DAÜとTDKの協力協定締結:トルコ語と文化を守るための新たな一歩
2025年9月12日、ドウ・アクデニズ大学(DAÜ)とトルコ言語協会(TDK)との間で、言語・文学・文化の発展を目的とした公式な協力協定が締結されました。本協定は、日々変化する社会の中でトルコ語とその文化・歴史を次世代へ正しく伝えるために必要な取り組みとして高く評価されており、多くの関係者や教育機関から注目を集めています。
協定締結の背景と目的
トルコ語をはじめとしたトルコ系諸語の保存と発展は、現代社会においてますます重要な課題となっています。グローバル化の進展とテクノロジーの普及により、若い世代の言語意識や言語使用にもさまざまな変化が見られる中で、DAÜとTDKは連携してトルコ語、その文学や文化に関する研究、教育、普及活動を強化することを合意しました。
本協定は、国際的な研究や教育ネットワークの強化を目指し、専門家によるシンポジウム、パネルディスカッション、ワークショップ、セミナー開催の推進など、さまざまな共同活動を包含しています。また、両機関の研究者や学生間の交流や、トルコ語教育における教材・方法論の共同開発も計画されています。
協定締結の立役者たち
- DAÜ側からは、学長であるハサン・クルチ教授が、組織を代表して署名。
- TDK側は、会長のオスマン・メルト教授が代表として参加。
- DAÜ副学長のオスマン・カラテペ教授、教育学部長のアーメット・ペフリヴァン教授、トルコ語・社会科学教育部長のヴガル・スルタンザーデ教授らが締結式に同席しました。
協定の主な内容と今後の取り組み
本協定には、以下のような多岐にわたる目標と具体的な活動計画が盛り込まれています。
- トルコ語とその文化、文学、歴史に関する共同研究の推進
- 学術セミナー、シンポジウム、パネルディスカッションなどの定期的な開催
- 研究者や学生間の相互交流プログラムの設立
- 共同で教育用教材や出版物の作成と発行
- 地域社会と連携した言語・文化啓蒙活動
- 両機関でのインターンシップや実習の機会の提供
現場からの声
DAÜ学長のハサン・クルチ教授は、協定締結に際し「トルコ語の発展、研究促進のために、日本でいう国語審議会のような立場であるTDKと連携できることは、大学として大変誇らしい。今後、教育学部が中心になり、語学教育や研究に大きく寄与できるだろう」と述べました。
また、TDK会長のオスマン・メルト教授も、「TDKはトルコ語が使われるあらゆる国・地域で、標準的なトルコ語とその文化の発展支援をミッションとしている。キプロス北部の教育・文化機関にとってこの協力が、将来的な橋渡しとなることを願っている」と述べました。
さらに、教育学部長のアーメット・ペフリヴァン教授は「標準トルコ語の普及は、DAÜの最重要ミッションのひとつ。言語は単なるコミュニケーションの手段でなく、文化的アイデンティティの核であり、学生たちに誇りを持って自国語を使い、学ぶ力を付けてほしい」と、今後の活動への決意を新たにしました。
トルコ語とトルコ文化教育の意義
言語は単なる情報伝達手段ではなく、文化・歴史・思考様式が凝縮された生きた遺産です。そのため、母語を守り、豊かにすることは、自己のアイデンティティを守ることに直結します。特にキプロスのような多文化社会では、若者たちに正しいトルコ語を継承させることが、文化的な一体感や未来の発展につながります。
今後が期待される分野
- IT・デジタル分野におけるトルコ語語彙の統一研究
- 新語や外来語に対する基準づくりの共同検討
- トルコ語教育カリキュラムの共同開発
- オンライン教育・ハイブリッド型講義の協働推進
- 児童・若年層を対象とした言語文化ワークショップの共同開催
- 地域コミュニティでの普及啓発イベント実施
さいごに
DAÜとTDKによる本協定は、単に両機関を発展させるだけでなく、トルコ語、そしてトルコ系文化全体の継承と発展に向けた重要なマイルストーンです。今後、具体的なプロジェクトやイベント、研究成果が実を結ぶことでしょう。言語・文化に関わる新たな時代の幕開けに、期待が高まります。