琉球ゴールデンキングスU15が空港コートで初優勝 那覇エアポートカップで見せた成長と沖縄バスケの新しい風景

沖縄のプロバスケットボールクラブ、琉球ゴールデンキングスの育成組織であるキングスU15の選手たちが、「第3回 那覇エアポートカップ」の一般の部で初優勝を果たしました。
会場はなんと、那覇空港国際線ターミナルの特設コート。空港がバスケットボール会場に変身し、およそ5000人の来場者が3人制バスケットボール「3×3」の熱戦を見守りました。

那覇空港がバスケ会場に 「那覇エアポートカップ」とは

那覇エアポートカップ」は、沖縄で開催されたバスケットボールワールドカップの熱気を受け継ぎたいという思いから生まれた、空港内で行われる3人制バスケットボール大会です。
主催は、ワールドカップのレガシーを未来につなげることを掲げた民間団体「沖縄バスケットボールレガシー2023プロジェクト」。

大会は、那覇空港国際線エリア2階の首里城復興応援広場に特設コートを設置して開催されました。
空港を行き交う旅行者や家族連れが足を止め、選手たちのプレーに見入る姿が見られ、会場は一日中にぎやかな雰囲気に包まれました。

参加チームは、小学3〜6年生のキッズ4チームと、中学生以上の一般8チーム
一般の部には、学生チームだけでなく、空港で働く職員たちによる「ANA那覇空港チーム」など、空港ならではの顔ぶれも参加しました。

キングスU15の4選手が一般の部に挑戦

今大会の一般の部には、琉球ゴールデンキングスU15から次の4選手が出場しました。

  • 宮城昊河(みやぎ そら)選手
  • 砂川恵汰(すなかわ けいた)選手
  • 新里颯一朗(しんざと そういちろう)選手
  • 仲村元喜(なかむら げんき)選手

彼らは、中学生以上が対象の一般の部にエントリーし、年齢も経験も上の選手たちに挑むかたちで大会に臨みました。
多くの選手にとって、3人制バスケットボールは初挑戦。普段の5人制とはルールもリズムも違うため、最初は戸惑う場面もあったといいます。

それでも試合が進むにつれ、持ち味であるスピードと積極的な攻撃を発揮。特に宮城選手を中心としたアグレッシブなオフェンスで、相手ディフェンスを切り崩していきました。

予選から決勝まで全勝 劇的な延長戦を制し初優勝

キングスU15は、予選リーグから安定した戦いぶりを見せます。大会結果は次の通りです。

  • 予選リーグ
    第1試合:vs Ankle Breaker 19–12 ○
    第2試合:vs YYソニー 15–14 ○
    第3試合:vs ANA沖縄空港 16–15 ○
  • 決勝トーナメント
    準決勝:vs SWAGGY WAVES 20–12 ○
    決勝:vs Ankle Breaker 34–31 ○

決勝の相手は、予選でも対戦していたAnkle Breaker
QABのニュースによると、一般の部・決勝はお互いに素晴らしいプレーの応酬となり、試合は延長戦にもつれ込む大接戦となりました。
最後はキングスU15が一歩前に出て、34–31で勝利。見事に初優勝の栄冠をつかみ取りました。

この劇的な勝利の瞬間、会場に集まった観客からは大きな拍手と歓声が湧き起こり、空港という特別な場所が一体感に包まれました。

「空港でバスケができてうれしい」宮城昊河選手の言葉

優勝を果たしたキングスU15の中心選手、宮城昊河選手は、クラブの発表やテレビのインタビューで次のように語っています。

「普段とは違う雰囲気の中、空港という特別な場所でバスケットボールをする貴重な体験ができ、とても楽しかったです。」
「自分たちより年齢もレベルも上の方々と対戦し、優勝できたことは、一緒に出場したチームメイトにとっても、個人としても大きな自信になりました。」
QABのニュースでは、「周りの雰囲気がとても良くて空港でできて良かったなと思います。GO!GO!キングス!」と笑顔でコメントしています。

日頃から5人制バスケットボールで鍛えられた技術とチームワークを、3人制という新しい舞台で発揮し、結果につなげた今回の経験は、選手たちの成長にとって大きな一歩となりました。

空港ならではの参加チーム ANA那覇空港チームも出場

那覇エアポートカップには、バスケットボールクラブや学生チームだけでなく、空港で働く人たちも参加しました。
そのひとつが「ANA那覇空港チーム」です。

選手たちはインタビューで、「僕たちは全日空のチームです。ちょっと変な気持ちですけど、職場でバスケができてとてもうれしいです」と話し、県外からの利用客が試合を観戦してくれることについても、「沖縄はバスケが盛んなんだなという良いイメージを持ってもらえたら、出場して良かったと思います」と語っていました。

空港という公共の場で、働く人たちもプレーヤーとしてコートに立ち、その姿を観光客や県民が見守る――。この大会は、バスケットボールを通じて、「仕事の場」と「スポーツの場」が柔らかくつながる、ユニークな空間を生み出しています。

5000人が観戦 子どもたちには元キングス金城茂之さんがレッスン

大会当日は、およそ5000人が来場し、試合やイベントを楽しみました。
試合の合間には、子どもたちを対象としたバスケットボールレッスンも行われました。

指導に立ったのは、琉球ゴールデンキングスで日本人初の永久欠番となった金城茂之さん
金城さんは、「みんな、僕らの時代より格段にうまくて、すごく驚いています。もっともっとバスケットを好きになって、自分から進んでいろいろ探ってもらえるようなお手伝いができたら」と、次の世代への期待を語りました。

プロクラブのレジェンドから直接指導を受けるという特別な機会に、子どもたちは目を輝かせながらシュートやドリブルに挑戦していました。こうした体験が、将来の「新しいキングスの選手」を生むきっかけになるかもしれません。

首里城復興支援にもつながる大会

那覇エアポートカップは、バスケの大会としてだけでなく、首里城復興支援という大切な役割も担っています。
大会運営費の一部は首里城復興支援金として寄付されることになっており、会場名にも「首里城復興応援広場」という名前が掲げられています。

那覇空港を訪れる人々がバスケを楽しみながら、沖縄の歴史と文化を象徴する首里城への思いを新たにする――。スポーツと地域の復興支援が自然な形で結びついた取り組みといえます。

大会に込められた思い 「沖縄から世界へ」

那覇エアポートカップ実行委員会の近藤洋介委員長は、この大会に込めた思いを次のように語っています。

「沖縄の次の世代が、先輩たちと一緒にバスケをやることによって、沖縄から世界に羽ばたいてもらえるような、そんな大会になったらいいなという思いでやらせていただいております。」

まさにその言葉の通り、今回の大会では、プロクラブのレジェンドと子どもたち、空港職員と学生、そして琉球ゴールデンキングスU15の選手たちが、同じコートを共有しました。
世代や立場を超えてバスケットボールでつながる姿は、「沖縄バスケの今」と「これから」を象徴しているようです。

キングスユースが担う「沖縄をもっと元気に!」という役割

琉球ゴールデンキングスを運営する沖縄バスケットボール株式会社は、ユースチームの活動を通じて、「沖縄をもっと元気に!」という理念を掲げています。
キングスU15は、競技力の向上だけでなく、地域への貢献や、人としての成長も大切にしながら日々の練習に取り組んでいます。

今回の那覇エアポートカップでの初優勝は、その理念が形になったもののひとつといえるでしょう。
特別な会場で、世代を超えたライバルたちと戦い、自信と経験を手にしたキングスU15の4人の選手たち。彼らの姿は、多くの子どもたちに「自分も頑張ってみたい」と思わせてくれる存在になったはずです。

クラブは「今後も選手の育成とチームの強化に努めてまいりますので、引き続き応援をよろしくお願いします」とコメントしており、キングスユースのこれからの活躍にも期待が高まります。

空港から広がるバスケの輪 琉球ゴールデンキングスへの期待

空港という日常と非日常が交差する場所で開催された那覇エアポートカップ
そこで一般の部を制した琉球ゴールデンキングスU15の快挙は、単なる一大会の優勝にとどまらず、沖縄バスケットボール界の明るい未来を感じさせるニュースとなりました。

観客として訪れた子どもたちの中から、次のキングスの選手が生まれるかもしれません。
そして、今回コートに立った4人の選手たちが、将来Bリーグの舞台や、さらに大きな世界のステージで活躍する日もそう遠くないのかもしれません。

空港から世界へとつながる那覇の空の玄関口で、バスケットボールを通じて新たな物語が始まりました。
琉球ゴールデンキングスとキングスユースのこれからに、引き続き大きな注目が集まりそうです。

参考元