松阪市制20周年を駆ける「みえ松阪マラソン2025」 市民とランナーが紡ぐ特別な一夜と大会前日
三重県で唯一のフルマラソンとして定着してきた「みえ松阪マラソン2025」が、松阪市制20周年という大きな節目と重なり、今年は例年以上に大きな盛り上がりを見せています。
大会は2025年12月21日(日)、松阪市のクラギ文化ホール前をスタート地点に、松阪市総合運動公園をフィニッシュとする日本陸連公認コースで開催されます。
フルマラソンに加え、5kmのファンラン、7kmの健康ウオークも実施され、走力や目的に応じて幅広い層が参加できる構成となっています。
松阪市制20周年記念企画「松阪の一夜 in クリスマスナイト」
大会を彩る関連イベントとして注目を集めているのが、松阪市制20周年記念×みえ松阪マラソン応援企画「松阪の一夜 in クリスマスナイト」です。
この企画は、マラソン参加者だけでなく、市民や観光客も一緒になって楽しめる“お祝いの夜”として位置づけられており、松阪のまち全体でランナーを歓迎し、松阪市制20周年を祝う場となりました。
会場周辺では、クリスマスシーズンらしいイルミネーションや装飾が施され、歴史ある城下町・松阪の雰囲気と相まって、幻想的で温かみのある夜の風景が広がります。
松阪牛や松阪茶をはじめとする地元グルメのブース、特産品の販売、音楽やステージパフォーマンスなど、多彩なコンテンツが用意され、翌日のレースを前にしたランナーたちの緊張を和らげる“おもてなしの時間”となりました。
特に、松阪市制20周年という節目に合わせた記念企画とあって、地元の人々の参加意識も高く、ボランティアや商店街、地元企業など、多くの主体が協力してイベントを支えています。
「松阪の一夜 in クリスマスナイト」は、単なる前夜祭の枠を超え、「走る人」「支える人」「迎える人」がひとつにつながる象徴的な場として、松阪の新たな冬の風物詩になりつつあります。
4年連続出場の川内優輝選手「リベンジを兼ねて頑張りたい」
今年の前夜祭でもう一つ大きな注目を集めたのが、元公務員ランナーとして知られ、今なお第一線で活躍する川内優輝選手の存在です。
川内選手は4年連続でみえ松阪マラソンに出場しており、松阪のコースや地元の雰囲気を熟知した“常連ランナー”として、多くのファンや市民から親しまれています。
大会前日に開かれたみえ松阪マラソン前夜祭では、川内選手が登壇し、ランナーたちとの交流の時間が設けられました。
その場で川内選手は、「リベンジを兼ねて頑張りたい」と力強くコメント。これまでのレースでの悔しさや課題を胸に、今年の松阪にもう一度勝負をかける強い意気込みを語りました。
前夜祭では、川内選手が練習方法やレース当日のペース配分、寒さ対策などについて質問に答える場面もあり、市民ランナーたちは熱心に耳を傾けていました。
「アップはどれぐらいの時間がいいか」「30km以降の失速をどう防ぐか」など、フルマラソンに挑む多くの参加者にとって切実なテーマについて、川内選手ならではのリアルな経験談が共有され、会場は大いに盛り上がりました。
また、サイン会や写真撮影の時間も設けられ、憧れのトップランナーと間近に触れ合える貴重な機会となりました。
川内選手と握手を交わした市民ランナーからは、「明日の42.195kmを完走する勇気をもらえた」「自分も『リベンジ』のつもりで最後まであきらめずに走りたい」といった前向きな声が聞かれ、トップランナーの言葉が多くの参加者の背中を押した様子がうかがえます。
大会前日の準備風景 見えないところで支える人たち
「みえ松阪マラソン2025」の開催を支えるうえで欠かせないのが、大会前日の準備作業です。大会実行委員会やボランティア、市職員らは、前日からコース各所に分かれて、細かな確認と設営を進めました。
スタート地点となるクラギ文化ホール前や、フィニッシュの松阪市総合運動公園では、ゲートや案内看板、計測機器の設置、導線の確認などが行われ、翌朝スムーズにスタートできるように入念なチェックが続きました。
コース沿道では、距離表示の確認、安全柵やコーンの設置、救護所や給水所の準備も進められました。
給水所では、水やスポーツドリンクに加え、松阪の特産品を活かしたエイドの準備も行われます。
松阪牛、松阪茶、松阪赤菜、いちご、うれしの大根、あさり、あおさなど、地域色豊かな食材が並ぶのも、この大会の大きな魅力のひとつです。
また、約1kmにわたるトンネルのプロジェクションマッピングも、みえ松阪マラソンならではの特徴的な演出です。
ランナーがトンネル内を走り抜ける間、壁面に映し出されるカラフルな映像が、長丁場のレースにちょっとした驚きと楽しさをもたらします。
この演出の準備も前日から入念に行われ、映像や照明のチェックを重ねながら、本番に向けた最終調整が続けられました。
ボランティアスタッフも、前日から説明会や現地確認に参加し、当日担当する持ち場の役割を確認しました。
ランナー受付、手荷物預かり、給水所運営、コース誘導、フィニッシュ後の動線案内など、それぞれの持ち場での動き方を細かく共有し、初めて参加するボランティアにも分かりやすいようにサポート体制が組まれています。
こうした地道な準備作業があるからこそ、当日、ランナーは安心して走ることができます。
大会の裏側で動く人々の存在は表舞台に出ることは少ないものの、「みえ松阪マラソン2025」の成功に欠かせない大きな力となっています。
三重県唯一のフルマラソンとしての役割
みえ松阪マラソンは、三重県内で唯一のフルマラソン大会として位置づけられており、県内外から多くのランナーが集まるビッグイベントです。
フルマラソンの部は日本陸上競技連盟公認コースで、記録を狙うランナーにとっても信頼性の高い大会となっています。
また、完走者にはフィニッシャーメダルとフィニッシャータオルが贈られ、達成感を形として残すことができます。
加えて、5kmのファンランや7kmの健康ウオークも設定されており、「記録を狙うランナー」だけでなく、「初めてマラソンイベントに参加する人」や「家族や仲間と楽しみたい人」も気軽に参加できるのが特徴です。
参加者には、おもてなしの一環としてエコバッグやおもてなしチケット(飲食などに利用できる券)が配布され、松阪市内の飲食店や商店を回りながら、走るだけではない“まちの魅力”に触れる楽しみ方も提案されています。
ランナーと松阪のまちが紡ぐ物語
みえ松阪マラソンのコースは、松坂城下町の歴史と、豪商のまちとして栄えた松阪の文化を感じられるルートとして設計されています。
走りながら目に入るのは、城跡や古い町並み、田園風景など、松阪ならではの風景です。
コースには坂道も多く、「声援を 坂を 風を味方に」という大会のキャッチコピーが示すように、ランナーは風を切りながら、沿道からの温かい応援を力に変えて前へ進みます。
沿道では、地元の小中学生や地域団体が応援旗を振ったり、太鼓や楽器で演奏したりと、さまざまな形で声援を送ります。
「がんばれ」「あと少し」「ナイスラン」といった言葉は、きつい局面を迎えたランナーにとって、何よりのエネルギーになります。
また、近鉄による臨時列車の運行や運転区間延長など、交通面でも大会を支える取り組みが行われており、県外から訪れるランナーや応援の人々がスムーズに会場へアクセスできるよう工夫されています。
松阪市制20周年とこれからのみえ松阪マラソン
松阪市制20周年の節目に開催される「みえ松阪マラソン2025」は、単なるスポーツイベントにとどまらず、「松阪というまちの今」と「これから」を象徴する場にもなっています。
市制20周年記念企画「松阪の一夜 in クリスマスナイト」での賑わい、川内優輝選手の「リベンジを兼ねて頑張りたい」という決意の言葉、そして大会前日からコースを整え続ける多くの人々の姿。
そのすべてが積み重なって、「走ること」を中心に、市民とランナー、地域とスポーツが一体になる特別な時間を生み出しています。
みえ松阪マラソンは、今後も三重県唯一のフルマラソンとして、そして松阪の冬の風物詩として、多くのランナーと市民に愛される大会であり続けるでしょう。
今年、この地で走る一人ひとりの挑戦と、沿道で支えるすべての人の思いが、新たな松阪の物語をつくっていきます。


