レアル・ソシエダの「理念」と久保建英が描く未来~スペインで輝く日本人アタッカーの今
堅実で一貫したソシエダのスタイルと「理念」
レアル・ソシエダというクラブは、ただ好成績を狙うだけのチームではありません。その根底には、一貫したサッカーの「理念」とスタイルがあります。クラブは地元バスク地方の文化や育成の伝統を重んじ、若手選手の台頭を重要視してきました。そのため派手なタレントに頼らず、組織的かつ規律あるプレーを重ね、長い年月をかけて独自のサッカースタイルを磨いてきたのです。
このような環境下で、個性豊かな選手たちが伸び伸びと力を発揮しています。特に攻撃面では、テクニカルでスペースを活かしたビルドアップ、選手一人ひとりのポジショニングや連動性が重視され、いわば選手たちが「共通言語」を持つかのようなチームワークを誇ります。
久保建英がチームでブレイクできた理由
久保建英がここまでソシエダで高いパフォーマンスを見せている背景には、チームの環境が大きく影響しています。久保選手は繊細なタッチや状況判断に優れたプレースタイルで、ソシエダの「理念」としっかり融合。わずか2シーズンほどでエースとしての役割を担うまでになりました。
新シーズンの開幕戦では、敵地メスタージャでのバレンシア戦で左足一閃のゴールを挙げ、引き分けという結果に大きく貢献しています。この得点以外にも、逆転アシストとなりうるパスを供給するなど、その存在感はますます強まっています。まさにソシエダの攻撃のリーダーであり、そのプレーぶりは日本国内外で絶賛されています。
また、久保選手はクラブ内で補強の必要性を訴えるなど、プレー外でも存在価値を発揮しています。そしてソシエダ側も、久保選手を筆頭に、ブライス・メンデスやアレックス・レミロといった主力選手の流出を何としても防ぎたい考えを持っています。
補強方針とスカッドの刷新~PSG攻撃的MFの獲得
新シーズンに向けてソシエダはEU圏内・外を問わず戦力強化を模索してきました。すでにパリ・サンジェルマン(PSG)から攻撃的MFの獲得について合意に達しており、加えて守備的MFの補強も視野に入れています。攻撃面での即戦力確保と、守備の安定化をトータルで押し進めるプランです。
ただし、欧州外枠(EU圏外選手枠)には制限があり、この点は今後の人事にも大きな影響を与えます。久保選手はEU圏外枠の中で貴重な戦力であり、この枠の争奪戦が今後の補強に影響を与えることは間違いありません。
久保建英の移籍報道と「現地のリアル」
この夏、久保建英に関して移籍の噂が絶えませんでした。バイエルン・ミュンヘンやトッテナム・ホットスパーといったビッグクラブからの関心が取り沙汰されたものの、ソシエダ残留の可能性が非常に高い、というのが現地報道の一致した見方です。ソシエダ会長は「他クラブから正式なオファーはなく、久保は来季もソシエダでプレー見込み」と明言。クラブの幹部からも「移籍を認める理由がない」「久保の活躍はクラブの財産」との評価が語られています。
また、久保選手自身も7月18日放送のラジオ『オールナイトニッポンGOLD』出演時に、チームと地域への愛着やシーズン目標への強い意欲を語っています。そうした背景もあり、今季も久保建英はソシエダの「顔」としてピッチに立ち続ける見込みです。
EU圏外枠の制限~移籍が難しい理由
久保建英の移籍にあたり、最も大きな障壁がEU圏外枠の問題です。スペインリーグでは、大半のクラブがEU圏外出身選手の登録人数に制限を設けています。そのため、久保選手のような非EU圏国籍選手は、どんなに実力があっても「枠」が空いていなければ移籍が成立しません。
加えて、久保選手への移籍金設定も高額で、ソシエダ側が折れる様子を見せていないことから、「少なくとも来季まではラ・レアルでプレー続行」という流れが強まっています。また、主力選手流出を食い止めてきたソシエダの戦略面でも、エースが抜けるリスクは極小に抑えたい意図がうかがえます。
バスクの誇りとサポーターの久保愛
ソシエダのクラブカルチャーには、バスク人選手だけでなく、外部から来た才能も歓迎する「オープンさ」が根付いています。久保建英は、言葉や文化の壁を超え、現地ファンの支持を受けてクラブ内で確固たる地位を築いています。
- 攻撃の起点となる独自のリズムや連携
- 守備への献身性やハードワーク
- クラブに対する忠誠心・共感力
こうした要素が、久保建英が「バスクの星」と称される理由でもあります。今後もいち主力として、クラブと共に戦い続ける覚悟を見せています。
サッカー界で問われる「クラブと選手の関係」
欧州サッカーでは経済的事情やグローバルな移籍市場が複雑に絡み合う中、レアル・ソシエダでは「資本」よりも「サッカーの本質」を追究する姿勢が際立っています。補強が華やかに報じられる一方、久保のように現体制で力を発揮する選手が主役となれるのも、このクラブの独自性ゆえでしょう。
その証拠に、現地では「久保建英=ソシエダの象徴」として、プレミアやバイエルンからの関心を受け流す論調が強く、話題作りの「移籍の噂」に惑わされない信頼感が築かれています。
これからのレアル・ソシエダと久保建英
2025-26シーズンも「理念あるスタイル」を貫くことで、レアル・ソシエダはラ・リーガの上位進出とヨーロッパ大会復帰を目指します。そして、久保建英がそんなチームの中でどれだけ躍動し、新たな歴史を刻むのかが大きな注目点です。
クラブのビジョン、選手の個性、そしてサポーターの熱意――。それら全てが融合することで、レアル・ソシエダというクラブは新たな物語を紡いでいくことでしょう。
スペイン北部サン・セバスティアンの青と白のクラブには、これからも目が離せません。