阪神・淡路大震災30年――記憶と祈りを未来へつなぐ
1. 阪神・淡路大震災―その概要と日本社会への影響
1995年1月17日午前5時46分、兵庫県南部を中心に最大震度7の激しい揺れが襲い、「阪神・淡路大震災」が発生しました。約25万棟が全半壊し、6,434人の命が犠牲となりました。
この未曾有の災害は、都市生活の脆さ、日本の地震対策の課題を痛感させました。発災後、多くの人々が生き埋めになり、行政や自治体、住民、ボランティア双方の行動が問われる事態となりました。
30年という節目を迎えた今年、災害の教訓を忘れないための連載や各種事業、イベントが各地で展開されています。震災の経験や教訓は、地域社会にとって今も生きる「学び」の原点です。
2. 「防災の日」に万博会場で灯された竹灯籠――祈りと記憶の継承
2025年9月1日、「防災の日」に合わせて、万博会場では200本の竹灯籠づくりが行われました。この取組みは、阪神・淡路大震災で失われた命へ祈りを捧げるとともに、震災の記憶を次世代へつなぐための象徴的な活動です。実際に灯籠を手作りすることで、参加者は「平和にニコニコ暮らせますように」との願いを込めました。
灯籠の淡い光は、犠牲者への追悼、そして「きずな」「支えあう心」を形にする、優しさと希望の象徴となりました。
- 万博会場で行われた竹灯籠づくりは、震災の記憶と祈り、そして未来への希望を体験的に学ぶ場となりました。
- 「防災の日」の企画として、被害の実態や教訓の継承、防災意識の向上が求められています。
- 参加者一人一人が、震災の記憶を心に刻み、災害への備えの重要性を再認識しました。
3. 地震対策30年の検証――残る課題と市民への訴え
震災から30年を迎えた今も、日本の地震対策には深刻な課題が残されています。一部専門家からは「大勢が生き埋めになる可能性は今も残っている」との指摘もあり、耐震化や危機管理、防災教育など“ハード・ソフト”両面の対策がさらなる強化を求められています。
神戸市は震災後、最新技術の活用や都市レジリエンス向上に努めてきましたが、関係機関の協働や市民の防災参加は欠かせません。被災地支援や災害対応訓練、記憶の継承イベントも全国各地で実施されており、課題意識とともに防災力の底上げが進められています。
- 耐震化の遅れた建物は未だ全国に多く残存し、災害発生時のリスクが指摘されています。
- 行政や自治体のみならず、市民一人ひとりが「自分ごと」として防災を考える必要があります。
- 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえた防災教育、地域コミュニティでの対話、備蓄や避難行動の習慣化が重要です。
4. 記憶を語り継ぎ、地域のきずなで未来を守る
震災30年に際し、多くの都市や団体で慰霊式や講演、資料展、防災訓練などが行われています。例えば神戸市では「レジリエンスセッション 震災と未来のこうべ博」や、国際会議「グローバルカンファレンス」を開催し、国内外の都市と防災や気候変動対策について議論しました。
また、宝塚市の犠牲者慰霊式、西宮市の追悼事業、尼崎市の語り部活動など、各地で震災の記憶を共有し、教訓の継承が進められています。
- 「きずな」「やさしさ」「思いやり」など、震災を経て培われた価値観を子どもたち、次世代へ語り継ぐことが重視されています。
- 地域コミュニティでの講演や語り部活動では、震災の経験や避難の心得を具体的に伝えています。
- 「阪神・淡路大震災1.17のつどい」など、定期的な集まりによって犠牲者を追悼し、地域の絆や支え合いの大切さを再確認しています。
5. 教訓から生まれる“防災力”――未来への挑戦
阪神・淡路大震災から得た教訓は、様々な形で社会の防災力強化に活かされています。神戸大学は、震災で失われた学生・教職員の記憶を原点に、防災・減災や復興研究を推進しています。震災資料の保存、次世代への継承、地域支援も精力的に進めています。
こうした活動は、地震のみならず豪雨や台風、大規模災害全般に対する社会的対応力向上につながります。重要なのは、「記憶」「祈り」「教訓」を絶やさず、全国・地域社会で継続的な取り組みを進めることです。
- 災害時の連携やネットワークづくり、ボランティア活動の組織化が定着しつつあります。
- 被災地では資料展や研修、地域の語り部などで震災の体験を伝えています。
- これからも「命を守るための備え」として、一人ひとりが日常生活で防災を意識することが欠かせません。
6. 防災の日に考える――「平和にニコニコ暮らせますように」
防災の日に万博会場で灯された竹灯籠のあかりには、震災の記憶と祈り、そして日常の平和への願いが込められていました。
灯籠を作る手仕事のなかに、犠牲者への敬意、家族や友人への思い、未来への希望がひとつひとつ刻まれています。
“平和にニコニコ暮らせますように”――そんな願いを、世代を越えて継承し、いつ起こりうるとも知れない地震に向き合い続けること。それこそが、阪神・淡路大震災の30年が私たちに問いかける最大の課題です。
- 竹灯籠づくりや慰霊式は、防災への意識を高め、地域のつながりを深める重要な機会です。
- 震災を学び、備え、祈ることで、平和な社会を守る力につながります。
- 「平和」「祈り」「記憶」の意味を一人一人が考え、行動に移すことが、真の防災につながります。
7. まとめ――阪神・淡路大震災30年、未来へ受け継ぐべきもの
今年、阪神・淡路大震災から30年を迎え、日本社会は被災地の記憶と教訓、そして祈りを新たな形で継承しようとしています。万博会場での竹灯籠作り、各地での慰霊式、語り部活動などを通じて、“災害はいつか必ず来る”という現実と、そこに寄り添う「人の絆」「支え合い」の尊さが繰り返し語られています。
私たちが未来に向けて備えるべきは、知識や物資だけでなく、地域・社会に根差した相互支援の仕組みです。震災の記憶、教訓、祈りを絶やさず、次世代への継承を強く意識する――それが、災害列島・日本で最も大切な「いま」の選択と言えるでしょう。