8年ぶりJ1の舞台へ――岩崎悠人がV・ファーレン長崎加入へ 昇格クラブの「補強第1号」が持つ意味

V・ファーレン長崎が、アビスパ福岡所属のFW岩崎悠人選手を完全移籍で獲得する方針で大筋合意に達したことが分かりました。
8年ぶりにJ1へ昇格した長崎にとって、今オフ待望の補強第1号となる見込みのこの移籍は、クラブの来季構想を象徴する動きとして大きな注目を集めています。

岩崎悠人とはどんな選手? 経歴と特徴

滋賀県彦根市出身の岩崎悠人は、1998年6月11日生まれの27歳。京都橘高校から2017年に京都サンガF.C.へ加入し、その後は北海道コンサドーレ札幌、湘南ベルマーレ、ジェフユナイテッド千葉、サガン鳥栖など複数クラブを渡り歩き、2024年にアビスパ福岡へ完全移籍で加入しました。

ポジションは登録上はFWですが、ウイングバックシャドーなどでも起用される、現代的なマルチアタッカーです。
身長173cm、体重72kgと際立った大型ではないものの、スピード豊富な運動量を武器に、前線からの守備やサイドでのアップダウンを精力的にこなすタイプとされています。

2025シーズン(今季)のJ1では、主にアビスパ福岡でウイングバックとして起用され、34試合出場1得点2アシストを記録。決定機への関与だけでなく、守備やビルドアップへの貢献度も高い選手として評価されています。
J1通算では172試合出場5得点と、まだゴール数こそ多くありませんが、豊富な経験を積んだ27歳という年齢は、これから円熟期を迎えていくタイミングでもあります。

また、2022年にはE-1選手権(東アジアE-1サッカー選手権)で日本代表に選出され、香港戦で日本代表デビューを果たしています。この経験は、J1で戦ううえでのメンタル面・戦術理解の面でも大きな財産となっているはずです。

岩崎が長崎を新天地に選んだ背景

報道によると、岩崎は複数クラブからのオファーや選択肢がある中で、熟考を重ねた末に「新天地でのチャレンジ」として長崎への移籍を決断したとされています。
長崎は2025シーズンにJ1昇格を果たしたばかりのクラブですが、ジャパネットたかたのグループが経営に携わり、最新鋭のスタジアムをはじめとする充実したクラブ環境を整えつつあります。

来季はJ1での戦いに備えると同時に、2月から始まる特別大会「百年構想リーグ」に参加し、J1仕様の土台作りを進めることが計画されています。
こうした中で、J1での実績を持ち、複数ポジションをこなすことのできる岩崎は、クラブとして最優先で獲得したい存在だったと考えられます。

指揮を執るのは、来季も続投が決まっている高木琢也監督。前線からの献身的な守備、速い攻撃への切り替え、サイドのハードワークなど、高木監督が志向するサッカーに、岩崎の特長は非常によくフィットすると見られています。

V・ファーレン長崎にとっての「補強第1号」の意味

今オフの長崎は、J1昇格クラブとして、まずはJ1でも戦える陣容の構築が急務となっています。
その中で、「補強第1号」に岩崎を迎えるということは、クラブが来季の戦い方として

  • スピードと運動量を生かしたダイナミックなサッカー
  • 前線からの連動した守備
  • サイドの強度と厚み

といったポイントを重視していることの表れでもあります。
また、攻撃だけでなく守備面でも90分間走り続けられる岩崎のプレースタイルは、J1で戦ううえで求められる「総合力」を象徴する存在と言えるでしょう。

チームの屋台骨を支える守護神・後藤雅明が契約更新

一方で、クラブは現有戦力の維持にも動いています。
ゴールキーパーの後藤雅明選手については、クラブから契約更新が発表されており、来季も長崎のゴールマウスを守ることが決まりました(クラブ発表・関連報道)。
後藤は安定したショットストップ能力と足元の技術で評価されており、J1での戦いにおいても重要な役割を担うと見込まれています。

また、地元メディアである長崎サッカーマガジン「ViSta」では、江川湧清後藤雅明山田陸の3選手が長崎との契約を更改したことが伝えられています(「ViSta」報道)。
守備の要や中盤を支える選手たちがクラブに残留することは、J1での激しい戦いに臨むうえで、大きな安心材料です。

「守るべき軸」と「伸ばすべき部分」をどうバランスさせるか

J1昇格直後のクラブにとって、オフシーズンの補強と契約更改は、クラブの未来を左右する重要な局面です。
今回の長崎の動きを見ると、

  • 守備の軸となるGK後藤ら、既存戦力の核をしっかり残す
  • そこに、J1経験豊富で複数ポジションをこなせる岩崎のような選手をポイント補強として加える

という、非常にバランスの取れた方針が見えてきます。
特に初年度のJ1は、昇格クラブにとって「守りのシーズン」になりがちですが、スピードと運動量のあるアタッカーがいることで、カウンターやトランジション(攻守の切り替え)からの得点チャンスを増やすことが可能になります。

岩崎がサイドで走り続けることで、相手のサイドバックやサイドハーフを自陣に押し込むことができれば、結果的に長崎の守備も楽になります。
「守備的な補強」と「攻撃的な補強」は対立するものではなく、岩崎のような選手は攻守を結びつける存在として、チーム全体のバランスを整えてくれるはずです。

サポーターが期待する「J1定着」への一歩

YouTubeなどでも、すでに「長崎が福岡FW岩崎悠人を獲得へ」「覚悟の移籍」といった形で、この移籍に関する話題が取り上げられています。
多くのサポーターが期待しているのは、単なる「J1昇格」で終わらず、J1に定着し、上位進出を狙えるクラブへと成長していくことでしょう。

岩崎の加入が正式発表となれば、攻撃面だけでなく、チーム全体の「強度」や「スピード感」が一段階引き上がる可能性があります。
さらに、代表歴を持つ選手がチームに加わることは、若手選手たちにとっても刺激となり、競争力の向上につながります。

一方で、J1の舞台は甘くありません。長崎にとっては、これからも

  • J1レベルで戦える選手層のさらなる充実
  • 既存選手との連携を高めるための準備期間の活用
  • 百年構想リーグを通じた戦術的な成熟

といった課題に向き合っていく必要があります。
その中で、岩崎のように複数ポジションで起用できる選手は、高いレベルのリーグを戦い抜くための「保険」としても、大きな価値を持つ存在です。

これからの正式発表と、今後の補強の行方

今回の報道では、岩崎の長崎加入については「すでに大筋合意」、「近日中に正式発表される見通し」とされています。
正式なコメントや背番号、契約年数などの詳細は、クラブからのリリースを待つ必要があります。

また、岩崎が補強第1号となることで、

  • 今後、どのポジションにどのタイプの選手を加えていくのか
  • 高木監督が来季をどうデザインしているのか

といった点にも、自然と注目が集まります。
守備陣、中盤、前線と、J1の強度に対応するためには、まだ補強が必要なポジションもあると見られますが、その中で「最初の一手」としてスピードスターを選んだ長崎の姿勢は、攻守にアグレッシブなサッカーを志向していることの表れに思えます。

クラブとしては、岩崎のような選手を軸に、既存戦力との相乗効果を生み出しながら、J1での確かな足場作りを目指していくことになるでしょう。
サポーターにとっては、スタジアムで岩崎がサイドを駆け上がり、ゴールやアシストに絡む姿を見る日が待ち遠しいところです。

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