山本由伸、自身初かつ球団21年ぶりのポストシーズン完投 ミルウォーキーの地を沈黙させる
2025年10月14日(現地時間)、ナ・リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ(NLCS)第2戦。ミルウォーキー・ブルワーズの本拠地アメリカンファミリー・フィールドにロサンゼルス・ドジャースが乗り込みました。先発は山本由伸投手。日本ではすでに〝令和の大投手〟として知られる山本選手ですが、この日の一戦は彼のメジャーキャリアの中でも特別なものとなりました。
試合は山本が初球から96.9マイル(約156キロ)の速球を投げ、ブルワーズの先頭打者チョウリオにいきなり本塁打を打たれるというまさかのスタート。しかし、山本はここから沈黙。2回以降はほとんど走者を許さず、粘りのピッチングを見せます。6回、7回、8回と三者凡退に仕留め、9回にも登板。3番から5番までの強力なクリーンアップを難なく抑え、9回3安打1失点7奪三振、111球の完投勝利をしっかりと挙げました。
この完投は、山本自身がメジャーで初めて達成しただけでなく、ドジャース球団としても2004年のホセ・リマ以来21年ぶりの「ポストシーズン完投」という歴史的快挙となりました。さらにMLB全体でみても、ポストシーズンで初完投を達成したのは史上5人目というレアな記録。名だたる先人(ジョシュ・ベケット、リバン・ヘルナンデスら)に並ぶ金字塔です。
圧巻の投球にグラスノー、スネルらチームメイトからの熱い声
山本の完投劇を直に見ていたタイラー・グラスノー投手は、会見やインタビューで「彼の姿を見ると、すべてが一貫している」「見ていて楽しい男」と、尊敬を込めて賛辞を送っています。グラスノー投手自身も次の第3戦で先発する予定で、「ここまでの2試合(先発陣の好投)はとんでもなく印象的。敵地でこんな風に良い投手が連投できるのは大きい」と、チームメイトの活躍に触発されている様子でした。
記録を意識するか否かについて、山本は「打順がいいので一番リスクの低いボールを投げました」と冷静に分析しつつも、9回のマウンドに立つ直前はプライヤー投手コーチと綿密に打ち合わせ。エースとしての責任感をのぞかせました。この日の山本の投球は、米メディアや解説陣からも「ほぼ完璧だった」「ポストシーズンでは8年ぶりの完投」と評価され、ドジャースの投手陣がいかに充実しているかを世界に知らしめる結果となりました。
ブルワーズ先発起用にロマンあり? 監督たちの「難しい選択」とドジャースの分業制時代の〝価値観〟
一方、敵地で2連敗を喫したミルウォーキー・ブルワーズの投手起用についても注目が集まりました。スポニチアネックスの報道によれば、ドジャース・ロバーツ監督はブルワーズ側の投手配置について「難しい選択を迫ることが大事だ」とコメントし、ポストシーズンの過酷な投手ローテーション構築の難しさを語っています[ニュース内容2]。監督として、短期決戦での先発・リリーフの決断がいかに重要かを改めて示す内容です。
現代メジャーでは、「先発は5回、6回までが主流」「勝ち負けの分かれ目はリリーフ陣の働きにかかわる」など、分業制が当たり前となっています。しかし、ドジャースの投手コーチ陣は「(山本やスネルが持つ完投能力は)時代を超越する条件。彼らは本当の意味で『投手』だ」とその価値を強調[ニュース内容3]。短期決戦だけに、エースの存在が戦局を大きく左右することを強調しました。
この試みは、ドジャース投手陣のバランスの良さも浮き彫りにします。先発陣(山本、スネル、グラスノーら)が安定した投球で好成績を残し、リリーフ陣がしっかり抑える。まさに理想的な分業体制が完成しています。
山本由伸、歴史的快挙の裏にあるエピソードと「謎の名手」の評価
山本の快投を報じるFull-Countの記事では、レジェンド右腕とされるある匿名の名手が「彼の投球は素晴らしすぎる」と評価したことが紹介されています。その選手は「これから先のピッチングで(山本に)一つのことをやらせたい」という意味深なコメント。投球の内容や姿勢が、OBや現役選手たちの間でも高く評価されていることをうかがわせます[ニュース内容1]。
実際、山本の投球術は「変化球が非常に多彩」「ピンチに強く、気持ちの切れ目がない」「投球内容が一貫している」と各方面から絶賛。とくに9回のマウンドに立った際は、14球中13球が変化球という巧みな配球で打者を翻弄し、最後は力投で三振を奪う完璧なフィニッシュ。今後の山本投手のさらなる活躍が期待されます。
大谷翔平も援護 勝ちパターンと選手同士の高め合い
打撃面でも、前日ホームランを放ち、この日も「1番・DH」で先発した大谷翔平選手が、7回に4試合ぶりの適時打を放ち、ポストシーズン初盗塁も決めるなど活躍。投手だけでなく、野手陣の厚みもドジャース優位を後押ししています。山本やスネル、グラスノーらが先発陣で好投を続ければ、ブルワーズもなかなか反撃できない展開となるでしょう。
ドジャースの投手陣は、大谷翔平やフリーデイら主力野手の加勢もあって、勢いそのままに本拠地での第3戦を迎えることになりました。グラスノー投手も「明日の自分の登板でもいい投球ができることを願うよ」と意気込みを語っており、チームの連勝が続くのか、それともブルワーズの大逆襲があるのか。MLBファンならずとも目が離せません。
まとめ
この日の山本由伸投手の「メジャー初完投」は、球団史に刻まれる快挙となりました。彼の徹底した冷静さ、技術力、そしてエースとしての風格が、短期決戦の熱気に包まれたミルウォーキーの地で鮮烈に花開いた瞬間です。
グラスノーやスネルらとともに築くドジャース黄金投手陣。先発・リリーフの分業制が当たり前の時代に、〝完投能力〟という“レガシー”を堂々と示した山本の存在は、MLB全体に大きなインパクトを与えることでしょう[ニュース内容3]。また、ロバーツ監督のマネジメント力、そしてブルワーズの投手起用論議も含め、ポストシーズンならではの「監督の選択」が勝利のカギとなっています。
今後も、山本由伸やグラスノーらドジャースの投手陣がどのような投球でファンを魅了するのか。そして、謎の名手が「次やらせたい」と熱視線を送る山本のピッチングに、熱い注目が集まり続けることは間違いありません。