走行距離課税とガソリン税暫定税率廃止をめぐる最新動向
2025年に入り、日本の自動車利用に関する税制度について大きな議論が活発化しています。特にガソリン税暫定税率の廃止と、その代わりとして浮上した走行距離課税(自動車増税)に関したニュースが話題の中心となっています。
ガソリン税暫定税率廃止の動き
ガソリン税のうち「暫定税率」は、長年課題とされてきました。物価高騰や原油価格の変動が続く中、国民の負担軽減策として暫定税率の廃止が重要な政策課題となっています。
2025年8月1日、立憲民主党・日本維新の会・共産党など野党7党が共同で暫定税率廃止法案を衆議院に提出。2025年11月1日から25.1円の暫定税率を廃止する案となり、与野党の協議も進んでいます。そのため、年内を目安に「暫定税率の廃止」が実現し、ガソリン価格が一時的に大きく引き下げられる可能性が高くなりました。
- 2025年中に暫定税率廃止を目指す
- 廃止時はガソリン価格が1リットルあたり約25円安くなる見込み
- 現行補助金(リッターあたり約10円引き下げ措置)は暫定税率廃止と同時に終了の可能性あり
ガソリン税減税と財源問題
ガソリン税減税による家計負担の軽減は国民に歓迎される一方、道路や上下水道などの社会インフラ整備・維持費用の財源が失われることとなり、政府や関係省庁が危機感を強めています。毎年1兆円規模の税収が減ることで、社会インフラ老朽化対策が困難に陥る懸念があります。
- ガソリン税減税に伴い、インフラ整備の財源が不足
- 新たな税の導入検討が必要な状況
代替財源として浮上する「走行距離課税」とその批判
政府はガソリン税(暫定税率)廃止後の新税創設を議論しています。現時点で有力視されているのが走行距離課税など自動車利用者への負担を課す仕組み。これには以下のような特徴と課題があります。
- 走行距離課税:自動車の年間走行距離に応じて税金を課す制度。道路の維持やインフラ補修の財源確保が主目的とされている。
- 自動車の種類や燃料によらず、利用実態に基づいた課税が可能。
- ガソリン車に限らずEV(電気自動車)やハイブリッド車にも公平に課税しやすい。
- 反面、走行距離の把握方法やプライバシー、事務負担増大、地方・業界への影響が懸念される。
これに対し、自動車業界団体は「断固反対」の姿勢を明確に打ち出しています。業界は、看板の掛け替えに過ぎず、国民負担の増加につながるとして政府方針へ釘を刺しています。また、ネットやSNSでも「意味がない」「家計負担しか増えない」など批判的な声が相次いでいます。
政党間の協力と政策策定の動き
暫定税率廃止に関しては立憲民主党、維新、共産党ら野党が年内廃止へ連携。立憲民主党では税調会長に重徳和彦氏(前政調会長)を任命し、経済対策・新税の詳細策定を早急に進める方針を示しています。いずれにしても国民生活への影響を最小限に抑える政策が求められている中で、与野党の協力体制が問われています。
- 立憲民主党・維新・共産党は暫定税率廃止法案で一致
- 税調会長に重徳氏任命、迅速な経済対策策定へ
- 新税の設計と影響分析が焦点
今後の課題―負担公平化と社会インフラ維持、安全との両立
ガソリン税暫定税率の廃止は、家計への好影響が期待されますが、それに伴い道路維持や公共インフラの持続的な財源確保という新たな課題も浮上します。走行距離課税や他の自動車関連税の導入については、利用実態に沿った負担の公平化や地方住民・事業者の負担増大をどう抑えるかが焦点となります。
また、個人情報の管理、課税事務負担、地方と都市圏の格差など、設計段階で多くの検討が必要です。
国民への影響と今後の見通し
ガソリン税の減税と新税の導入は、日々自動車を利用する国民や事業者の生活設計に大きな影響を及ぼします。燃料価格の安定、インフラ維持、課税の公平性―これらを両立させるためには、政治と社会の幅広い議論が不可欠となります。
多様な立場からの声が政府や国会に届くことで、国民生活を根本から支える税制改革が、より良い形で実現されることが期待されています。
まとめ:
- ガソリン税暫定税率の廃止で約25円/リットルの減税が見込まれる
- 減税に伴う財源不足から新税創設(走行距離課税など)が検討されている
- 自動車業界・国民からは「断固反対」「負担増」への強い懸念
- 与野党の協力と政策策定が急がれている
- 家計負担軽減とインフラ維持、公平な税制設計が求められている
この問題は今後も政治・社会それぞれが議論を重ね、国民の安心・安全と生活の質を守る形での合意形成が進むことが望まれています。