サラーとリヴァプールに訪れた新たな危機――偉大なエースの「減少」という現実
リヴァプール――その名を耳にすれば、サッカーファンなら誰しもが燃え上がる歓声や、数え切れないほどの歓喜の瞬間を思い出します。その象徴ともいうべき存在が、エジプト代表FWモハメド・サラーです。しかし、今季2025年秋、リヴァプールとサラー、そして周囲のムードにはこれまでにない変化が訪れています。「得点数」「ドリブル数」の減少、チーム内外の異変、SNS上の異例行動――この一連の出来事は、単なる個人の不振でなく、クラブ全体に新たな危機感をもたらしています。
絶対的エース、サラー――輝き続けた記録と大きな変化
ここ数年のプレミアリーグを牽引してきたサラーは、2024-25シーズンにも29得点18アシストという圧倒的なスタッツを記録。クラブ通算では245得点にまで到達し、イアン・ラッシュ、ロジャー・ハントに次ぐリヴァプール歴代3位の得点王として名を刻みました。加えて、ゲーム『FC25』でも能力値91、実際の評価点でもチーム1位(7.61)と、その実力とインパクトは揺るぎないものでした。
さらに開幕節では、プレミア史上初となる「開幕節10得点」の大記録を樹立。2017-18シーズン加入以来、連続して開幕戦でゴールまたはアシストを決めている「Mr.オープニングゴール」としても知られています。
しかし、2025-26シーズンに異変──減少する数字
ところが、2025-26シーズン序盤、サラーの得点力とドリブル数が明らかに減少しています。公式記録によれば、リーグ開幕から8試合でわずか2得点(うち1点はホーム)、昨季の“突出”とは対照的に、試合を決定づける場面が減っている現実が数字となって現れています。
- 得点減少:8試合2ゴール(前季の同時期は7ゴール以上)
- ドリブル数でも苦戦:決定的突破の減少、1vs1の場面での勝率低下
- 試合評価:全体評価点は依然トップクラスだが、インパクトは落ち着き傾向
サラーの数字はなぜ減ったのか? 4つの要素で読み解く
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1. トレント・アレクサンダー=アーノルドの退団
サラー最大の“相棒”とも言われた右サイドバック、アレクサンダー=アーノルド。正確無比なクロスと後方からのサポートでサラーの動きを最大限引き出してきました。彼の退団によって右サイドでの連携オプションが大幅に減少。サラーが孤立しやすくなり、チャンスメイクに制約が生まれたと見る指摘が増えています。 -
2. 年齢による「自然」な変化
33歳を迎えたサラーは依然フィジカルはトップクラスですが、「キレ」や瞬発力に加齢による微減が見られ始めています。一人で2人3人を抜き去るようなシーンは確実に減少。局面突破よりもポジショニングやパスワーク重視への移行傾向です。 -
3. 新戦力や戦術変更の影響
新加入のフロリアン・ヴィルツらはそれぞれ個性的なプレースタイルを持ち込みました。結果、サラー中心から分散型の攻撃に変化。“核”の役割は変わりませんが、ゴール前で「自分で仕留める」回数が減り、チーム内で得点チャンスを分配する意図も読み取れます。 -
4. メンタル・モチベーション面での揺れ
これだけの年月エースとして走り続けてきたサラー。SNSでの記述を一部削除するなど、外部の批判や変化が精神面に影響したとの指摘も浮上しています。特に直近のフランクフルト戦の批判が、SNS上の対応のきっかけになったと見る見方もあります。
SNSでの“異例”行動――サラーがプロフィールから「リヴァプール」記述を削除?
さらに、サラーは最近、自身のSNSプロフィールから「リヴァプール」に関する記述を一時削除するという動きも見せました。これは、フランクフルト戦でのパフォーマンスを巡る批判や、“不調”報道が引き金だったとも言われています。これまでSNSで積極的にクラブ愛を発信し続けてきたサラーの行動は、多くのファンを驚かせ、移籍やモチベーション低下への懸念も呼び起こしています。
- 「批判を受けてSNS記述を削除」「今後の去就に憶測」といった報道加熱
- ファンからは「心配」「いつも通りでいてほしい」と声が続出
- 記録への称賛と同時に、精神面を気遣う投稿も急増
4連敗が象徴するチームの“機能不全”とサラー沈黙――リヴァプールの危機
リヴァプールは2025年秋、4連敗という2014年以来の深刻なスランプにも直面しています。「王者」らしからぬ守備の脆さ、決定力不足、そしてサラーの「沈黙」が並行して起きていることで、メディアやファンの間にも「機能不全」「より深刻な問題が潜在する」との声が広がっています。
かつて「サラーがいれば大丈夫」とまで言われたチームですが、4連敗の中でサラーが沈黙し続けている現状は、リヴァプールの戦術や精神的支柱の再検討を突きつけます。
- 得点機会の減少(29点→序盤2点)と攻撃の単調化
- 守備の脆さ――アーノルドら主力の離脱・移籍影響
- 戦術の迷走――新戦力への適応と既存選手の役割変動
- メンタル低下――SNSの異動やメディア批判の影響
ファンやチームが今とるべき姿勢、見守るべき視点
1選手の数字の減少がクラブ全体にこれほどまでに波及する――改めてサラーがリヴァプールにとってどれほど特別な存在だったかが明らかです。しかし、彼の偉大さは今なお色あせません。記録や数字を超えた「魂」のこもったプレー、そして苦境を乗り越えてまた立ち上がる姿にこそ私たちは希望を見出せるはずです。
不振は一時。リヴァプールとサラー、両者の再起に今、世界中のファンがエールを送っています。「レジェンドの復活」「チームの再生」――その瞬間は、きっと遠くはないことでしょう。
まとめ:変革期を迎えたリヴァプールとサラー
- サラーは依然として「リヴァプールの伝説」であり、通算得点・アシスト共に偉大な記録を更新中。
- 今季は数字の面で「減少」という現実に直面、生え抜き主力の退団や戦術変化も影響。
- SNSでの変化に象徴されるように、精神面でのケア・理解も今まで以上に重要に。
- 連敗などチームの危機は“個人”だけでなく“組織”的な問題。「再生」というチャンスと捉えることが必要。
リヴァプールとサラーは今、あらためて「伝説」と「変革」が交錯するターニングポイントに立たされています。この先再び輝きを取り戻し、新たなページを刻んでくれるのか――その軌跡を見届けることが、私たちファンにとって一番の楽しみなのかもしれません。



