急拡大する「資さんうどん」――業界3位からついに「はなまる」超えも目前に

1976年創業、北九州市発祥の「資さんうどん」が全国規模で勢いを増しています。九州のローカルチェーンから始まったこのうどんブランドは、2024年のすかいらーくグループ全株式取得によるグループ化により、全国展開へと加速しました。その成長速度と話題性は、日本の外食業界でも一際大きな注目を集めています。

2025年時点での店舗数は80店超、さらに年内100店舗到達も現実味を帯びてきました。「業界3位」の座に加え、ついには「はなまるうどん」の店舗数を超える日も遠くありません。なぜ、いまこの「資さんうどん」がここまで拡大し、愛されているのでしょうか。その背景と、今後の展望を詳しくご紹介します。

今話題のニュースから見る資さんうどんの拡大戦略

すかいらーくによる買収、既存店を梃子に全国展開へ

2024年秋、「ガスト」などを展開するすかいらーくホールディングスが資さんうどんの全株式を取得し、グループ傘下に収めたことが大きな転換点となりました。2025年は既存のガストなど12店舗を資さんうどんに転換し、さらに9店舗の新規出店で、計21店舗増を予定しています。これは、2026年以降の大規模出店を見据えた戦略的な一手と言えるでしょう。

また、すかいらーくは中期計画において、2027年までに210店体制を掲げており、これまで九州・中国・関西に強みを持っていた資さんうどんの出店エリアは、首都圏・北関東・中部・東北、さらには海外(台湾や東南アジア)も視野に入れるなど、全国チェーン化の野心を覗かせています。

データで見る資さんうどんの勢いと強み

  • 2024年売上高約160億円(1店舗あたり約2.1億円)、営業利益は約6億円
  • すかいらーく連結売上高への貢献額43億円(2024年)、利益貢献は1億円
  • 八千代(関東1号店)は平均日商200万円超、日客数2,000人以上・最高日商290万円(2024年12月30日)
  • 2025年内に関西・関東・北関東へも新規出店。兵庫・埼玉・群馬・神奈川など広がり続ける拠点

各地の新店が「行列必至」と話題を呼び、オープン前から大きな期待を集めています。埼玉県内3店舗目となる「浦和中島店」の例や、堺市・兵庫・相模原・前橋と新天地での盛況が報道され、創業地・北九州のソウルフードが着実に「全国区」の存在感を持つようになっています。

北九州発・資さんうどんのルーツと名物

「肉ごぼ天うどん」など多彩なメニューと“おでん文化”

資さんうどんの看板メニューといえば「肉ごぼう天うどん」。肉とごぼう天(ごぼうを使った揚げ物)のバランス、旨み出汁の深み、そしてモチモチしたうどんの食感が絶妙です。その他、カツ丼やカレー、丼ものや丼セット、さらには「おでん」を常設するなど、ファミリーや高齢者、ビジネス客まで幅広い層に親しまれています。

  • 季節限定の商品や新しい天ぷらメニュー、おでん種の多様性など、“いつ行っても新しい発見”を提供
  • 「幸せを一杯に」という創業理念のもと、おもてなし・地域密着型の接客も特徴

1976年の創業以来、地域の胃袋と心を満たし続けてきた資さんうどんは、地元北九州・福岡県民の間では「なくてはならない存在」として親しまれており、この“情緒”が拡大エリアのファンにも波及しています。

店舗展開の動向――各地オープンの実績と今後の展開

関東、関西、北関東…続々と新規出店

  • 2024年12月 千葉県八千代市に関東1号店オープン
  • 2025年2月 東京都墨田区に両国店オープン
  • 2025年4月 埼玉県鴻巣市、兵庫県姫路市に新店オープン
  • 2025年8月 神奈川県相模原市、群馬県前橋市にエリア初進出
  • 2025年10月 埼玉県・浦和中島店開業、さいたま市初
  • 2025年内に奈良県への初出店も決定済み

全国各地でオープンするたびに、24時間営業や駐車場完備、ファミリーや一人客にも配慮したレイアウトなど、地域ニーズへのきめ細かな対応も話題となっています。地元密着を維持しつつ、ノウハウを活かした業態変革が功を奏しています。

「資さんうどん」が愛される理由――地元への思いと、“味へのこだわり”

「この街に資さんがあってよかった」

資さんうどんは「最高の一杯」を追求し続ける姿勢、徹底した品質管理、そして店舗スタッフによる丁寧な接客を経営理念としています。

  • 「味と品質にこだわり、すべてのお客さまに満足いただける一杯をお届けすること」
  • 「気持ちの良い接客と心地よい雰囲気で、いつでもホッと安らげるお店をつくる」
  • 「互いに尊敬し合い、相手を思いやる企業文化」

その“ホスピタリティ”や店舗で流れる温かい空気感が「また来たくなる理由」となり、多くのリピーターやファンを生み出してきました。まさに「この街に資さんがあってよかった」と思える、地域の一番店を目指し続けています。

業界地図を塗り替える存在へ――「すかいらーくの救世主」たるゆえん

外食チェーン全体の中でも成長著しいブランドへ

すかいらーくグループはガストやバーミヤン、ジョナサンなど多業態を手がける中、外食市場の変化・競争激化や人口動態の影響を受けつつありました。そんな中「資さんうどん」を傘下に加えたことで、新たな成長エンジンとして期待を一身に集めています。

また既存店の業態転換による集客効果や、新規出店での話題性・マスメディア露出も、全グループのブランド力向上に貢献しています。今後ますます、他の大手うどんチェーンや外食大手と肩を並べる――いや、凌駕する日が訪れるかもしれません。

今後の展望と課題――「200店舗」体制、そして海外展開へ

2027年に210店舗体制を目指す資さんうどん。その先には未出店エリア(中部・東北)、さらには海外展開(台湾・東南アジア)という野心的なプランも明かされています。新規エリアへの進出は、更なるブランド認知の拡大と、地元密着型運営の両立が課題となります。また、味やサービスが全国一律に保たれるか、そしてローカライズ戦略や現地人材育成の強化も求められるでしょう。けれど、これまで「地元九州」で愛され続けてきた歴史とノウハウが、きっとその道を照らすはずです。

まとめ――資さんうどん、100店舗の先に全国区の“食文化”を作る

北九州の一地方から始まった資さんうどんは、外食チェーンの覇者「すかいらーく」傘下という追い風を受け、まさに「第二の成長曲線」に入ったといえるでしょう。「肉ごぼう天うどん」をはじめとする多彩なメニュー、親しみやすい接客と空間、24時間営業や高いコストパフォーマンス、そのすべてが多様化する現代日本社会の中で、確かな存在感を放っています。

100店舗の節目を超え、さらにその先の200店舗、全国・さらには世界への挑戦。これから日本の日常、地域のふるさとに「資さんうどん」の看板が、ますます当たり前に、当たり前以上に、人々の“幸せの風景”として広がっていくことでしょう。

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