YSCC横浜、地域との絆を深める活動が広がる

神奈川県横浜市中区本牧を拠点とするJ3リーグ所属のプロサッカークラブYSCC横浜が、地域社会への貢献活動をさらに拡大させています。1986年の創立以来、「地域はファミリー」をクラブ理念に掲げてきたYSCC横浜の取り組みが、今、改めて注目を集めています。

YSCC横浜は単なるプロサッカークラブではなく、総合型地域スポーツクラブとして、幼児から大人まで幅広い年齢層を対象にした活動を展開しています。創立から約40年近くが経過した現在、クラブは地域住民と深くつながるスポーツクラブを通じた地域文化の発展を目指し、様々なプロジェクトに取り組んでいるのです。

子ども食堂支援でYSCC横浜とのコラボレーション実現

最近のニュースで報じられたのが、三親住設による子ども食堂プロジェクトへのYSCC横浜の協力です。金沢区・磯子区エリアで展開されているこの食堂では、子どもたちが食事を楽しむだけでなく、YSCC横浜の協力のもとでサッカーなどのスポーツも体験できる環境が整備されています。

このコラボレーションは、単に食事の場を提供するという表面的な支援にとどまりません。子どもたちが安心して食べられる食事を確保しながら、同時にスポーツを通じた心身の成長と笑顔を届けるというYSCC横浜の理念そのものを実践する取り組みなのです。

YSCC横浜は2015年に「本牧サポートプロジェクト」を立ち上げ、障がい者施設との共助・協働の取り組みを始めています。今回の子ども食堂支援も、こうした社会への還元活動の一環として位置付けられています。子どもたちにとって、食事の場でプロのサッカークラブからの指導やサッカー体験ができるということは、大きな刺激と希望になることでしょう。

29歳MF田場ディエゴの契約満了で新しいチャプター

一方、YSCC横浜に関する別のニュースとして、29歳のMF田場ディエゴ選手の契約満了が報道されました。田場選手は7年間にわたってYSCC横浜で活躍した選手で、その決別は多くのサポーターにとって感慨深いものとなっています。

田場ディエゴ選手は、日大藤沢高校、国士舘大学を経てYSCC横浜に加入しました。大学卒業後、一度は就職が決まらずにニート状態にあったという過去を持ちながらも、YSCC横浜での7年間を通じてプロサッカー選手としてのキャリアを築いてきたのです。

彼の契約満了というニュースは、単なる選手の移動という報道ではなく、YSCC横浜というクラブが、困難な状況にある若者にチャンスを与える存在であることを象徴しています。「大学を卒業してもニートだった自分を…」というコメントからは、YSCC横浜での経験がいかに本人にとって人生を変える出来事であったかが伝わってきます。

YSCC横浜が歩んできた道

YSCC横浜の歴史を振り返ると、決してストレートなサクセスストーリーではないことがわかります。1986年に「横浜スポーツクラブ」として中学生の指導を中心にスタートしたこのクラブは、1987年に現在の名称である「横浜サッカー&カルチャークラブ(YSCC)」に改称されました。

その後、クラブは着実に成長の階段を登ってきました。2003年に関東社会人リーグ2部に昇格し、翌2004年には2位となって1部昇格を果たしました。2006年の設立20周年を迎えた際には、関東社会人リーグ1部で優勝という大きな成果を上げています。さらに2009年から2011年にかけて、全国地域リーグ決勝大会での3連覇を達成するなど、アマチュアレベルでの確かな実績を積み重ねてきたのです。

こうした下積みの期間を経て、2012年にJFL昇格、2013年にJリーグ準加盟クラブ、そして2014年にJ3リーグ正式参加というステップを踏むことができました。2016年の設立30周年では、すでにプロのサッカークラブとしての地位を確立していたのです。

地域スポーツクラブとしての多面的な活動

YSCC横浜は、単なるプロサッカークラブではなく、地域住民のためのスポーツの場を提供しています。公式のアカデミーでは、プロ選手を目指す子どもたちから、生涯スポーツとして楽しむ大人たちまでが利用できるよう、幼児向けから高齢者向けまで、実に多くのカテゴリーでプログラムが用意されています。

ジュニア・コスモス、ジュニアユース、ユース、セカンドチームといった年代別の組織に加え、社会人向けにはシニアサッカー、ミドル世代向けのチーム、O-40やO-50といった年代別の組織まで存在します。このような構成により、人生のあらゆるステージで本人の希望に合ったサッカー活動が可能になっているのです。

また、サッカーにとどまらず、かつてはテニスやバスケットボール、バドミントンなども教室として開催され、地域の多様なスポーツニーズに応えてきました。このような包括的なアプローチが、YSCC横浜が単なるサッカークラブではなく「スポーツ&カルチャークラブ」と称する所以なのです。

フットサルでの新しい展開

さらに注目すべきは、YSCC横浜がフットサル部門でも大きな存在になっているということです。横浜初のFリーグ加盟クラブとして、フットサルを通じて横浜に「夢・努力・憧れの創造」と「横浜文化の発信」を目指しています。このように、サッカーとフットサルの両輪で、複数のスポーツ分野での活動を展開しているのです。

現在のJ3での活動と今後の展望

2024年現在、YSCC横浜はJ3リーグ参戦11年目を迎えています。長年、J2昇格を目指して戦い続けてきたこのクラブは、2014年のJ3参戦以来、継続的に昇格を目指して競技を続けています。

ホームスタジアムはニッパツ三ツ沢球技場で、収容可能数は15,442人です。本拠地である横浜市中区本牧と、練習グラウンドとしての横浜カントリーアンドアスレチッククラブや海の公園なぎさグランドなど、複数の施設を活用しながら、チームの育成と強化に努めています。

地域への貢献を続けるYSCC横浜

今回報道された子ども食堂へのYSCC横浜の協力と、田場ディエゴ選手の契約満了というニュースは、一見すると異なるテーマに見えるかもしれません。しかし、両者は共通のメッセージを持っています。

それは、YSCC横浜が困難な状況にある人々、特に子どもたちに対して、スポーツを通じた希望と可能性を提供し続けているという事実です。子ども食堂でのサッカー体験は、参加する子どもたちに「自分も何かできるかもしれない」という希望を与えるでしょう。そして、田場選手のような選手がニート状態から7年間のプロキャリアを築き、その経験を語ることも、また別の子どもたちにとって希望の光になるのです。

1986年の創立以来、約40年近くにわたってYSCC横浜が地域とともに歩んできた歴史は、単なるスポーツクラブの成長ストーリーではなく、地域社会への継続的な貢献の記録なのです。子ども食堂への支援、障がい者施設との共助、多世代向けのスポーツプログラムの提供など、これらの取り組みすべてが、「地域はファミリー」というクラブ理念を実践する行動なのです。

今後も、YSCC横浜は横浜のプロサッカークラブとしての活躍を続けると同時に、地域社会に笑顔と夢をもたらす存在であり続けるでしょう。

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