道では?」 喧騒の発端となった出来事
批判の直接的なきっかけは、9月23日放送での「自民党総裁選討論会」であり、大越キャスターの進行にありました。この討論では、高市氏に比べ小泉氏へ発言機会が多く与えられているのではと受け止められる場面がありました。番組内で高市氏には発言時間を短くするよう促し、その一方で小泉氏には発言の機会を多く与えているように映ったことで、「意図的なバランスの偏り」がSNSで強く指摘されたのです。
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X(旧Twitter)等のSNSでは
- 「世論誘導調査やし、調査にもならん」
- 「報道ステーションは高市氏潰しに奔走」
- 「総裁選のニュースだけ胡散臭くて観てられない」
などの辛辣な声が相次ぎました。
大越キャスターへの個人批判、そして「初代キャスター」との比較
この騒動は、大越キャスター個人への批判へと発展しました。「本人の思想が強く出ているのでは」とする声や、「古舘伊知郎氏の時代に比べバランス感覚に欠ける」といった「初代キャスター」との比較意見も目立っています。
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「NHK出身というキャリアだけで任せたのか」
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「古舘さんはうまく中立を保っていたが、今は明らかに偏っている」
こうした厳しい論調がSNS上で拡散し、番組ブランドそのものへの不信感も波及しています。
「世論調査」まで疑問符―根強い視聴者の疑念
単なる番組進行の問題だけでなく、「発表された世論調査の内容や設問、集計方法にまで操作の疑いがある」との批判がしばしば見られます。これは番組の公正性、信頼性を根本から揺るがしかねない指摘です。
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「今回の調査方法は本当にフェアなのか」という問いに、「一般有権者と自民党員の温度差をどう反映したのか」「支持層を分析する際の母数や選択肢は適切だったのか」といった具体的な論点が持ち上がりました。
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実際、『報道ステーション』は
「党員票」「議員票」を含めた独自解析を行いながらも、その集計過程や数値根拠の透明性については十分とは言えず、そこが不信感を増幅させる一因になっています。
番組の「公平性」――報道機関に突きつけられた課題
報道番組は、政治的中立性や公平性が強く求められ、とりわけ「選挙」「政権運営」という国民的関心事においては一層の慎重さが必要とされます。しかし一度でも「偏っている」との疑いが拡がると、その後の放送内容も色眼鏡で見られやすくなります。
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前出の担当記者も「一度ついたイメージを払拭するのは容易ではなく、番組側の地道な信頼回復努力が不可欠」と述べています。
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SNS等での厳しい指摘に対し、番組側が率直かつ迅速に説明責任を果たす姿勢が今後はますます重要となるでしょう。
専門家の声――なぜ“疑惑”が拡大したのか
ジャーナリズム専門家やベテラン記者からは、「討論番組の進行は一見地味だが、視聴者の印象に大きく影響する」と分析されています。討論中に時間配分を調整するのは司会者の重要なテクニックですが、「どこまでが進行の工夫で、どこからが“意思ある演出”なのか」を徹底的に明解にすることが番組運営側に求められています。
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「視聴者の情報リテラシーが格段に向上し、SNSの普及で番組の細部まで即座に検証される時代」
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「“偏向報道”との指摘が生まれる背景には、大きな社会的不信感や政治への関心の高さがある」
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「たとえ進行上の意図がなくても、結果として一方の候補を有利・不利に扱ったように見えれば批判の火種となる」
過去のキャスターと番組姿勢の比較
『報道ステーション』は、かつて古舘伊知郎氏が長らくメインキャスターを務め、時に大胆だが全体としてバランス感覚の優れた進行を見せてきました。今回の騒動でも、「当時はここまで露骨な印象操作はなかった」と懐かしむ声も絶えません。
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キャスター一人ひとりの力量はもちろん、番組全体としての「編集方針」「情報選択の仕方」「出演者の意見配置」など、多面的な工夫が期待されます。
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今回の件で浮き彫りになったのは、“たった一度の偏った印象”でも、現代の視聴者はすぐに違和感を抱き、それが連鎖的に信頼低下を生み出すというリアルです。
『報道ステーション』はどこへ向かうのか? 今後の展望と視聴者へのメッセージ
現時点で大越キャスターは積極的に「私見」としてバランス感覚や進行意図について説明を発信していますが、視聴者の批判を完全に鎮めるには至っていません。「選挙報道における中立・公正とは何か」を、番組側がどれほど真摯に見直せるかが問われています。
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報道機関の使命は「事実を正確かつ公平に伝えること」であり、加えて透明性を高め、疑念には明快な根拠で答えることが必須となりました。
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今後はSNSなどの外部批判も積極的に取り上げ、双方向の情報発信を強化する姿勢が重要となります。
まとめ――公平な報道と信頼回復への道のり
『報道ステーション』と大越健介キャスターを巡る偏向報道騒動は、一つの番組の問題を超え、現代日本社会における「報道への信頼」「情報発信と受容の関係性」「ジャーナリズムのあり方」そのものへと議論を広げています。視聴者の声が瞬時に可視化される時代、報道番組の公平性・透明性への要請はますます高まるでしょう。
メディアに携わる一人ひとりがこの問題の本質を見つめ直し、納得のいく丁寧な説明と誠意ある対応、そして時に自身の姿勢や手法を見直す柔軟さを持つことが、今後の“信頼回復”に不可欠といえます。
公平な報道と視聴者との信頼関係——その回復と構築のためには、今後も地道な努力が求められていくのです。