34年ぶりの歴史的イベント、大相撲ロンドン公演が大盛況

2025年10月15日から19日まで、英国ロンドンの歴史的建造物であるロイヤル・アルバート・ホールで、34年ぶりとなる大相撲ロンドン公演が開催されています。1991年以来となるこの海外公演は、日本の伝統文化を世界に発信する貴重な機会として、現地で大きな注目を集めています。

会場は連日満員御礼、現地メディアも大々的に報道

初日から会場は満員御礼となり、英国の人々は生で見る力士たちの迫力に大興奮しています。横綱・大の里関は初日の様子を振り返り、「観客のマナーがすごく良かったですし、塩をまいた瞬間と四股を踏んだ時の歓声はすごいなと思いましたね」と現地の観客の熱気を語りました。

16日のイギリスの新聞各紙は、前日に始まったロンドン公演の様子を写真付きで大きく報じています。横綱・豊昇龍関がビッグベン周辺を観光した様子や、阿炎関らがビートルズのアルバムで有名な「アビイ・ロード」の横断歩道を渡る写真などが掲載され、力士たちのロンドン滞在が現地で大きな話題となっています。

力士たちのロンドン観光が話題に

横綱たちが楽しむロンドンの街

公演開始前から、相撲フィーバーに沸くロンドンの街に着物姿の力士たちが姿を現し、市内を観光する様子が注目を集めました。横綱・豊昇龍関は「ワクワクっす」と開幕への期待を語り、出店で購入したホットドッグをもう1人の横綱・大の里関にシェアするなど、リラックスした様子でロンドンの街を楽しんでいました。

力士たちの観光は現地の人々にも大きなインパクトを与えており、街中で力士を見かけた人々からは「人生で見たことない」という驚きの声も上がっています。着物姿の大柄な力士たちがロンドンの街を歩く光景は、まさに日英文化交流の象徴となっています。

文化施設訪問で交流を深める力士たち

阿炎関と若元春関は、世界有数の博物館である大英博物館を訪れ、文化的な体験を楽しみました。力士たちの大英博物館での様子は、SNSなどでも「修学旅行で必ずやる男子がいるヤツ」といったユーモラスなコメントとともに拡散され、親しみやすい力士たちの姿が話題となっています。

注目の取組、横綱たちは順調な滑り出し

大の里、豊昇龍ともに2連勝

公演2日目の取組では、横綱・大の里関と豊昇龍関がともに勝利を収め、2連勝を飾りました。両横綱の安定した相撲内容は、海外の観客に横綱の実力と品格を示す絶好の機会となっています。

大の里関は2日目の公演前に、立行司の第39代木村庄之助とともにトークイベントに参加しました。立行司は行司の最高位にあたり、横綱の取り組みなど結びの一番を裁く重要な役割を担っています。木村庄之助は「横綱の相撲は1日の締めくくりですので、そこは引き締めて土俵を裁いていきたいと思います」と語り、大の里関は「毎日裁いてもらうことは非常に贅沢ですし、一番、庄之助さんから懸賞金もらう時が一番うれしいです」とユーモアを交えながら応じ、会場を和ませました。

人気力士・宇良にも熱い視線

会場従業員からビールのプレゼント

技のデパートとして知られ、日本国内でも高い人気を誇る宇良関は、ロンドンでも人気を集めています。会場の従業員から**ビールをプレゼントされた**宇良関は「最高ですね」と笑顔で応じ、周囲の力士たちの笑いを誘いました。この温かい交流は、相撲が言語や文化の壁を超えて人々をつなぐスポーツであることを象徴する場面となりました。

宇良関の独特な取り口と親しみやすい人柄は、英国の観客にも大きな印象を与えているようです。相撲の技術的な側面だけでなく、力士たちの人間味あふれる姿が、ロンドン公演の魅力をさらに高めています。

ロンドン公演の意義と背景

34年ぶりの歴史的公演

今回のロンドン公演は、1991年以来34年ぶりとなる英国での大相撲公演です。前回の公演でも会場となったロイヤル・アルバート・ホールは、1871年に開館した歴史的建造物で、クラシック音楽やロックコンサートなど様々な文化イベントが開催されてきた由緒ある施設です。この特別な会場で大相撲が再び披露されることは、文化とスポーツが融合した特別な体験を提供しています。

日本文化を世界に発信する機会

本公演では、幕内力士が参加する取組が5日間にわたって行われるほか、神聖な儀式や相撲の歴史的・文化的価値が英国国内に紹介されています。観客は、スポーツとしての相撲だけでなく、日本の豊かな伝統と精神性を体感できる内容となっています。

ロイヤル・アルバート・ホール最高経営責任者であるジェームズ・エインスコフOBE氏は、「34年の時を経て、大相撲が再びロンドンで開催されることを大変光栄に思います。本公演は、日本の伝統文化とスポーツの魅力を英国の観客に届ける意義深いイベントとなるでしょう」と述べています。

理事長の思い

日本相撲協会の八角理事長は、1991年のロイヤル・アルバート・ホール大会で優勝した経験を持っています。理事長は「日本相撲協会が再びロンドンの舞台で伝統ある大相撲を披露できることを大変嬉しく思います。本大会を通じて、日本の文化を世界に広めることに貢献したい」と語っており、個人的にも深い思い入れのある公演となっています。

相撲の魅力を伝える工夫

文化的側面の紹介

ロンドン公演では、単に取組を見せるだけでなく、相撲の儀式や伝統、歴史的背景なども丁寧に紹介されています。塩をまく所作や四股を踏む場面で大きな歓声が上がることからも、英国の観客が相撲の文化的側面に強い関心を持っていることがわかります。

力士たちの着物姿での観光や、トークイベントでの交流なども、相撲を身近に感じてもらうための重要な要素となっています。スポーツとしての迫力だけでなく、力士たちの人間性や日本文化の奥深さに触れることで、観客はより深い理解と感動を得ているようです。

残り3日間への期待

大相撲ロンドン公演は10月20日まで続きます。初日から2日目にかけての大成功を受けて、残りの公演日程への期待も高まっています。連日満員御礼が続く中、英国の観客は日本の国技である相撲の魅力を存分に堪能しています。

力士たちは取組での真剣勝負はもちろん、観光やイベントを通じて英国の人々との交流を深めながら、日本文化の素晴らしさを伝え続けています。この歴史的な公演は、日英両国の友好関係をさらに深める貴重な機会となっており、今後の国際交流にも大きな意義を持つイベントとして記憶されることでしょう。

34年という長い時を経て実現した今回のロンドン公演は、伝統文化の継承と国際交流の重要性を改めて示す、記念すべき大会となっています。

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