楽天イーグルス新入団会見でドラ1藤原聡大「目標は沢村賞」 ドラ5伊藤大晟も力強く決意表明
東北楽天ゴールデンイーグルスの2026年度新入団選手発表会見が、仙台市内のホテルで行われました。ドラフト1位・藤原聡大投手とドラフト5位・伊藤大晟投手をはじめとする12人の新戦力が、プロの世界での決意や目標を言葉にし、ファンや球団関係者の前で新たなスタートを切りました。
なかでも注目を集めたのは、藤原投手が掲げた「目標は沢村賞」という力強い宣言です。エース級先発投手の証ともいえるタイトルをあえて口にする姿は、来季以降の楽天先発陣の顔となることを期待させるものでした。
2026年度新入団会見の概要とメンバー構成
楽天イーグルスは、2025年のドラフト会議で指名した選手たちと正式契約を結び、「2026年度 東北楽天ゴールデンイーグルス 新入団選手発表会見」を12月5日に開催しました。 会場には、支配下選手7名と育成選手5名、合わせて12名の新入団選手が登場しました。
ドラフト指名選手は以下の通りです。
- 1位:藤原聡大(花園大/投手/背番号13)
- 2位:伊藤樹(早稲田大/投手/背番号20)
- 3位:繁永晟(中央大/内野手/背番号30)
- 4位:大栄利哉(学校法人石川高/捕手/背番号72)
- 5位:伊藤大晟(れいめい高/投手/背番号79)
- 6位:九谷瑠(王子/投手/背番号45)
- 7位:阪上翔也(近畿大/外野手/背番号42)
さらに、育成選手として幌村黛汰外野手、大坪梓恩外野手、中沢匠磨投手、金子京介内野手、島原大河捕手の5選手も加わり、将来性豊かな顔ぶれがそろいました。
ドラ1・藤原聡大「目標は沢村賞」 背番号13に託すエースの自覚
花園大学出身の右腕・藤原聡大投手は、この日の会見で最も注目を浴びた存在でした。 球団から与えられた背番号は「13」。伝統的に先発投手がつけることの多い番号であり、将来のエース候補として期待されていることがうかがえます。
藤原投手は自己紹介の中で、「真っ直ぐとスライダーに自信がある」と自らの武器を明かし、「それを軸に東北にリーグ優勝、日本一を届け、ファンの皆さまをわくわくさせるような投手になれるように頑張ります」と宣言しました。
そして、プロでの目標を問われると、「プロ野球選手での目標は沢村賞を獲ることができる投手になることです」と明確に口にしました。 沢村賞は、日本プロ野球の先発完投型エースの象徴ともいえるタイトルであり、高いハードルであることは本人も理解したうえでの発言です。
藤原投手は、まず身近な目標として「プロ初登板初勝利」を掲げており、1試合1試合の積み重ねの先に沢村賞級の成績があるという考えをのぞかせています。 直球とスライダーを軸にしたスタイルで、どれだけ早く一軍ローテーションに食い込めるか、来季からの成長が大きな関心事となりそうです。
ドラ5・伊藤大晟「気迫溢れるピッチングを見てほしい」 背番号79の18歳右腕
ドラフト5位で指名された伊藤大晟投手は、鹿児島のれいめい高校出身の18歳右腕です。 会見では背番号79が発表され、ユニホームの背ネームは「TAISEI.I」と表記されることになりました。
楽天にはすでに伊藤裕季也内野手が在籍しており、このオフには伊藤光捕手も加入。さらに同期入団でドラフト2位の伊藤樹投手もいるなど、「伊藤」姓の選手が複数いることから、区別しやすいように名前を入れた背ネームを選択したと説明しました。
登録名はフルネームの「伊藤大晟」となる予定で、本人も「名前を入れて、これにしました」と話しています。
OBS大分放送の報道によると、伊藤投手は入団会見で「気迫溢れるピッチングを見てほしい」とコメントし、マウンド上での闘志を前面に出していく覚悟を語りました。 また、「今年の目標は開幕一軍です。一日でも早く投げる姿を見せられるように頑張ります」とも話し、即戦力としてアピールする意欲を示しています。
今後については、「アベレージで150キロを目標にしていきたい」と球速面でのレベルアップも誓っており、体づくりをテーマにオフシーズンを過ごす考えです。 パワフルな直球に気迫あふれる投球スタイルがかみ合えば、リリーフとしての起用も含め、早期の一軍デビューも期待されます。
他の新入団選手たちの目標と意気込み
この日の会見では、藤原投手、伊藤大晟投手以外の新入団選手たちも、それぞれの目標や武器を語りました。
- 伊藤樹投手(ドラ2/早稲田大/背番号20)
「一球入魂」をスローガンに、早稲田大出身としての誇りと、秋田にゆかりのある投手として東北全体を盛り上げたいと話しました。 - 繁永晟内野手(ドラ3/中央大/背番号30)
目標に「新人王」を掲げ、バッティングと元気の良さでチームを活気づけたいと宣言しました。 - 大栄利哉捕手(ドラ4/学校法人石川高/背番号72)
強肩を武器に、まずは「1年間戦える体づくり」を目標に掲げ、将来的には「楽天イーグルスの軸となる捕手」を目指すと語りました。 - 九谷瑠投手(ドラ6/王子/背番号45)、阪上翔也外野手(ドラ7/近畿大/背番号42)らも、それぞれプロの世界で生き残るための課題と目標を述べ、緊張しながらも前向きな表情を見せました。
また、育成選手たちも「一日でも早い支配下登録」を共通の目標として掲げ、まずはファームで結果を残してチャンスをつかむことを誓っています。
「沢村賞」という言葉が持つ意味
今回の会見で特に印象的だったのは、藤原聡大投手の「沢村賞を獲る投手になりたい」という発言です。 沢村賞は、シーズンを通じて先発ローテーションを守り抜き、チームの勝利に大きく貢献した投手に贈られる、日本プロ野球界でも最高峰の個人タイトルのひとつです。
若い投手にとって沢村賞は、単なる数字上の成績だけでなく、「チームのエースとしての信頼」の証でもあります。藤原投手がこのタイトルを口にしたことは、自分自身を高いところに置き、エースとしての責任を背負う覚悟を示したと言えるでしょう。
一方で、ドラ5・伊藤大晟投手は「開幕一軍」や「アベレージ150キロ」という、より身近で具体的な目標を掲げています。 それぞれが置かれた立場に応じたゴールを設定しながらも、「チームを勝たせる投手になりたい」という思いは共通しているように感じられます。
楽天投手陣への期待とファンの楽しみ
楽天は2025年のドラフトで藤原・伊藤樹・伊藤大晟・九谷と4人の投手を指名し、将来のローテーションやブルペンを支える素材を一気に獲得しました。 それぞれタイプの異なる投手がそろったことで、数年後の投手陣の姿を想像する楽しみが広がっています。
藤原聡大投手は「東北にリーグ優勝、日本一を届けたい」と話し、伊藤大晟投手は「気迫溢れるピッチングを見てほしい」とファンにメッセージを送りました。 こうした言葉は、来季以降のマウンドでの姿と重なり、ファンの期待を一層高めています。
まずはキャンプ、オープン戦を通じて、どこまで一軍メンバーに食い込むことができるのか。「沢村賞」を目標に掲げたドラ1藤原と、「気迫」で勝負するドラ5伊藤大晟。対照的でありながらも芯の強さを感じさせる2人のルーキーが、楽天イーグルスの未来を切り開いていくことになりそうです。


