男子110メートルハードル、村竹ラシッドがついに日本人初の12秒台突入:歴史的偉業とその舞台裏

2025年8月16日、福井の9.98スタジアムで行われた「Athlete Night Games in FUKUI」。この日、会場は普段の静けさを一変させ、スタンドからは驚きと感動の声が絶えませんでした。主役は、23歳・村竹ラシッド選手(JAL)。男子110メートルハードル決勝で12秒92(+0.6m/s)の日本新記録を樹立し、日本陸上史に新たな1ページを加えました。このタイムは今シーズン世界2位、そして世界歴代11位タイという快挙でもありました。

日本人初、男子110mハードルで12秒台の衝撃

これまで村竹選手が同じく記録保持者だった泉谷駿介(住友電工)選手と並び日本記録は13秒04。しかし、この「13秒の壁」は日本ハードル界にとって打ち破れなかった大きな壁でもありました。村竹選手は、0.12秒もの大幅な自己記録更新でこの壁を一気に突破し、日本人初の12秒台という歴史的な記録に到達しました。

アジア全体で見ても、この記録は2006年に中国の劉翔選手がアテネ五輪でマークした12秒88(世界記録でありアジア記録)に次ぐ歴代2位。まさに「ワールドクラス」のスプリントハードラーとなったのです。

村竹ラシッドの歩み:たゆまぬ挑戦の軌跡

村竹ラシッド選手は2002年2月6日生まれ、千葉県松戸市出身。父はトーゴ人で、幼少期から運動神経に恵まれていました。中学生のころから陸上の才能を発揮し、高校・大学でも着実に記録を伸ばし続けました。

2024年のパリオリンピックでは、日本人として史上初となる男子110mハードル決勝進出を果たします。表彰台にはあと一歩届かなかったものの、決勝5位入賞は、日本の短距離種目史で最も高い順位という快挙でした。ちなみにこのとき、入場時に「ジョジョ立ち」を披露して話題にもなりました。2025年にはアジア選手権を制し、東京2025世界陸上への大きな弾みとしています。

12秒92—世界への挑戦と日本陸上界の期待

今回の12秒92は日本だけでなく、世界陸上界にも大きなインパクトを与えました。世界歴代11位タイ、今季世界リスト2位。日本人はもちろん、海外からの注目も集まります。劉翔選手のアジア記録12秒88にわずか0.04秒差まで肉薄し、オリンピックや世界陸上でも「表彰台圏内」の実力という評価です。

この記録が生まれたのは、東京世界陸上(2025年9月13日~21日)の直前。村竹選手本人も「12秒台を出して、必ず日本勢として初めてのメダルを」と力強い決意を語っています。今後の活躍にも期待が集まります。

村竹ラシッド—人柄・地道な努力・仲間と分かち合う成功

  • 村竹選手は、人一倍の努力家です。練習では細やかなハードルワークや筋力トレーニングを徹底し、高い意識で競技に取り組んでいます。その一方で、仲間やファンを大切にし、明るい笑顔や親しみやすい人柄でも知られています。
  • 「涙の壮行会」エピソードも印象的です。東京世界陸上を前にした壮行会では、同じく世界で戦う仲間たちと肩を並べ、涙ながらにこれまでの努力や支えへの感謝を語りました。周囲からも「ラシッドの頑張りがチームに良い影響を与えている」との声が多数上がっています。

110メートルハードルという競技、その魅力と過酷さ

男子110mハードルは、10台の高さ1メートル6センチのハードルを飛び越えながら100メートル超を駆け抜ける過酷な種目です。技術、パワー、リズム、集中力――あらゆる身体能力と戦略が要求されます。0.01秒で順位が変わる世界において、12秒台前半というのは「世界のトップの証」です。

日本では長らく世界の壁が高かった種目でしたが、村竹選手の登場によって状況が一変。若手選手や指導者にも大きな刺激となっています。次世代への継承という意味でも、その存在価値は計り知れません。

「東京」決戦へ—日本陸上界の新たな時代

  • 2025年9月の東京世界陸上。村竹選手は「12秒台を出して日本勢初のメダルを」と語り、国民の期待もかかります。
  • 初めて決勝に進み、さらに自己記録・日本記録を短期間で何度も塗り替えている背景には、村竹選手自身の努力に加え、コーチ陣や先輩・後輩たち、ファンの存在が大きいと言われています。
  • 世界と肩を並べ、戦う村竹ラシッド――2020年代後半、日本陸上界を大きく前進させた顔として、今後も多くの人に夢と感動を与え続けることでしょう。

男子110mハードル以外にも、日本勢に熱い視線

同じく世界陸上へ出場する仲間たちにも注目が集まっています。やり投げの北口榛花選手など、さまざまな種目でプロ意識とエンターテイメント性を持つ選手が活躍中。彼らの存在も、村竹選手にとって大きな刺激となっています。

出場予定選手と「陸上愛」の連帯

世界陸上では村竹選手のほか、多数の日本代表選手がエントリー。会場・壮行会でのエピソードも話題となっており、それぞれが自らの「陸上愛」を叫び、チーム一丸で日本の「新時代」をつくろうという熱気が伝わってきます。

村竹ラシッドの今後に期待

村竹ラシッド選手の2025年の飛躍は、単なる「記録の更新」だけにとどまりません。彼の努力・挑戦・感謝が多くの人々の心を動かし、日本陸上界の希望の星となりました。12秒台の衝撃を胸に、東京世界陸上そしてそれ以降の大舞台でのさらなる飛躍に期待しましょう。

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