豊明市、スマートフォン「1日2時間」条例案を審議 本会議採決へ
愛知県豊明市にて、市民のスマートフォンやタブレットなどの利用時間を「1日2時間」を目安とする新たな条例案が議論されています。2025年9月22日には、この条例案の採決が本会議で予定されており、大きな注目を集めています。
条例案の主な内容と背景
- 条例案は、市民すべてを対象とし、仕事や学習など生活に必要な時間を除き、「余暇時間」におけるスマートフォン等の利用を1日2時間以内とすることを推奨しています。
- これは厳格な規制ではなく、あくまで「目安」として市民の健康や生活習慣を守るためのものです。
- 条例に罰則規定は設けられていません。しかし、自治体が具体的な使用時間の目安を示すことは大きな話題となっています。
デジタル依存やスマホ中毒といった問題意識が全国的に高まる中、豊明市は地域ぐるみで健康的な利用習慣作りを目指しています。「学校や仕事で使う時間」は制限の対象外とし、「市民一人ひとりが自由に使える余暇」での利用が対象となっている点が特徴です。
市民・議会で沸き起こる賛否の声
- 賛成意見:子どもたちを中心に依存傾向が社会問題となっている現状に対し、「地域全体で健全な利用を促す姿勢は大切」と前向きに捉える声があります。
- 反対・疑問の声:市民団体や一部議員などからは「2時間という数字に科学的根拠が乏しい」「具体的な実効性に疑問あり」「個々の家庭の自主性や実情を無視しているのでは」などの批判や懸念も聞かれます。
- 市民団体の署名運動:条例取り下げを求めて、少なくとも139人分の反対署名が市に提出されました。
- 保護者・教育現場の声:「家庭の裁量や教育方針による部分も大きい」「習い事や友人付き合いなどで連絡手段として必要な場合もある」等の意見も挙がっています。
また議会委員会でも「この『2時間』という数字が一人歩きしている」「本当に目安として柔軟に運用されるのか」といった慎重な意見や、条例自体が「地域での話し合いや予防啓発の契機になる」といった前向きな議論も交わされています。
条例制定の背景にある問題意識
- 全国的に「子ども・若年層のスマホ依存」や「ネット依存症」が話題となり、厚生労働省や教育現場も薬物依存予防と同じく啓発強化が叫ばれています。
- 豊明市でも、保護者や学校関係者から「目が悪くなった」「生活リズムに悪影響」「家庭で注意しても守れない」といった声が寄せられ、自治体としてルール化の必要性を探ってきました。
- 一方で、「スマホの利便性を否定するものではなく、適正な利用を促す」ことを条例の基本方針としています。
市は記者会見でも「条例はあくまで案であり、議会での可否を経て施行される」と説明しています。誤解を避ける狙いから、インターネット上で出回る誤報や過度な報道に対し、市が積極的に正しい情報発信を行っている点も特徴です。
全国的な波紋と今後の展望
- 国内では、香川県が過去に「ゲームは1日60分まで」とする類似の条例を出した事例がありますが、今回の豊明市のように全市民を対象とする条例案は稀です。
- 「テクノロジーと健康的な暮らし方」の両立は、多くの自治体や教育現場、医療関係者も関心を寄せる重要課題です。
- 条例案が仮に可決された場合も、施行後には実際の運用や市民の理解促進、柔軟な対応などが求められるとみられます。
市長は「行政として地元独自の問題提起をしつつ、地域のみんなで考え行動するきっかけになってほしい」とコメント。市議会でも、条例案が単なるルール制定だけでなく、家族や地域での話し合いや啓発運動の起点にしたいという意図も語られています。
まとめ:「2時間目安」は豊明市の社会実験となるか
豊明市「1日2時間」スマホ条例案は、デジタル時代の新しい地域ルールとして全国でも珍しい動きです。罰則はなく、個人への強制力も限定的ですが、「地域ぐるみ・社会ぐるみ」で利用実態を見直すきっかけづくりの意味合いが強いと言えます。今後も市民や議会の議論、実際の運用状況、社会の反応などに注目が集まります。
【市民・保護者へのメッセージ】
- スマートフォンやタブレットの使い方は、ご家庭や地域で話し合い、使い過ぎや依存にならないよう心がけることが大切です。
- 条例案の内容や背景について不明点がある場合は、豊明市役所ホームページや公式広報をご確認ください。
- 話題や意見が多い問題だからこそ、それぞれの立場や事情を尊重し合い、「最適なバランス」を一緒に考えていきましょう。