WBOアジアパシフィック・スーパーフライ級王者・川浦龍生、来年2月にV3戦 無敗の韓亮昊と激突へ
プロボクシングのWBOアジア・パシフィック(AP)スーパーフライ級王者・川浦龍生選手が、来年2月10日に3度目の防衛戦(V3戦)に臨むことが発表されました。対戦相手は、同級9位の韓亮昊(ハン・リャンホ)選手で、サウスポーの有望株として注目されている選手です。
試合は東京・後楽園ホールで行われ、三迫ジム主催興行「ダイヤモンドグローブ」のメインイベントとして開催されます。会場は日本ボクシングの“聖地”とも呼ばれる場所で、多くの名勝負が生まれてきたリングです。そこに、アジア圏の強豪同士がぶつかり合う、緊張感あふれる一戦が加わることになりました。
川浦龍生とはどんなボクサー? キャリアと現在の立ち位置
川浦龍生(かわうら・りゅうき)選手は、三迫ジム所属の31歳。戦績は14勝(9KO)2敗と、KO率の高い攻撃的なボクサーです。昨年8月にWBOアジアパシフィック・スーパーフライ級王座を獲得し、その後着実に防衛を重ねてきました。
前戦は今年8月、挑戦者で同級10位の白石聖選手を3-0の判定で下し、2度目の防衛(V2)に成功しています。フルラウンドにもつれたタイトル戦を、ジャッジ3者がそろって川浦選手支持とする内容で制しており、技術・スタミナ・試合運びの総合力の高さを見せつけました。
現在の世界ランキングは、WBO2位、WBA3位に位置しており、世界挑戦も視野に入る非常に重要なポジションにいます。アジアパシフィック王座を守り続けることはもちろんですが、今後の世界戦線を見据えた上でも、今回のV3戦はキャリアの分岐点となり得る試合です。
川浦選手の特徴は、
- 高いKO率を物語る攻撃力
- タイトルマッチでフルラウンド戦い抜けるスタミナ
- ランキング上位にふさわしい安定感のある試合運び
といった点です。特にここ数戦は、単にKOを狙うだけでなく、ポイントを着実に積み重ねるボクシングも身につけており、王者としての円熟味が増していると言えるでしょう。
挑戦者・韓亮昊とは? 「拓真のスパーリング相手」としても知られる無敗のサウスポー
今回挑戦者として名乗りを上げたのは、六島ジム所属の韓亮昊(はん・りょうほ/ハン・リャンホ)選手、28歳です。プロ戦績は5戦5勝(3KO)無敗と、まだ試合数こそ少ないものの、全勝街道を突き進むサウスポーです。
韓選手は、2025年11月24日に行われたWBC世界バンタム級王座決定戦の前に、井上拓真選手のスパーリングパートナーを務めたことでも話題となりました。世界戦に臨むトップレベルの日本人ボクサーの調整相手を務めるということは、実力や技術、そして真剣勝負の場でも通用するクオリティが認められている証拠と言えます。
これまでの戦績からは、
- 左構え(サウスポー)からの鋭いパンチ
- 3KOをマークする決定力
- 短いプロキャリアながらも無敗を維持する安定感
が特徴として挙げられます。世界王者クラスの選手とのスパーを積んできたことで、プレッシャーの強い場面や高度な駆け引きにも対応できる経験を重ねている点も見逃せません。
試合は後楽園ホール「ダイヤモンドグローブ」で開催
このV3戦は、三迫ジムが主催する興行「ダイヤモンドグローブ」のメインイベントとして、2026年2月10日、東京・後楽園ホールで行われます。後楽園ホールは、数多くの日本・東洋・アジアタイトル戦が開催されてきた歴史ある会場で、国内ボクシングファンにとってはおなじみの舞台です。
今回の興行は、
- WBOアジアパシフィック・スーパーフライ級タイトルマッチ(川浦龍生 vs 韓亮昊)
- WBOアジアパシフィック・フライ級タイトルマッチ(長尾朋範 vs 富岡浩介)
- 日本女子ミニマム級王座決定戦(前原香那枝 vs 守隨あゆみ)
という、3つのタイトル戦が組まれた豪華なラインアップになっています。ボクシングファンにとっては、一夜でさまざまな階級・スタイルの試合を堪能できる見どころ満載のイベントです。
“スーパーフライ級”という階級の魅力
今回取り上げられている階級はスーパーフライ級で、体重上限は52.1キロ前後のクラスです。日本やアジア圏では、このスーパーフライ級からバンタム級にかけて、世界的なスター選手が数多く輩出されてきました。
スーパーフライ級の魅力は、
- スピードとパワーのバランスが非常に良い階級であること
- 手数の多い攻防がめまぐるしく入れ替わる展開になりやすいこと
- 世界的にもハイレベルな選手が集まりやすいこと
などが挙げられます。川浦選手のようなKO率の高い王者と、韓選手のような無敗サウスポーがぶつかると、お互いの長所がぶつかり合い、どちらが主導権を握るかが序盤から大きなポイントとなるでしょう。
世界挑戦を見据えた重要な一戦
前述の通り、川浦選手は現在、WBO世界ランキング2位、WBA3位という非常に高い位置にいます。これは、いつ世界タイトル挑戦の声がかかってもおかしくない状況と言えます。
しかし、世界挑戦への道は決して平坦ではありません。アジアパシフィック王者として、そのベルトを守り続けることが、世界戦に向けた大事な“足場”となります。今回のV3戦は、ランキング的には川浦選手が上位でありながら、内容次第では今後の評価や世界戦のタイミングにも大きく影響するでしょう。
一方の韓選手にとっても、この試合はキャリアを飛躍させる大きなチャンスです。プロ5戦全勝という実績に加え、強豪王者に挑むことで、自らの実力を国内外に示す舞台になります。無敗のままタイトルを奪取することができれば、一気に世界ランキング入りや大きな試合のオファーに近づくことになるでしょう。
セミファイナルや女子タイトル戦にも注目
同じ興行内では、WBOアジアパシフィック・フライ級タイトルマッチもセミファイナルとして行われます。王者は長尾朋範選手で、これが2度目の防衛戦となります。挑戦者は同級1位の富岡浩介選手で、互いにKO率の高い選手同士による一戦として注目されています。
また、日本女子ボクシング界にとっても大きな一戦となるのが、日本女子ミニマム級王座決定戦です。前原香那枝選手と守隨あゆみ選手が、空位となっているタイトルを争います。女子ボクシングはここ数年で急速にレベルと人気が高まっており、新たなチャンピオンが誕生する瞬間に立ち会える貴重な試合でもあります。
ファンが期待する“熱いスーパーフライ級戦”
今回の川浦龍生 vs 韓亮昊の一戦は、「KOの匂い」が強く漂うカードとしても注目されています。王者は14勝中9KO、挑戦者は5勝中3KOと、どちらも一撃で流れを変えられるパンチ力を持っているからです。
加えて、韓選手はサウスポーであり、スパーリングでは世界挑戦を控えた井上拓真選手のパートナーも務めています。その経験を生かし、チャンピオン相手にどこまで踏み込めるかが見どころとなるでしょう。
一方で、川浦選手にとっては、ランキング上位の王者として「取りこぼしが許されない試合」です。世界を見据えながらも、まずは目の前の挑戦者をしっかり退けることが求められます。これまで積み重ねてきた経験値や冷静な試合運びが、プレッシャーのかかる場面で活きてくるはずです。
スーパーフライ級戦線の今後にもつながる一戦
スーパーフライ級は、国内外で実力者がひしめく激戦区です。日本、アジア、そして世界へとつながる道が重なり合う階級でもあり、一つの試合結果がランキングやマッチメイクに大きな影響を及ぼします。
川浦選手がタイトルを守れば、世界挑戦への機運はさらに高まり、場合によっては世界王者との指名試合や上位ランカーとの最終テストマッチなどが具体的に動き出す可能性もあります。一方、韓選手が番狂わせを起こし新王者となれば、スーパーフライ級の勢力図が変わるきっかけにもなりかねません。
いずれにせよ、来年2月10日の後楽園ホールは、スーパーフライ級戦線の今後を占う重要な夜となりそうです。




