2025年現役ドラフト、いよいよ開催へ ヤクルト注目選手と過去3年間の傾向をやさしく解説
日本野球機構(NPB)は、2025年度の現役ドラフトを12月9日に開催します。各球団が2人以上の対象選手をリストアップし、必ず1人以上を他球団から指名するというこの制度は、出場機会に恵まれていない選手に新たな舞台を用意することを目的としています。
ここでは、特に話題となっている東京ヤクルトスワローズの注目選手、これまでの過去3回の現役ドラフトの傾向、そして評論家の高木豊さんが語る巨人の「対象候補」像について、初心者の方にも分かりやすい形で整理してご紹介します。
現役ドラフトとは?制度の基本をおさらい
現役ドラフトは、2022年から始まった新しい選手獲得制度です。ファンの間では「チャンスを求める選手の移籍の場」として定着し始めています。
- 対象は、各球団がリストアップした支配下選手の一部
- 各球団2人以上を対象選手として提示
- 他球団の対象選手から、必ず1人以上を指名しなければならない
- トレードとは異なり、「出場機会の創出」と「戦力の活性化」が主な目的
過去の現役ドラフトでは、移籍をきっかけに一気にブレイクする選手も出ており、「新天地での飛躍」がキーワードになっています。
ヤクルトの現役ドラフト注目選手(6人) 「チームによっては主力級」も?
ベースボールチャンネルなどでは、2025年現役ドラフトでヤクルトの注目選手6人が紹介され、「チームによっては主力級になり得る選手もいる」として話題になっています。
ここでは、その中から特に名前が挙がっている選手を中心に、特徴や現状をやさしく整理してみます。
丸山和郁:俊足巧打の外野手、勝負のシーズンへ
丸山和郁(まるやま かずや)外野手は、ヤクルトが誇る俊足巧打タイプの外野手
- 投打:左投左打
- 身長/体重:174cm/80kg
- 生年月日:1999年7月18日
- 経歴:前橋育英高 – 明治大
- ドラフト:2021年ドラフト2位(ヤクルト)
高校・大学時代はいずれも世代別日本代表に名を連ねた実力者で、「走攻守三拍子そろった外野手」として高い評価を受けてきました。
しかし、プロ4年目となった今季は、右有鉤骨骨折による長期離脱もあり、自己ワーストとなる39試合出場にとどまりました。 本来の能力を考えると、物足りなさが残るシーズンで、来季は勝負の1年と言われています。
外野にはライバルも多く、出場機会をつかみきれていない現状から、現役ドラフトで名前が挙がる可能性もあり、「環境を変えればレギュラークラスになり得る」との見方も出ています。
武岡龍世:内野の有望株、競争激化で現役ドラフト候補に
武岡龍世(たけおか りゅうせい)内野手も、現役ドラフトの対象として名前が挙がることが多い選手の一人です。
- 投打:右投左打
- 身長/体重:179cm/77kg
- 生年月日:2001年5月28日
- 経歴:八戸学院光星高
- ドラフト:2019年ドラフト6位(ヤクルト)
入団後は二遊間を中心に出場機会を重ね、守備力の高さと、打撃でも時折見せる鋭いスイングで、将来を嘱望されてきました。しかし、「攻守に光るものを見せるものの、チャンスを活かしきれていないシーズンが続いている」と評価されています。
さらに、ヤクルトは近年のドラフトで内野手の有望株を次々と獲得しています。2025年ドラフトでも、
- 1位:松下歩叶(法政大・内野手)
- 2位:松川玲央(城西大・内野手)
- 6位:石井巧(NTT東日本・内野手)
といった内野手が指名され、二遊間・内野の競争は一層激しくなっています。
こうした状況から、武岡にとっては「心機一転、新たな環境に身を置くことも選択肢に入る」とされており、現役ドラフトでの移籍が一つのターニングポイントになる可能性があります。
沼田翔平:4年ぶり一軍登板も結果残せず、再出発の場となるか
沼田翔平(ぬまた しょうへい)投手も、現役ドラフトの注目候補として取り上げられています。
- 投打:右投右打
- 身長/体重:175cm/80kg
- 生年月日:2000年6月24日
- 経歴:旭川大高
- ドラフト:2018年育成ドラフト3位(巨人)
もともとは巨人で育成指名を受けた投手で、後にヤクルトへ移籍。今季は4年ぶりとなる一軍登板を果たしましたが、一軍のマウンドでは思うような結果を残せていません。
ただし、球速や変化球の質など「素材の良さ」を評価する声は根強く、「起用法や環境が変われば、ブルペンで戦力になる可能性がある」との見方もあります。そのため、現役ドラフトによる移籍で新たな役割を得る可能性が注目されています。
長谷川宙輝:速球派サウスポー、再浮上を期す左腕
長谷川宙輝(はせがわ ひろき)投手は、貴重な速球派左腕として知られる選手です。
- 投打:左投左打
- 身長/体重:176cm/86kg
- 生年月日:1998年8月23日
- 経歴:聖徳学園高
- ドラフト:2016年育成ドラフト2位(ソフトバンク)
2020年には44試合登板という実績を持ち、リリーフとして一軍で存在感を示したシーズンがありました。 しかし近年は故障や不調などもあり、「不本意なシーズンが続いている」とされています。
それでも、球威のあるストレートを投げ込むサウスポーは、どの球団にとっても貴重な存在です。「活路を見出したい」とされる中、現役ドラフトで投手不足のチームから指名を受ければ、再び一軍のブルペンを支える投手として復活する期待も高まります。
濱田太貴:長打力が魅力の外野手、“スラッガー候補”の現在地
ヤクルトが誇る“スラッガー候補”として名前が挙がるのが、外野手の濱田太貴(はまだ たいき)です。
濱田は、
- 明豊高から2018年ドラフト4位で入団
- 高卒4年目の2022年には一軍で73試合に出場
- 6本塁打を放ち、長打力をアピール
という経歴を持ち、「右の長距離砲候補」として期待されてきました。しかし、その後はケガや打撃不振などもあり、出場機会が伸び悩むシーズンも経験しています。
記事では、「ヤクルトが誇るスラッガー候補」としながらも、スタメン定着には至っていない現状から、現役ドラフトの対象となる可能性があると分析されています。
外野のポジション争いが激しいチーム事情を考えると、「他球団であれば中軸候補として計算される可能性があるタイプ」であり、パワー不足に悩む球団にとっては魅力的な存在と言えます。
内野の競争激化とヤクルトの編成方針
ヤクルトでは、ファームで田中陽翔が頭角を現すなど若手内野手の台頭に加え、2025年ドラフトで前述のような内野手3人(松下歩叶、松川玲央、石井巧)を指名しました。
特に、
- 松下歩叶:法政大出身の内野手で、1位指名。将来の中心打者候補として期待される。
- 松川玲央:城西大出身の内野手。俊足と広い守備範囲を武器としたプレーヤーで、新人選手発表会でも機動力と守備力に注目が集まりました。
- 石井巧:NTT東日本出身の内野手で、守備力の高さと広角に打ち分ける打撃が魅力と紹介されています。
といった特徴を持つ選手が加わり、内野のポジション争いは一段と激しくなりました。
このような状況の中で、武岡龍世をはじめとした既存の若手内野手は、「ヤクルトでポジションを勝ち取るか、現役ドラフトで新天地を求めるか」という岐路に立たされているとも言えます。
過去3回の現役ドラフトを振り返る 「新天地で飛躍した選手たち」
現役ドラフトはまだ始まって間もない制度ですが、すでに成功例と呼べるケースがいくつも生まれています。
週刊ベースボールONLINEなどでは、2025年現役ドラフトを前に、過去3回の内容を振り返りつつ、「新天地で飛躍を遂げた選手」にも注目しています。
その中には、
- 細川成也(中日):移籍後に本塁打を量産し、クリーンアップを任される打者へと成長した例として語られることが多い。
- 大竹耕太郎(阪神):先発ローテーションの一角として活躍し、タイトル争いにも絡むなど、「現役ドラフトの成功例」として代表的な存在。
- 水谷瞬(日本ハム):出場機会を得て、将来性の高さを示した外野手として取り上げられている。
こうした選手たちは、いずれも前所属球団では出場機会が限られていた存在で、「現役ドラフトをきっかけに花開いた」と評価されています。
また、制度2年目以降は、ドラフト1位入団の選手も対象として名前が挙がるケースが増えていると紹介されており、「かつての有望株」「伸び悩む元ドラ1」といったタイプがリストアップされる傾向も指摘されています。
2025年現役ドラフトの全体像 どんな選手が候補に?
2025年12月9日に開催される現役ドラフトに向けて、各メディアは候補選手の予想を行っています。
週刊ベースボールONLINEでは、12球団の「リストアップ候補予想」として、
- 根尾昂(中日):投手登録の元ドラフト1位
- 石橋康太(土田龍空ほか、中日の若手選手)
- 阪口皓亮(DeNAなどから移籍経験のある投手)
といった名前が挙がっており、「高卒で入団し、伸び悩んでいる若手」や「ポテンシャルは高いが、一軍定着まであと一歩」というタイプの選手が多く候補に挙げられています。
この傾向は、ヤクルトの武岡龍世や濱田太貴といった選手像とも重なり、「どの球団にも、現役ドラフトで再評価され得る選手がいる」ということを示しています。
高木豊さんが語る「巨人の現役ドラフト対象選手像」
元プロ野球選手で評論家の高木豊さん巨人の現役ドラフト対象選手を予想
高木さんは、巨人の中に「いいものはあるのに開花しない選手」が複数いると指摘し、そうしたタイプの選手は「現役ドラフトで他球団が食いついてきそう」と分析しています。
具体的な選手名については、公式報道が出ていない段階であるためここでは触れませんが、
- 素材型の若手外野手
- ボールの力はあるが制球に課題を抱える中継ぎ候補
- 守備力は高いが打撃でアピールしきれていない内野手
といったタイプが、「現役ドラフトで声がかかりやすいプロファイル」として挙げられています。
高木さんの指摘は、ヤクルトにおける濱田や武岡、長谷川らと重なる部分も多く、「どの球団にも“眠れる才能”は必ずいる」という現役ドラフトの根本的な意義を改めて意識させる内容となっています。
2025年現役ドラフトで注目したいポイント
ここまで見てきた内容を踏まえ、2025年現役ドラフトで特に注目したいポイントを整理します。
- ヤクルトの内野陣の動き
2025年ドラフトで内野手を複数獲得したことで、武岡龍世ら既存内野手がどういった形でリストアップされるのかが焦点です。 - “スラッガー候補”の去就
濱田太貴をはじめとした長打力タイプの外野手が、パワー不足の球団からどのように評価されるかも見どころです。 - 投手の再生プロジェクト
長谷川宙輝や沼田翔平のような「素材型投手」が、新天地で役割を得られるかどうかは、過去の大竹耕太郎らの成功例とも重なり、注目が集まります。 - 元ドラフト上位指名選手の動向
制度2年目以降、ドラフト1位入団選手の対象入りも増えているとされており、2025年も“かつての目玉選手”の名前が出てくるかどうかが話題となりそうです。
現役ドラフトは、選手にとっては不安もある一方で、「プロとして再出発できるチャンスの場」でもあります。過去に新天地で大きく飛躍した選手たちの存在が、それを証明しています。
ヤクルトの丸山和郁、武岡龍世、沼田翔平、長谷川宙輝、濱田太貴らが、実際にリスト入りするかどうかは、公式発表を待つ必要があります。しかし、各メディアや評論家が彼らの名前を挙げる背景には、「まだ眠っている可能性への期待」があります。
2025年の現役ドラフトが、どの選手にとって「転機」となるのか。ヤクルトをはじめ、12球団の動向から目が離せません。



