レンドンの電撃引退報道とエンゼルス再建の行方
アンソニー・レンドン—大型契約に終止符?
米スポーツ専門局ESPNは2025年11月26日(現地時間)、ロサンゼルス・エンゼルスのアンソニー・レンドン内野手が、球団との契約バイアウト(買い取り)について協議していると報道し、事実上の引退が濃厚であると伝えました。レンドン選手は2019年オフにエンゼルスと総額2億4,500万ドル(約382億円/契約当時)の7年契約を結び、2026年シーズンまで大型の複数年契約を残していましたが、最後の契約年度を迎える2026年に向けて、3,800万ドル(約59億円)という莫大な契約残額のバイアウトが協議されています。
度重なる怪我と失望の成績――「MLB史上最悪の契約」か
レンドン選手はワシントン・ナショナルズ時代、2019年にリーグ最多126打点をマークし、球団初のワールドシリーズ制覇の原動力となりました。その圧倒的な実績を引っ提げ、エンゼルス入団後は大きな期待を集めました。しかし、2020年の移籍1年目は新型コロナウイルス禍で短縮シーズンとなり52試合出場、2年目以降は故障が相次ぎ、年間60試合を超えて出場したシーズンは一度もありませんでした。
2025年は股関節の手術による長期離脱のため、シーズンを全休。エンゼルスでの6シーズン通算で257試合出場、打率.242、22本塁打、125打点、OPS.717と契約規模に見合った結果を残せず、「MLB史上最悪の契約」とも揶揄されるようになりました。2024年、股関節に加え度重なる腰や脚の負傷にも苦しみ、球団関係者や米メディアでは引退の可能性が繰り返し報じられてきました。
契約「バイアウト」と引退までの流れ
エンゼルスはレンドン選手との契約最終年度である2026年の3,800万ドル(約59億円)のバイアウトについて現在協議中です。バイアウトとは、選手や球団が複数年契約を途中で精算し、その後の残り契約を一括で支払うことで合意解約することです。今回の協議の背景には、レンドン選手自身が度重なる怪我により現役続行が難しい状態にあり、球団も戦力再編のために高額年俸の整理を急ぐという共通の利害があると見られています。
「2025年を全休したレンドンは引退する見込み」と伝えられており、米国内複数メディアでも「バイアウトによる関係解消の可能性が高い」と報じられています。事実上、選手本人、球団双方の合意による契約解消をもって現役引退となる見通しです。
エンゼルス球団にとってのレンドン契約と再建
エンゼルスはこの数年、主力陣の負傷や期待外れの補強で低迷が続いていました。2024年オフには大谷翔平選手がドジャースに移籍し、レンドン選手の戦線離脱が決定的。残された球団の象徴的存在、マイク・トラウト選手にも移籍話が浮上するなど、エンゼルスは「再建モード」に大きく舵を切らざるをえない状況となっています。
特にレンドン選手の大型契約解消は球団の財政的な負担を大きく軽減し、若手有望株の獲得や、再建に向けた人員・資金の再配分にもつながります。米スポーツ専門誌も「エンゼルスが今オフ、レンドンとの関係を断つ可能性が高い」と指摘しており、球団を象徴した「高給選手のリセット」と「新たな船出」となりそうです。
ワールドシリーズ制覇から転落まで—レンドンの軌跡
- 2019年 — ワシントン・ナショナルズでリーグ最多打点を記録し、球団初のワールドシリーズ優勝に大貢献。
- 2019年オフ — FA市場の最大目玉としてエンゼルスと7年総額2億4,500万ドルで契約。
- 2020〜 — コロナ禍・短縮シーズンに加え、膝・腰・股関節など怪我の連鎖で出場数激減。以降、満足にフルシーズンを戦えず。
- 2025年 — オフシーズンに股関節手術が決まり、GMから「シーズン出場なし」と公表、現役生命が事実上絶たれる。
ファン・球界からは複雑な声
多くのMLBファンや評論家は、ナショナルズ時代のレンドンの貢献を讃える一方、エンゼルス移籍後の「契約に見合わない成績」と「度重なる怪我」に唖然とし、契約金額の大きさや補強失敗を厳しく指摘してきました。SNSやMLB専門フォーラムでも「MLB史上”最悪の契約”」「契約解消はやむを得ない」といった意見が目立っています。
一方で、故障に苦しみながらも復帰を目指して努力したレンドン選手への労いの声や、ワールドシリーズ王者としての輝かしい記憶を胸に、第二の人生を応援する温かいメッセージも少なくありません。
エンゼルスの未来—主力放出と”再建”の加速
エンゼルスは2024年オフ、大谷選手の流出による戦力低下が決定的となり、さらに「盟友」マイク・トラウト選手にも移籍話が浮上。長期低迷の責任を問われる中、主力選手放出を含め大規模なチーム再編成、すなわち”再建”が本格的に動き出しています。
球団OBや米報道では「トラウトの移籍候補リスト入り」「他球団での大谷翔平との再タッグにも期待」と伝えられ、ユニフォームを変える日が来るのか否か、ファンの注目が集まっています。
一方で、レンドン選手のバイアウト・引退協議は、エンゼルスの大型契約路線の限界と球団経営の分岐点を象徴する出来事です。今後は球団の育成力や、中長期的な戦略変更の成果も問われることになるでしょう。
アンソニー・レンドン—キャリアの余波と評価
MLB通算成績では高打率・好守備の三塁手として名を馳せ、特にポストシーズンの勝負強さで球界きっての「クラッチヒッター」として鳴らしたレンドン選手。ナショナルズ時代のキャリアハイは、今も野球ファンの記憶に残ります。
しかし、怪我との闘いとなったエンゼルス時代は大きな誤算となり、その象徴的な大型契約と共にMLBの歴史に名を刻むこととなりました。今後、選手としての去就のみならず、「FA補強と大型契約のリスク」という議題の中でも、彼の名前が語り継がれることとなるでしょう。
まとめ:チームとレンドン双方の新しい一歩
今回のバイアウト協議による引退報道は、エンゼルス再建のスタートであり、レンドン選手にとってはアスリート人生の新たな区切りです。度重なる怪我に戦い続けた苦闘の日々と、短くも眩しい全盛期の活躍に、多くのMLBファンが惜別と敬意を贈っています。
エンゼルスがこれからどのような再建策に踏み出し、かつてのチームブランドを取り戻せるのか。そしてレンドン選手がどのような第二の人生へと羽ばたくのか、今後も米球界・スポーツファンの注目が集まっています。



