栃木シティFC、異例の3年連続昇格でJ2リーグ入りが決定

2025年11月23日、栃木シティフットボールクラブが明治安田J3リーグ第37節でAC長野パルセイロに3-0で勝利し、クラブ史上初となるJ2リーグへの昇格を決定させました。この快挙は、単なる1カテゴリーの昇格ではなく、地域リーグからわずか3年でJリーグの上位カテゴリーまで上り詰めるという、日本サッカー界でも極めて異例なステップアップとなっています。

栃木シティが達成した3年連続昇格のタイムラインは以下の通りです。2023年に全国地域サッカーチャンピオンズリーグで優勝しJFLへ昇格、2024年にはJFL初優勝でJリーグ参入を果たしてJ3へ昇格、そして2025年のJ3参入1年目でJ2自動昇格圏となる2位以上が確定しました。この連続昇格の成功は、栃木ウーヴァ時代に関東1部リーグへ降格した2018年からの、クラブ体制の強化と着実な歩みの成果であると言えます。

クラブの歩み:地域リーグから頂点へ

栃木シティは2019年にクラブ名称を変更して新たなスタートを切りました。その後、関東リーグで着実に成績を重ね、2023年の全国地域サッカーチャンピオンズリーグで優勝することで、JFL昇格への道を開きました。この優勝は、単なるタイトルではなく、クラブの組織的な強化と戦術の進化を象徴するものでもあります。

2024年のJFL参入では、初年度にして優勝を成し遂げました。11月17日の第29節で鈴鹿に6-0で勝利した時点で初優勝が決定し、同時にJ3昇格に必要な1試合平均2,000人以上の観客動員要件も満たすことが確定しました。この年は、2017年シーズン以来7年ぶりのJFL復帰が実現されたターニングポイントになったのです。

J3参入初年度での躍進:安定した強さで2位以上確定

2025年、栃木シティはJリーグの中でも下部カテゴリーであるJ3への参入を果たしました。多くの新興クラブが環境の違いに苦しむ中、栃木シティは開幕から昇格争いを演じ、シーズンを通して安定した強さを見せ続けました

11月23日の長野との対戦で3-0での勝利により、J3の最終順位2位以上が確定し、J2への自動昇格が決定しました。この段階で、最終節の結果次第ではJ3優勝の可能性もなお残しており、クラブの勢いは衰えていません。

チームには国際的な経験を持つ選手たちが揃っています。マテイ・ヨニッチなどセットプレーからの先制点を決定した選手や、田中パウロ淳一、バスケス・バイロン、ピーター・ウタカなど、トップカテゴリーで活躍した経歴を持つ選手たちが栃木シティの躍進を支えています。この選手構成は、クラブが単なる地域密着だけでなく、国際的な競争力を備えたプロ集団へと進化したことを示しています

ホームタウンの拡大と地域への貢献

栃木シティは2025年を通じて、ホームタウンの強化を進めています。2025年2月27日には、栃木市と壬生町に加えて足利市が公式にホームタウンとして追加され、さらに9月30日には佐野市も新たにホームタウンに加わりました。現在は3市1町を本拠地としており、地域への根ざした活動を展開中です

2024年5月7日には足利市と包括連携協定を結び、市内での青少年育成やスポーツ・文化振興にかかる事業を実施する契約も交わしています。Jリーグ参入後も、地域貢献の姿勢を失わず、まさに「地域密着型のスポーツクラブ」としてのあり方を実践しています。

12月12日の栃木シティグループ合同セレクション開催

栃木シティは、今後の人材育成と強化に向けて、12月12日(金)に栃木シティグループ合同セレクションを開催することを予定しています。このセレクションは、地域の有望な選手たちに、プロサッカーの世界への扉を開く機会となるでしょう。J2昇格という大きな成果を遂げた栃木シティだからこそ、より多くの若い才能を発掘し、育成していくことが期待されています。

セレクション開催の意義

Jリーグ入りの初年度から昇格を決めた栃木シティにとって、来季のJ2での戦いに向けた選手強化は重要な課題です。グループセレクションを通じて、地域から有望な選手を発掘することで、組織的な強化を継続し、J2での戦闘力を高める狙いがあります。これは単なる選手募集ではなく、栃木シティが地域と一体となって成長していく過程を示しています。

日本サッカー界における栃木シティの存在意義

栃木シティの3年連続昇格は、日本サッカーの構造的な課題と可能性の両方を浮き彫りにしています。地域リーグから頂点へと上り詰めるルートは多くのクラブにとって困難ですが、栃木シティはそれを成し遂げました。

一方で、日本サッカー界には「謎の全社枠」や「3日間で3試合」という過酷な日程など、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)を含むシステムにも課題が指摘されています。これらの問題は、栃木シティのような下位カテゴリーから昇格を目指すクラブにとって大きな障害となってきました。

栃木シティは、こうした課題を乗り越え、その解決策を示したクラブとしても評価されるべき存在です。東京ユナイテッド監督が語った「差」や、元Jリーガーの名前が並ぶ「上位チーム」との競争の中で、栃木シティは確実な足がかりを築いてきたのです。

今後への展望:J2での挑戦

2026/27シーズンからJ2リーグでプレーする栃木シティは、新たなステージでの試練を迎えることになります。J2は、日本サッカーの中でも競争が激しく、経験豊かなクラブも数多くいるカテゴリーです。しかし、3年連続昇格を成し遂げた組織力と、地域に根ざした支援体制があれば、栃木シティはこの新たな挑戦にも対応できるでしょう。

栃木県内には先行する栃木SCという存在もありますが、栃木シティは独自の道を切り開きました。その歩みは、単なるサッカー史上の快挙ではなく、地域とスポーツの関係性、組織力の重要性、そして継続的な改革の価値を示す貴重な事例となっています。

今後も栃木シティがJ2でどのような成績を収めるのか、そしてさらにJ1への昇格を目指すのか、その動向は日本サッカー界全体の注目を集め続けるでしょう。12月12日のグループセレクション開催も、来季への体制強化と意気込みを示す重要な一歩となるに違いありません。

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