スネルと山本由伸、ドジャース左右エースの絆と信頼 ワールドシリーズ連覇へ向けて紡がれる友情と成長物語
ロサンゼルス・ドジャースの左腕エース、ブレーク・スネル(32)と右腕の山本由伸(27)。今、この2人の交流がメディアやファンの注目を集めています。2025年のワールドシリーズ(WS)開幕を控えた10月下旬、2人は互いをどう見て、どんな関係を築いてきたのか――。現地での取材を元に、その実態とエピソードを詳しくお伝えします。
「弟みたいな存在」 スネルが語る山本由伸への愛情
「I LOVE YAMA!」――ブルワーズとのリーグ優勝決定シリーズで4連勝を飾り、2年連続のワールドシリーズ進出を決めた夜。シャンパンファイトで盛り上がるスネルが叫んだ言葉は、現地メディアの心にも強く残りました。
「彼は私の弟だよ。ワールドシリーズで一緒に戦うのが待ちきれない!」スネルはこう語ります。山本のことは「才能あふれる若手投手」と評価しつつも、「アメージングな人間でもある」と人間性にも注目。その真面目で頑張り屋の姿勢を「世界一の選手になってほしい」と心から応援していることがうかがえます。
このような“弟分”的な愛情表現は、スネルのこれまでのインタビューからもあまり見られなかったこと。山本の存在がスネルにとって非常に大きな意味を持っていることが分かります。
「毎朝、一緒に朝食」 スプリングトレーニングから続く絆
2人の親密な関係は、シーズン本番前から始まっていました。米国スポーツメディア「ジ・アスレティック」によると、スプリングトレーニングの頃から、スネルと山本は一緒に朝食を取るのが日課になっていたそうです。スネルが熱心に誘い、ピッチングについて語り合う習慣が生まれました。
スネルは「僕らは毎日投球の話をするよ。自分はまだまだ成長途上」と語ります。2度のサイ・ヤング賞受賞者であるスネルにとっても、日本で沢村賞を獲得した山本のピッチングには学ぶ部分が多いと感じているようです。
山本も同様に「スプリングからシーズンを通して、自分が登板した後はスネルと一緒にレビューしている」と明かします。スネルが試合中の自分のピッチングをどう見ていたか、感じたことを率直に伝えてくれるというやり取りが続いています。たとえ言葉の壁があっても、通訳を通じて相手打者への対策や球種の使い方について意見を交わす――そんな「世界最高峰の投球議論」が日常的に繰り広げられています。
「おかしな2人」 似て非なるキャラクターと友情
米メディアは2人を「Odd Couple(おかしな2人)」と表現しています。スネルは長身で手足が長く、プレースタイルも豪快。一方、山本は小柄で華奢、コントロールと多彩な変化球が持ち味。一見すると対照的な2人が、飛行機で肩を寄せ合い微笑み合う写真はファンの間で「最強カップリング」「仲良さそう」と話題を呼びました。捕手のスミスも「2人が味方で良かった」と歓迎するほど、チーム内での信頼は厚いものです。
ポストシーズンでの「歴史的快投」と勝利貢献
2人の友情は、ピッチングの場面でも存分に発揮されています。リーグ優勝決定シリーズ第1戦ではスネルが8回無失点の好投を見せ、勝ち星を挙げました。第2戦では山本が1失点の完投勝利を記録。同一シリーズで先発投手が2試合連続で8回以上を投げたのは、2010年のジャイアンツ(バムガーナー、リンスカム)以来となる快挙でした。この2人の活躍が、ドジャース優勝への大きな原動力となったことは間違いありません。
また、ロバーズ監督はワールドシリーズ第1戦はスネル、第2戦は山本の先発起用を正式に表明。チームの信頼が2人に集まっていることが分かります。
「めちゃくちゃ寒い!最高のチームメート!」 山本からの熱いメッセージ
山本は「スネルは最高のチームメート」と賞賛します。アメリカでの生活2年目を迎え、英語力も向上している山本ですが、それ以上に「彼とはピッチングについてたくさん話す」と、技術的な部分での信頼関係を強調します。山本によれば、スネルは自分のピッチングを細かくチェックしてくれて、そのアドバイスや感想がとても参考になるそうです。
また、山本が地元メディアのインタビューで「めちゃくちゃ寒い!」と叫んだエピソードも。厳しい季節の訪れに驚きつつも、信頼できる同僚が側にいる安心感が伝わってきます。
オフの時間も仲良し スネル夫妻の観戦姿とファン反応
オフの時間を大切にするスネルは、NBA・レイカーズの観戦時に夫人と手をつなぐ仲良しショットをSNSに投稿。そのほほえましい姿を見たファンからは「球場で厳しい顔のスネルとは大違い」「幸せそう」といった声が寄せられています。
ちなみに、スネルの妻は普段から彼の投球をしっかりサポート。スポーツとプライベート、両方で充実した日々を過ごしているようです。ワールドシリーズ本番を前に、精神的にも充実していることがうかがえます。
「成長を続けるエース」 両者が語る今後の目標
スネルは「自分はまだまだ成長途上」と語ります。サイ・ヤング賞2度受賞の実力者でありながら、山本と話すことで新たな気付きや学びがあることに、素直に喜びを感じています。山本も「アメリカでまだまだ学びたいことがある」と前向きに語り、2人の交流は今後も続いていくでしょう。
ドジャースのエース同士が、互いを切磋琢磨し合いながら、ピッチングの技術だけでなく、人間的成長も実現していく――そんな理想的な関係が、今、ロサンゼルスで育まれています。
ファンやチームメート、監督の声
- 「スネルと由伸で左腕と右腕のエースが確定しててやばい」――SNSでのファン反応。
- 「2人の存在はチームにとって大きい。互いに高め合っている」――同僚の捕手スミス。
- 「最初の2試合は(ワールドシリーズ)スネル、山本の先発を信じている」――ロバーツ監督。
まとめ
ブレーク・スネルと山本由伸。ドジャースを支える左右エースは、単なるチームメート以上の関係性を築いています。毎朝の朝食会、投球についての熱い議論、ポストシーズンでの歴史的活躍――。互いを認め合い、励まし合いながら、ワールドシリーズ連覇という夢に向かって走っています。
スネルが「弟」と呼ぶ山本は、言葉の壁を越えてスネルの信頼を勝ち取り、メジャーでの地位を着実に高めています。2人がもたらす“凸凹コンビ”の化学反応は、ファンの期待をさらに高めています。
ワールドシリーズ第1戦・第2戦に先発するスネルと山本。その背中には、互いへの信頼と友情、そしてチームの将来への希望が宿っています。今季のポストシーズンを彩るのは、この2人の成長と絆の物語なのです。



