筑波大学マレーシア分校が開校、世界に羽ばたく人材の育成へ
2025年9月1日、日本を代表する国立大学である筑波大学が、マレーシアの首都クアラルンプールにマレーシア分校を開校しました。日本の学位を海外分校で取得できるのは、日本の大学としては歴史上初の試みとなり、国内外から大きな注目を集めています。翌9月2日には署名式と入学式が盛大に行われ、日馬両国の代表者をはじめ多くの関係者が開校を祝福しました。
筑波大学マレーシア分校開校の経緯と特徴
新設された筑波大学マレーシア分校では、「学際サイエンス・デザイン専門学群」を設置しています。この学群は、世界規模の課題に取り組むための科学的・データサイエンス的なアプローチだけでなく、人文・社会科学系科目も学べるカリキュラムが組まれているのが特徴です。日本語授業は必修となっており、現地の学生にも日本語教育を徹底する方針が示されています。これに伴い、約40名もの教員が日本から派遣される予定です。
- 学際的な教育プログラムで、幅広い分野を融合
- 日本語授業が必修、国際交流と日本文化の発信拠点にも
- 定員は1学年40名で、マレーシアや周辺国、そして日本の学生が共に学ぶ
- 4年間の課程修了後、日本国内大学と同等の学士学位を取得可能
この分校の設置は2023年12月、マレーシア資格機構(MQA)により教育課程の認定を受けており、国際的な質保証の面でも信頼が置ける体制となっています。
グローバル化する筑波大学:分校の意義と今後
筑波大学が海外分校として初めての学士号授与機関となったことは、単なる規模拡大にとどまらず、日本ならではの高等教育モデルを世界に発信する大きな一歩です。「地球規模課題の解決」と「多様性ある人材の育成」を掲げ、日本国内に留まらず、東南アジアを中心とする留学生の受け入れ、また日本人学生の新たな留学の選択肢としても注目されています。
2025年度のマレーシア分校第1期生は、13名(うちマレーシア人7名、日本人6名)という構成となりました。入学式では、国籍を越えて将来を担う若者たちが、筑波大学の理念のもと、新天地での学びへの期待に満ちた表情を浮かべていた姿が印象的でした。
「知識」から「創造」へ ― 日大使のメッセージ
入学式には、日本の大使も出席し、新入生へ向けたメッセージを送りました。その中で「知識だけでは不十分、若者には分野を越えた創造的な力を期待している」と述べ、教室や研究室という枠にとらわれない「クロスオーバー・イノベーション」の重要性を強調しました。
今日の国際社会では、情報や知識はいくらでも入手できますが、問題解決力や異分野融合の発想力こそが未来を切り拓く原動力となります。筑波大学マレーシア分校は、それを体現する教育拠点として、学際的・実践的な学びを推進しています。
- 異なる文化や分野の交流によるイノベーション
- 英語、日本語、多言語環境での思考力育成
- 国際的な「学びのコミュニティ」の構築
特別式典:名誉博士号授与と祝辞の光景
さらに同日、筑波大学による名誉博士号の授与式も行われました。本年度はマレーシア側の代表的教育者に対し、その貢献と連携の感謝を示す意味で名誉博士号が贈られました。受賞者は流暢な日本語で「ありがとう」とスピーチし、会場からは盛大な拍手が起こるなど日馬友好、文化交流を象徴する瞬間となりました。
- 日本語による感謝スピーチで場内が一体となり感動
- 日マ両国の教育・文化交流の深化
筑波大学とマレーシア教育界の将来展望
筑波大学マレーシア分校は、教育だけでなく、研究・人材交流面でも日マ両国の架け橋となることが期待されています。多文化共生を推進しながら、新たな社会価値を創造する拠点として、グローバル社会の中で日本とマレーシア双方の発展をけん引していくでしょう。
筑波大学は、これまでの歴史と実績を背景に、「挑戦する大学」「オープンで多様性を重んじる大学」として世界各地にネットワークを広げてきました。今回の海外分校設置はその流れをさらに強化するものです。
- 海外現地で日本水準の学士取得
- 文理融合型、実践的な学び
- 国際的研究拠点の誕生
まとめ:若者たちへのエールと筑波大学の新時代
筑波大学マレーシア分校の開校は、日本の高等教育のグローバル化のみならず、アジア地域の学生に新たな挑戦機会を提供します。知識だけでなく「創造」「実践」「国際協力」の精神を育むことで、未来を担う若者たちは多彩な舞台で活躍する可能性を広げていくことでしょう。
今後も筑波大学ならではの先進的取り組みに注目が集まります。日本とマレーシアの教育交流の新たなページが、いまここから始まっています。