ブルージェイズに響く“シャーザー旋風”――バシットが語る感謝と成長、新時代のチーム文化とは

クリス・バシット、「神様がくれたチャンス」に込めた思い

2025年10月、トロント・ブルージェイズはア・リーグ優勝決定シリーズへと駒を進め、球団の新たな歴史を刻もうとしています。その中心で、先発右腕クリス・バシットは今季の快進撃と、その背景にある恩恵と学びについて語りました。
「(メッツで過ごした)2022年の悔しさが今の自分の原動力です。あの時は、心の準備も甘く、悔いを残しました。でも、もう一度この場所に戻ってこられたことで、神様が与えてくれたチャンスに感謝したい」と、バシットはしみじみと振り返ります。

2022年メッツ時代の苦悩と学び――バシットの葛藤と成長

バシットが語る「最高の舞台」とは、2022年にニューヨーク・メッツで経験したポストシーズン。勝敗の重圧と結果に自らをコントロールしきれず、ワイルドカード第3戦で4回3失点。「準備の仕方も、心の持ち方も甘かったのが一番の学び」と自省を込めて語ります。
その経験が、今季のブルージェイズでの活躍につながっています。バシットはシーズン通して32試合(31先発)に登板し、11勝9敗、防御率3.96という安定したピッチングを披露。さらに、ポストシーズンではリリーフに役割を変えてブルペンからも貢献し、「ブルペンの仲間たちの準備やメンタルを間近で学び、野球観が一層広がった」と新しい一面を披露しています。

「マックス・シャーザーがチームにもたらしたもの」――驚異の知恵と経験の共有

今季、ブルージェイズにはサイ・ヤング賞3度受賞の大ベテランマックス・シャーザーが加入しました。契約は1年1550万ドル(約23億円)、今季17試合に先発し、防御率5.19という数字ですが、その存在感は成績以上といえる影響力を持っています。

バシットは「『シャーザーがチームに来た』と聞いた瞬間、すぐに連絡した。正直、しつこいくらい電話した」とエピソードを明かし、その理由を次のように語ります。「マックスは何にでも疑問を持ち、チーム全体を高めるタイプ。多くの組織では面倒がられるような存在かもしれませんが、僕らには必要な人材」。
ベテランらしい分析力と経験がもたらす知見は、チームメイトや若手選手へ大きな刺激となっています。「(シャーザーは)試合をすごく注意深く見ている、その隣で一緒に観察することでたくさん学べる」と三塁手クレメントも語ります。

  • バシットとシャーザー、知識と経験の共鳴: バシットは自身の成長と、シャーザーの影響がチームに浸透していることを強調。ベテランがもたらす「知恵を分かち合う文化」が今のブルージェイズを支えています。
  • 結束力と自由な議論: シャーザーは「なぜその守備位置なのか」「なぜその練習法なのか」と疑問を投げかけ、クラブハウス全体に柔軟な議論の空気をもたらしています。
  • 心理面の変化: 「もう先発の連中とビールを飲んで笑ってる余裕はない」と冗談を交えつつ、プレッシャーの中でも過剰になり過ぎず「自分たちの野球をやるだけ」という意識で戦う姿勢がチーム全体に浸透しています。

話題の“大谷翔平ルール”とブルージェイズ提案の余波

今季、ブルージェイズが提案した新ルールも周囲の注目を集めています。それは仰天の“大谷翔平ルール”――申告敬遠に関するユニークなルール改正案でした。こちらの内容はSNSやメディアで話題となり、「導入すべきだ」といった声もあがっています(THE ANSWER)。
大谷翔平選手のような超一流バッターがいる場合、勝負を避けて申告敬遠が増えることに着目。ブルージェイズ側はそれを防ぐための斬新なルール創設を申し出たのです。

  • 実際の議論: 申告敬遠が乱発され「名勝負」が減少することへの懸念から、「一定試合数ごとに制限する」などの案も浮上。
    野球界に新たな“ショウヘイルール”として提案され、ファンやOBから賛否両論の意見が出ました。
  • コミカルな空気: チームメイト同士でも「これが本当に必要なのか?」と冗談半分で議論され、チームの一体感を高める話題作りの一助ともなっています。

ブルージェイズ投手陣――ベテランの技と新星の競演

2025年のブルージェイズ投手陣は、経験豊富なベテランと若き実力者が肩を並べる構成となっています。

  • エース格は新人トレイ・イエサベージ、速球と変化球のコンビネーションが武器。
  • 右腕ケビン・ゴーズマンは計算できるピッチングでローテを支え続けています。
  • 伝説的存在のマックス・シャーザーは巧みな投球術と知識で若手モデルに。
  • シェーン・ビーバーも復帰後の好投がチームの厚みを増しています。
  • そしてクリス・バシット。先発もリリーフも柔軟にこなし、「便利屋」としてポストシーズンではブルペン待機の大役を担っています。

バシットの歩みと現在の評価

バシットは1989年2月22日オハイオ州生まれ、身長196cm、体重95kg。右投右打の正統派投手です。現在36歳、2024年シーズンは10勝14敗、防御率4.16、奪三振168、投球回数171回を記録しています。2023年には最多勝利投手(MLB)に輝いた実績もあり、経験値と実力を兼ね備えた存在です。

今季の年俸は約2200万ドル(約33億円)。その活躍は成績面だけでなく、マウンド外でのリーダーシップ、若手へのアドバイス、経験とノウハウの伝承という形でも大きな評価を受けています。

クラブハウスに息づく“知恵と分かち合い”の文化

バシットは「ブルージェイズのクラブハウスには、経験と知恵を分かち合う空気が流れている」と語ります。それは、シャーザーという「アイディアの泉」が加わることで、チームメイト同士が刺激しあい、全員が成長し続ける風土が醸成されているからです。
三塁手のクレメントも「大きな場面でも気負わない方法や自信の持ち方を教えてくれた」とコメントし、クラブハウスの“誰もが主役になれる文化”を実感しているといいます。

  • ベテランと若手のコミュニケーションの活性化
  • 失敗体験を共有し、もう一度チャンスを掴む勇気
  • 試合のたびに「自分たちの野球」で挑み続ける挑戦心

今後に向けて――ワールドシリーズの頂点へ

バシットが語る「神様がくれたチャンス」に表されるように、ブルージェイズの今季の躍進は、悔しさをバネにしたリーダーの覚悟と、全員が高め合うクラブハウス文化に支えられています。
新しい時代の野球チーム像を映すブルージェイズ。その中心には、敗北から立ち上がったバシット、そして“シャーザー旋風”がもたらした知識と情熱があります。悲願のワールドシリーズ制覇へ、チームの挑戦は続きます。

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