セス・カリーがウォリアーズと契約、念願の兄弟共演がついに実現へ

ゴールデンステイト・ウォリアーズは12月1日(現地時間)、ベテランガードのセス・カリーと今シーズン終了までの契約を正式に締結したことを発表しました。35歳のセス・カリーは、弟でウォリアーズのフランチャイズプレーヤーであるステフィン・カリーと同じチームでプレーすることになります。NBA史上、セスとステフィンが同じチームのレギュラーシーズンゲームに出場するのは今回が初めてとなります。

サラリーキャップの課題を乗り越えて実現した再契約

セス・カリーの今回の契約は、複雑なサラリーキャップの事情を背景としています。ウォリアーズはオフシーズン中にセスと契約していましたが、10月中旬のシーズン開幕直前にサラリーキャップの制約により、彼を保有権放棄(ウェイブ)することを余儀なくされました。ウォリアーズはハードキャップの問題で、15人のロースター枠のうち14人分しか給与を賄う余裕がなかったのです。

しかし、11月中旬以降、チームのサラリーキャップに余裕が生まれることが見込まれていました。ウォリアーズはその機会を活用し、セスとの再契約を計画していました。12月1日の契約によって、ウォリアーズはハードキャップを約26万4000ドル下回る状況となり、チームの財務構造が安定することになります。

ベテランシューターとしてのセス・カリーの実績

セス・カリーはNBAで11シーズンをプレーした経験豊富なガードです。通算550試合で1試合当たり平均10得点、2リバウンド、1.9アシストを記録しており、特にシュート精度が高いことで知られています。キャリア全体での3ポイントシュート成功率は43.3%と、リーグの一流シューターに並ぶレベルです。

直近のシーズンでは、シャーロット・ホーネッツで68試合に出場し、平均6.5得点、1.7リバウンド、0.9アシストを記録しました。最も注目すべき成績は3ポイントシュート成功率45.6%で、これはNBA全体で最高の成功率でした。平均1.2本の3ポイントシュートを成功させており、その精度の高さは際立っています。

セスはNBA通算で10チームを経歴してきましたが、ウォリアーズの傘下Gリーグチーム「サンタクルーズ・ウォーリアーズ」でキャリアをスタートさせたという縁もあります。ただし、メインのウォリアーズでプレーするのは今回が初めてです。

ウォリアーズのシューティングラインナップ強化

ウォリアーズにとって、セス・カリーの加入はチームの攻撃力を大きく補強することになります。現在、ウォリアーズは成績が低迷しており、外部からのサポートが急務となっていました。セスのような高精度のシューターは、ステフィン・カリーと共にスペーシングを作り、チームのオフェンスシステムをより効果的に機能させることができます。

ウォリアーズが外部の補強を検討していることも報道されており、ダラス・マーベリックスの2700万ドルクラスのスーパースターの獲得も視野に入れているとされています。ステフィン・カリーをサポートする人材の獲得は、チームが現在直面している課題への重要な対策です。

兄弟共演の意義を超えた即戦力の価値

セス・カリーのウォリアーズ加入は、単なる「兄弟が同じチームでプレーする」という感動的なストーリーではありません。彼は即戦力として、ウォリアーズが緊急に必要としているシューティング能力を提供します。

NBA経験11年のベテランであるセスは、プレッシャー下でも安定したパフォーマンスを発揮する能力を持っています。昨シーズンの45.6%という3ポイント成功率は、彼がどれだけ高いシューティング精度を備えているかを示す証拠です。

ウォリアーズのオフェンスシステムは、複数の脅威となるシューターを配置することで初めて最大の効率を発揮します。セスのような高精度のペリメーター・シューターを加えることで、相手ディフェンスの調整が難しくなり、ステフィン・カリーがさらに活躍しやすい環境が整備されます。

スケジュール上の課題と期待

報道によれば、セス・カリーは現在、左頭筋の負傷で一時的に離脱しているとされています。しかし、サラリーキャップの問題が解決された今、彼がコートに復帰した際には、ウォリアーズの攻撃力強化に即座に貢献することが期待されています。

12月1日の契約締結は、ウォリアーズのシーズン中盤における重要なターニングポイントになるかもしれません。セス・カリーとステフィン・カリーという兄弟コンビが、ウォリアーズのシューティングの中核を担う構成が、チームの成績低迷を改善する鍵となるでしょう。

カリー兄弟が同じユニフォームを着ることの意味

NBA史上、親子や兄弟がプロレベルで同じチームでプレーすることは非常に稀です。セスとステフィンの兄弟共演は、バスケットボール史における特別な瞬間として記録されることになります。

セスはこれまでのキャリアで、弟と同じチームでプレーする機会がありませんでした。35歳のベテランが、キャリアの最終段階で弟と同じユニフォームを着ることができるというのは、本人にとって非常に特別な経験となるでしょう。

ウォリアーズとセス・カリーの契約は、感動的なストーリーであると同時に、チームが直面している深刻な問題への実践的な対応です。サラリーキャップの制約を乗り越え、シューティング能力の強化を実現したこの契約が、ウォリアーズのシーズン後半の展開にどのような影響を与えるのか、NBA ファンの注目が集まっています。

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