ソフトバンク・周東佑京、2年間の選手会長任期を終えて――WBCイヤーへの新たな決意

福岡ソフトバンクホークスの周東佑京選手(29)が、2025年シーズン限りで選手会長を退くという大きな転機を迎えた。2024年から2年間務めた重責を終え、次なるステージへの準備も着実に進めている。今、周東選手が抱える思いや、選手会長卒業に至るまでの舞台裏、そして今後の展望を、こまやかに追う。

2年連続の大役、選手会長としての悩みと成長

本当に悩んだ」――。2025年、パ・リーグ連覇と5年ぶりの日本一を達成したソフトバンク。そのチームを牽引した中心人物として、周東佑京は選手会長2年目の重責を果たしきった。パ・リーグ連覇の喜び、そして5年ぶりの日本一達成という華やかな成果の裏で、周東選手は次期選手会長の選定という難題に直面。シーズン中も候補者を巡って「クリ(栗原陵矢)がやるのか、マツ(松本裕樹)がやるのか、自分が続けるのか」と苦悩したことを明かしている

  • 選手会長は、球団や報道陣の前でチームを代表して発言する極めて大きな役割。
  • 自らの発言・行動がそのままチームの意思となるため、強い責任感とリーダーシップが求められた。
  • 「やって良かった」と言い切る周東選手だが、葛藤の日々があったのも事実。

選手会長としての2年間は彼を人間的にも大きく成長させた期間だった。就任1年目となる2024年には、初めて規定打席にも到達し、リーダーとしてだけでなく野球選手としても確かな実績を残した。2025年はケガにも苦しみながらも、日本一奪還という大目標を達成した。

任期満了、次期会長へのバトン

10月30日、阪神との日本シリーズ第5戦――日本一が決まる直前、周東選手は1学年下の栗原陵矢選手に「お前に任せた」と言葉をかけ、バトンを託した。候補に挙がっていたのは、栗原陵矢、松本裕樹、柳町達、川瀬晃の4人。「本当にいなければもっと下の世代でも良いと思っていた」と、その選定には熟慮を重ねた。

栗原選手に決めた理由について、

  • 自分と同じように、良い時期も悪い時期もケガで苦しんだ時期も経験してきた。
  • 今シーズンの初め、「2人で引っ張ろう」と語り合った仲であること。
  • 責任感や経験値を総合して、「もうクリしかいない」と確信。

「選手会長じゃないから手を抜くのではなく、これからも先頭に立ってチームを引っ張る」と、自身の熱い思いを語った

2025年シーズンの苦難と成果――チームを動かした発信力

周東選手の2年目となった2025年シーズンは、満身創痍で臨む厳しい一年だった。度重なるケガでフル出場は叶わなかったものの、若手選手の活躍を「本当にうらやましく思いました」と公平に評価する謙虚さが周東の持ち味。

それでも、「チームの先頭に立って走っていく」というスタンスは変わらず。大役のプレッシャーと向き合いながら、時に「あえての発言」で空気を変えるリーダーシップを発揮し、チームに新たな風を吹き込んだ。

WBC出場へ―充実のオフシーズンと新たな決意

2年間の選手会長卒業後、周東選手は来春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場へ視野を定めている。「選んでもらえたら行ける状態に」と、オフは例年と一味違う充実ぶり。昨オフのような左膝手術などのアクシデントもなく、しっかりと来年へ向けた準備期間を送る。番組出演でも「3割」と具体的な目標を掲げ、自身初の全試合出場も誓った

  • 「準備を整えて最高の一年にしたい」と語る現在、野球人生の新章が始まっている。
  • WBCイヤーにふさわしい、コンディション最良の状態での代表入りに期待が高まる。

選手として、リーダーとしての歩み――周東佑京の軌跡

明豊高―東農大北海道オホーツクを経て2017年育成ドラフト2位でソフトバンク入団。走塁・守備・打撃、いずれにおいても着実にステップアップしてきた周東選手は、2020年に初の規定打席・安打数・打率アップを果たし、盗塁王のタイトルも獲得。以後、主力としてチームを支える存在へと成長する

  • 選手会長就任も、他選手や首脳陣からの信頼の厚さを証明。
  • 2025年10月、選手会長として日本シリーズ優勝の祝勝会でも「周東佑京選手会長の発声」で盛り上げ役を担う一幕も

「打つ方でのタイトルが一番欲しい」という本人の言葉通り、今後も攻守両面で更なる成長が期待されている。選手会長任期を終え、チームのリーダーシップスタイルは個人へと回帰するが、その闘志溢れる姿勢は変わらない。

次期選手会長・栗原陵矢選手に託したもの

周東選手からバトンを受けたのは、兄貴分とも慕われる栗原陵矢選手。公私ともに関係が深く、選手会長職の悩みやチーム運営の考え方も共有してきたのは確か。「栗原しかいない」と全幅の信頼で手渡された新リーダーには、これまでの経験や責任感が強く期待されている。

一方、周東選手にも「会長を降りても、常に先頭に立つ姿勢を貫く」という覚悟がある。責任の所在は変わっても、チームを鼓舞し続けるリーダーたちの交代劇が、ホークスの強さを裏支えしている。

周東佑京という人間――後輩、チーム、ファンへ向けた姿勢

選手会長として、常に「自分以外のために動く時間が増えた」と語った周東選手。自身の言動が後輩やスタッフ、ファンにどう影響するかを常に意識し続けた2年間だった。それはグラウンドの外、ファンフェスでの挨拶や、若手選手の支援といった場面でも如実に現れている。

また「悩みながらもやって良かった」と語る彼の表情は、リーダー経験による充実と誇りに満ちていた。

  • 選手会長退任後、再び自分のプレーに全力で向き合えることへの解放感も明かす一方、「決して気を抜かず、変わらずチームを引っ張る」と、気持ちを新たにしている
  • 「全試合出場」「3割打者」としての自分、そしてWBCという大舞台に挑む自分へ。過去と未来への挑戦が、周東佑京をますます輝かせる。

これからの周東佑京――希望と挑戦の2026年シーズンへ

2026年シーズンに向け、「自分のことに集中できる年にしたい」と語る周東佑京。選手会長という重荷を降ろし、野球人としての本分に立ち返るこの新たなスタート地点で、WBC出場も視野に入れる。

「3割」「全試合出場」「打撃タイトル」と、さらなる高みを目指す周東選手の挑戦はこれからだ。ソフトバンクホークスを牽引し、世界を舞台に戦う姿に、ファンも大いなる期待と声援を送る。

最後に―ファンと共に歩むリーダーから真の勝負師へ

2年間の選手会長としての輝かしい歩み、仲間への思い、そして苦難を超えた経験。すべてを糧に、野球人生の新たな一歩を踏み出す周東佑京。次代を担う仲間たちとともに、最強のチームを目指すその背中に、熱い期待は尽きない。ファンとともに歩むリーダーは、真剣勝負の舞台でさらなる飛躍を遂げるに違いない。

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