三菱UFJ銀行が約20年ぶりに個人向け新店舗「エムットスクエアTAKANAWA」を高輪ゲートウェイ直近に開設

三菱UFJ銀行は、2025年9月12日、東京都港区の「ニュウマン高輪」(高輪ゲートウェイ駅前)に、個人ユーザーに特化した新コンセプト店舗「エムットスクエアTAKANAWA」(品川駅前支店高輪出張所)を開設します。大手メガバンクとしては約20年ぶりとなる個人向けの新店舗出店であり、銀行業界や利用者の間で大きな注目を集めています。

なぜ今、「リアル店舗」なのか?

近年、金融業界ではデジタル化が加速し、オンラインバンキングやアプリ、キャッシュレス決済が定着しています。その一方で、三菱UFJ銀行は「リアルな場」の価値を再認識し、顧客接点や体験を重視した対面特化型店舗を新たに設けることを決断しました。

  • アプリやタブレットなどデジタル端末を活用した新しい窓口業務スタイルを導入
  • 子育て世代・働く世代にも利用しやすい営業時間(11時~20時、土曜・祝日も営業)
  • 金融相談の枠を超え、地域社会とのつながりや各種イベントの開催も予定

この動きは、「金利ある世界」が再び到来する中、リテール(個人向け)サービスの付加価値強化を図る銀行の姿勢を象徴しています。

新店舗「エムットスクエアTAKANAWA」の特徴

従来の店舗とは一線を画す空間設計が特徴です。最新のデジタル機器を備えつつ、来店者が相談しやすいオープンな雰囲気を追求し、非金融分野のイベントや体験の提供も意識しています。

  • ペーパーレス処理や自動受付端末をフル活用し、窓口の待ち時間を大幅短縮
  • 利用者が自身のペースで手続きを進められるセルフ端末も設置
  • 最新アプリとの連携サポートやデジタル利用の「不安」解消サービスを常設

開設記念イベントも開催、半沢頭取も出席

開設に先立ち開催された説明会では、三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取をはじめ、リテール・デジタル部門責任者、JR東日本の喜㔟陽一社長など多彩な関係者が登壇し、新店舗コンセプトへの想いが語られました。店頭ではテープカットなどの公式イベントが催され、報道陣の前では半沢頭取が撮影にも快く応じるなど、和やかな雰囲気が伝えられています。

また、今後は地域住民も参加できる各種イベントの開催が予定されており、子ども向けの体験会や資産形成セミナーも企画されています。

時代と共に変わる銀行の役割

長年「ネット銀行」に押され気味だった都市銀行の実店舗。しかし、高利回りやライフプラン相談を求める声、親世代からの移行資産問題、非デジタル世代のサポートニーズなど、リアル店舗には依然大きな役割がありました。

新店の挑戦は単なる「旧モデルの復活」ではなく、デジタルとリアルの融合や体験価値の最大化という、進化した都市銀行像へのチャレンジです。現行地銀やネット銀行との差別化、また今後の支店網再編のモデルケースとしても注目されています。

「資産形成」と生活への寄り添い

今、変化する家計環境や、長寿時代の資産形成への関心が大きく高まっています。三菱UFJ銀行の新店舗は、こうした時代の流れを受け、人生100年時代にふさわしい相談・学習の情報拠点、地域に根ざしたコミュニケーションスペースとしての役割も期待されています。

  • 資産運用や相続、ライフステージごとの資産管理相談への対応力強化
  • 相談中心型のカウンター設計と専門スタッフの常駐
  • 子供から高齢者まで多様な層が安心して利用できるサポート体制

周回遅れからの再挑戦?MUFGの次の一手

銀行の実店舗縮小トレンドに逆らい、「周回遅れ」とも評されたMUFGですが、今こそ「金利ある世界」、リアル拠点の重要性が見直されています。三菱UFJ銀行は今回の高輪ゲートウェイでの新店舗開設を皮切りに、首都圏を中心とした新たなリテール戦略を推進すると表明しています。

オンラインサービスとリアル店舗の相互補完により、顧客一人ひとりのニーズにきめ細かく応える新時代の金融サービスモデルが生まれつつあります。特に生活や資産に密着した「総合的な相談窓口」として、従来以上の付加価値提供が今後の鍵となります。

高輪ゲートウェイ周辺エリアへの影響と地域共創

高輪ゲートウェイ駅の開業以降、周辺エリアは住民やビジネスワーカーに加え、観光・文化事業でも注目度が高まっています。今回のMUFG新店舗は、地域経済への波及効果や、JR東日本の都市開発戦略とも連動し、駅周辺の新たなランドマークとなることが期待されています。

  • 駅近・商業施設直結型の便利な立地
  • 街づくりやコミュニティ醸成への積極的な参画
  • 企業間コラボレーションや起業支援イベントの開催も視野

店舗運営の中で得られた知見やノウハウが、今後ほかの拠点やサービス開発にも活かされていくことが見込まれます。

まとめ:新時代の銀行店舗が拓く未来

今回、三菱UFJ銀行が高輪ゲートウェイ近くに個人特化型新店舗を開設した意義は、単なる「新しい支店」以上のものがあります。デジタルとリアルの融合、地域社会への貢献、そして時代のニーズに合わせた多様な顧客サービスのあり方……。大手都市銀行の「周回遅れ」とさえ言われた変革が、今また新たな金融の可能性につながろうとしています。今後もこうした動きを通じ、日本の銀行、金融サービス、そして地域の未来がどう変わっていくのか、引き続き注目していきましょう。

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