ZETA DIVISION「SFL」部門 激動の秋――翔選手の引退と新たなロースター再編

はじめに

2025年10月、ストリートファイター6(SF6)を中心とする国内外の格闘ゲームコミュニティに衝撃が走りました。日本屈指のeスポーツチーム「ZETA DIVISION」に所属する翔選手の現役引退発表――これは、プロシーンだけでなく、ファンにも大きな波紋を呼んでいます。本記事では、「ストリートファイターリーグ(SFL):Pro-JP 2025」のロースター変更を軸に、翔選手のこれまでの歩み、チームの今後、そして国内格ゲー界への影響まで、分かりやすく丁寧にお伝えします。

翔選手――世界王者の軌跡とZETA DIVISIONでの活躍

翔選手(28歳)は、もともと「うずら」のハンドルネームでストリートファイターV時代から名を馳せていました。特に最新作であるストリートファイター6発売以降は、まさに日本を代表するトッププロに成長し、2025年3月には日本・両国国技館で開催された世界大会「カプコンカップ11」で優勝。「世界最強」の称号と優勝賞金100万ドル(約2億円以上)を手にしました。

さらに、同年4月にZETA DIVISION入り。ももち選手ら他のトッププレイヤーたちと共に、国内外の大会で活躍し続けてきました。世界王者の信頼と実績はチームにも大きな誇りとなり、翔選手の存在がZETA DIVISIONスト6部門の象徴でもありました。

引退の理由――体調不良がプロ生活に与えた影響

華々しい戦歴の裏側で、翔選手は2025年8月にサウジアラビアで行われた「Esports World Cup 2025」で体調を大きく崩し、試合中に救護室で応急措置を受けるほどの状況になりました。この体調不良が長引き、約2か月にわたり試合にも出場できず、トレーニングも満足にこなせない日々が続いていたといいます。

本人、チーム運営、医療関係者とも話し合いを重ねた末、競技生活の継続は困難と判断し引退を決意しました。「個人としてもファンとしても非常に悔しい決断だった」と本人は語っていますが、健康と将来を考えれば賢明な選択であったことに疑いはありません。

「SFL Pro-JP 2025」ロースターの大幅変更と今後のチーム体制

翔選手の引退発表にともない、「ストリートファイターリーグ:Pro-JP 2025」ロースターにも重大な変化がもたらされました。ZETA DIVISIONでは、翔選手に加え、もう一名主力選手の「ヤマグチ選手」もチーム登録選手の入れ替え対象となり、新たな体制でリーグに臨むことが公式に発表されています。

  • 翔選手の役割・席が空席に:世界大会経験者としてロスターの核であった翔選手の不在は、戦力的にも精神的にも大きな空白を生み出します。
  • ヤマグチ選手の登録抹消:日本の格闘ゲームシーンでも評価の高いヤマグチ選手ですが、今季のリーグ終盤で急きょチーム編成が変更されました。
  • 新規選手の補強:ファンの間では、今後の補強や若手の抜擢、他チームとの選手移籍などに注目が集まっています。

ZETA DIVISIONは「今後も長期的なチーム強化を目指し、チーム一丸となってSFLに臨む」とコメントを発表。引退した選手とのパートナーシップやeスポーツ界の発展にも力を入れていく方針とのことです。

翔選手はなぜこれほど支持されていたのか?

格闘ゲームに馴染みのない方のために説明すると、翔選手は単なる「強いプレイヤー」というだけではありません。彼の人気の要素は多岐にわたります。

  • 勝負強さ・対応力:世界最大規模の大会で、個々の相手や状況に応じた巧みなプレイ内容を高評価されています。
  • 解説力・情報発信:難解なゲーム理論や最新テクニックを動画やSNSで解説。多くの初心者や若手の「先生」とも呼ばれています。
  • フェアな人格:常に謙虚で礼儀正しく、対戦相手や実況からも厚い信頼を得ています。
  • スト6リリース初期の快進撃:発売直後から優勝トロフィーを重ね、露出・話題性ともに国内トップクラス。
  • スト5時代からの経験値:「うずら」としての長年の競技歴も背景にあり、「努力型リーダー」の理想像を体現していました。

翔選手の引退が国内・世界シーンに与えるインパクト

選手個人の引退はひとつのキャリアですが、以下のような大きな影響が想定されます。

  • 日本代表争いの激化:翔選手の代表枠が空くことで、若手や中堅プレイヤーに大きなチャンスが生まれました。
  • 世界選手権・リーグ構成の変化:彼が出場しないことで国際大会の勝敗図や注目選手にも変動が起こります。
  • eスポーツの意識改革:体調管理や選手・運営のサポート体制、キャリアチェンジの在り方があらためて問われています。
  • ZETA DIVISIONブランドの再構築:次世代リーダー育成やファンコミュニケーション強化が不可欠になっています。

翔選手の今後――プレイヤー以後の活動にも注目

翔選手本人からは「今後は体調を最優先しながら、ゲームコミュニティへの貢献も模索したい」と前向きなコメントが発表されています。選手引退後も、たとえば解説者・指導者・イベント出演・YouTubeなど様々な形でeスポーツ業界との関係は続いていくことでしょう。

ファンからは「もう一度舞台に戻ってきてほしい」「解説やコーチでずっと支えて欲しい」など、多くの温かい声が寄せられています。今後の動向からも目が離せません。

「カプコンカップ」や「SFL」とは?――日本の格ゲー文化の象徴

本記事で名前が登場する「カプコンカップ」とは、カプコン社公式の世界最高峰の格闘ゲーム大会です。毎年、世界中を舞台に予選が行われ、トッププレイヤーが国技館に集結。2025年大会「カプコンカップ11」は日本・東京で開催され、翔選手が優勝し歴史を作りました。

また「ストリートファイターリーグ(SFL)」は、チームによるリーグ戦形式が特徴で、日本のみならず世界でも注目される競技シーンとなっています。ZETA DIVISIONもその主要チームとして活躍し、今後のチーム再編やタイトル争いがより一層、話題になるでしょう。

最近の国内/国際大会トピックとZETA DIVISIONの課題

国内では「Ultimate Fighting Arena 2025」にて「さはら」選手が快進撃を見せ、日本人選手の新たな台頭も顕著になっています。ZETA DIVISIONは、翔選手やヤマグチ選手の抜けた穴を誰が埋めるのか――今後の若手発掘、体制強化、海外勢の猛追にどう対抗するのかが、最大の焦点となります。

  • 選手層の充実:ジュニア選手育成、ベテランの再雇用等の選択肢も。
  • チームのブランド維持:ファンコミュニティとの連携イベント等、今後も目が離せません。

まとめ――新時代への一歩とファンへのメッセージ

激動の2025年秋、ZETA DIVISIONと日本格ゲー界全体は新たな一歩を踏み出します。翔選手の引退は決して負の出来事ではなく、これからの世代とeスポーツ文化にとっての希望の芽と言えるでしょう。

ファンの皆さんも、より多様な選手たちが切磋琢磨する新生SFLシーズンを温かく見守っていただければ幸いです。ZETA DIVISIONの今後、そして翔選手の新境地に期待しましょう!

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