テオスカー・ヘルナンデス、因縁のワールドシリーズへ――古巣ブルージェイズとの再会に注目集まる

2025年10月25日、北米球界最大の舞台であるワールドシリーズがついに開幕します。この注目のカードで、今もっとも話題を集めている選手がロサンゼルス・ドジャースのテオスカー・ヘルナンデス外野手です。彼が相対するのは、かつて5年以上にわたり愛された古巣トロント・ブルージェイズ。まさに「因縁の対決」といえる今回の舞台設定に、多くのファンやメディアが熱い視線を送っています。

古巣との“ブーイング”――本当に因縁だけなのか

ワールドシリーズにおける“宿敵”といえば、一部では大谷翔平選手をブーイングの的とする声も挙がっていますが、トロント・ブルージェイズのファンにとってはむしろ、長年の功労者テオスカー・ヘルナンデスの存在が大きな注目ポイントになっています。意外にも、トロントファンからはブーイングよりも歓声があがっているとの報道もあり、彼の古巣への深い愛着や、かつての功績が今もなお支持されていることがうかがえます。

ブルージェイズでの“約5年半”の歩みと惜別

  • テオスカー・ヘルナンデスは2017年のシーズン途中から2022年までトロント・ブルージェイズでプレー
  • その間、チームの主力打者、クラブハウスの精神的支柱として活躍
  • 2023年シーズン終了後、ブルージェイズは契約最終年を迎えたヘルナンデスの放出を決断。リリーフ投手のエリック・スワンソン、若手有望株アダム・マッコ獲得と引き換えにマリナーズへトレード
  • トロントは翌年、FAでの再獲得を本気で狙い、契約寸前まで話が進んだと本人が明かす
  • 最終的にドジャースが1年契約→33本塁打99打点の活躍で再契約を勝ち取り、3年6600万ドルの大型契約を手にした

ブルージェイズはヘルナンデスを失うことで「短期的な戦力ダウン」に踏み切った形となりましたが、その後もチームは堅実な補強と若手中心の編成で地力を強めていきました。

ドミニカ出身の遅咲きスラッガー、野球人生の分岐点

ヘルナンデスはドミニカ共和国生まれ。もともとはヒューストン・アストロズでプロスペクト(有望株)として注目された後、トロントで野球人生の大きな転機を迎えます。圧倒的なパワーと勝負強い打撃を武器とし、「4番・右翼」で活躍。2021年にはサイ・ヤング賞投手コービン・バーンズ相手にも起死回生の決勝3ランを放つなど、チームの中核として活躍してきました。

2024年には、ドジャース移籍後も変わらぬ活躍を続け、「証明する」1年契約でしっかりと結果を出し、充実のシーズンを送りました。怪我による短期離脱もありましたが、復帰後すぐに本塁打を放つなど、持ち前の勝負強さと明るいキャラクターでチーム、ファンともに愛されています。

ワールドシリーズでの“恩讐”と“敬意”――本人の心境

今回のワールドシリーズを前に、テオスカー・ヘルナンデスはインタビューで次のように語っています。

「思い出のあるチームだけど、相手が強いほど燃える。今自分がやるべきなのは、ただ全力を尽くすこと。」

恩讐を越え、プロフェッショナルとして「勝利」に徹する覚悟を滲ませつつ、ブルージェイズへの敬意も忘れていません。

ワールドシリーズ――ブルージェイズ側の今季背景とキープレイヤー

  • 2025年シーズンのブルージェイズは「今季がラストチャンス」とも呼ばれる状況
  • ゲレーロJr.、ビシェット、スプリンガーら生え抜き&ベテランが意地を見せ、打線爆発で地区優勝(94勝68敗)
  • ポストシーズンではヤンキース、マリナーズを撃破し、実に33年ぶりのワールドシリーズ進出
  • ボー・ビシェットが戦線復帰し、スプリンガーも好調。先発陣はベテランとルーキーのダブルエース体制で安定感抜群

対するドジャースは、ポストシーズン9勝1敗という圧倒的な投手力を誇り、強力な打線とともに「最強」と評される布陣。そのドジャースを支える1人が、今や敵として立ちはだかるヘルナンデスです。

ドジャースでの存在感――ヘルナンデスの2025年主要成績と役割

  • 2024年成績:33本塁打、99打点、OPS.820(※参考値)でチームを支える中心打者
  • 守備でも右翼で安定したプレーを披露、クラブハウスでもリーダー格
  • 交流戦・ワールドシリーズ含め、大舞台に強いことが特長
  • チーム内競争が激しいドジャースでも、一発長打力&勝負強さは特異な存在

また、復帰後すぐに放った復帰第1号の逆転3ラン(ダイヤモンドバックス戦)はスタジアムを大いに沸かせ、大谷翔平選手もベンチで手放しに喜ぶ姿がありました。この場面は「テオスカーがいるからドジャースは勝てる」と再評価されるきっかけとなりました。

ファン・現地メディアが語る「再会」への期待感

開幕前から現地トロントは、ドジャースとブルージェイズの「古巣×恩返し対決」ムード一色。ヘルナンデスの登場時にはブーイングよりも喝采が目立ち、スタンドから彼の名を呼ぶ声や、懐かしい応援歌も響いています。

トロントでの輝かしいキャリア――その功績が今再評価され、ファンとの「第二章」が始まりました。彼が新たな王者となるのか、あるいは古巣が歓喜の輪を描くのか、両軍の戦いに多くのファンが胸を高鳴らせています。

両軍・今シリーズの注目ポイントと見どころ

  • テオスカー・ヘルナンデス vs 元同僚投手陣――配球や駆け引きを知るだけに、「読み合い」の見応え大
  • チームを鼓舞する主砲のパワー――勝負どころでの一発に期待
  • ドジャース大谷・ブルージェイズゲレーロJr.ら主力の覇気対決も必見
  • “友情と競争”のはざま――かつての同僚、コーチ陣との交流にもエピソードが生まれそう

まとめ:スポーツの持つ“人間ドラマ”を体現する一戦

強敵相手ほど燃え、古巣相手にも容赦なく全力で勝利を目指す姿。そして古巣からも祝福と敬意が贈られる稀有な存在――テオスカー・ヘルナンデスは、野球というスポーツの素晴らしさ、人が背負うドラマ性を改めて私たちに教えてくれます。

ワールドシリーズ、その舞台で交わされるのは単なる勝敗を超えたストーリー。壮絶な試合展開、そしてヘルナンデスの運命の一打に、ますます目が離せません。今後の彼の活躍、そして両チームの頂上決戦から、2025年MLBシーズン最後の熱狂をぜひ見届けましょう。

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