浦和レッズ・スチュワード30周年とドコモとの新たな取り組み――クラブと地域を支える「応援のカタチ」が進化

浦和レッドダイヤモンズ(浦和レッズ)をめぐって、クラブと地域、そしてファン・サポーターの関係性をあらためて見つめ直すような動きが続いています。
ひとつは、日本のスポーツボランティアの先駆けとして知られる「浦和レッズ・スチュワード」活動の30周年記念イベント。もうひとつは、NTTドコモと浦和レッズが連携して始めた「推しJクラブ応援」に向けた新たな取り組みです。

どちらのニュースにも共通しているのは、「クラブを支えるのは、選手やスタッフだけではなく、スタジアムで、そして日常の暮らしの中で応援し続ける人たちの存在」だということです。本記事では、この2つの動きをやさしくひもときながら、浦和レッズが歩んできた30年と、これからの「応援のカタチ」について紹介します。

「スチュワード」とは?浦和レッズが切り拓いたスポーツボランティアのかたち

まずは、今回30周年を迎えた浦和レッズ・スチュワードについて整理してみましょう。スチュワードとは、試合当日のスタジアムで観客案内や安全管理のサポートなどを行うボランティアスタッフのことです。

近年、多くのスポーツイベントでボランティアの存在は欠かせないものになりましたが、Jリーグの中でも、こうした活動をいち早く体系立てて行ってきたのが浦和レッズです。
浦和レッズのスチュワードは、

  • 単発の大規模イベントではなく、年間を通して活動していること
  • クラブのファン・サポーターや地元市民が主体となっていること
  • 「我がクラブ」「我が地域」への愛着を原動力にしていること

といった特徴を持ち、日本におけるスポーツボランティアの先駆け的存在と評価されています。

スチュワード活動30周年記念イベントが開催

このスチュワード活動が2025年で30周年を迎えたことを記念し、11月15日には埼玉スタジアム2002クラブハウスで記念式典が行われました。
イベントは、スチュワード自身やクラブ関係者が協力しながら準備を進め、温かな雰囲気の中で開催されました。

当日は、

  • スチュワードサポートメンバー(SSM)による会場設営
  • 受付での30周年記念品(赤・黒のボールペン)の配布
  • スチュワード委員会やクラブ代表、後援会からのあいさつ
  • 歴代ユニフォームや活動写真の展示

などを通じて、これまでの30年をふり返る場となりました。

クラブレジェンドも参加した記念式典――笑顔あふれる交流の時間

式典には、浦和レッズの歴史を彩ってきた選手たちもゲストとして参加しました。
岡野雅行さん興梠慎三さんといった、サポーターにもおなじみの面々が会場を回り、スチュワード一人ひとりと交流する場面もあったといいます。

また、

  • 30年間の思い出写真によるスライドショー
  • 歴代背番号30を背負った岡野さん・興梠さんによるトークショー
  • サイン入りグッズが当たる抽選会

など、笑顔と歓声に包まれたコンテンツが続きました。
サポーターであると同時に運営の一端を担ってきたスチュワードにとって、「クラブに認められ、同じ歩みをふり返る特別な時間」となったことがうかがえます。

「永年活動スチュワード」への表彰と、クラブからの感謝

式典では、長年活動してきたスチュワードに対する表彰式も行われました。
とくに紹介されたのは、スチュワード活動が始まった1995年から全ての試合で活動を続けてきたという富沢日佐雄さんです。
その功績に対し、クラブからは特別な賞品も贈られました。

クラブ側からは、「スチュワードは選手やスタッフより長くスタジアムに居る存在であり、対価ではなくクラブ愛で動いている」という趣旨の言葉も伝えられています。
これは、「クラブを支えるのはピッチ上の90分だけではなく、その前後の時間、そして日々の準備にまで及ぶ」という認識を、クラブとして明確に示したものと言えるでしょう。

最後は、全員での集合写真撮影と、ゲストとのハイタッチで締めくくられました。
30年という節目を、これまで支えてきた仲間たちと共に分かち合う、あたたかな記念イベントとなりました。

スチュワードが示した「スポーツボランティアの未来」

こうした30年の歩みは、「スポーツボランティアの未来像」を考えるうえでも、大きなヒントを与えてくれます。

  • スタジアム運営に継続的にかかわるボランティアの存在
  • クラブと地域社会が一体となった応援文化
  • 「好き」という気持ちを原動力にした長期的な参加

これらは、スポーツイベントに限らず、地域のまちづくりやコミュニティづくりにもつながる考え方です。
浦和レッズのスチュワードは、単に「試合を支えるスタッフ」ではなく、クラブと地域をつなぐ架け橋として、今後のスポーツボランティアのモデルケースにもなっていくと考えられます。

ドコモと浦和レッズの連携――「推しJクラブ応援」の新しいかたち

一方で、浦和レッズを取り巻くもうひとつの新しい動きが、NTTドコモと浦和レッズによる「推しJクラブ応援」に向けた取り組みです。
この施策は、ファン・サポーターの応援スタイルを、スタジアムの内外でさらに広げていくことを目的としています。

ドコモは、通信サービスやデジタル技術を活かしながら、地域に根ざしたクラブ応援を支える仕組みづくりを進めています。その一環として、浦和レッズとの連携を通じて、ファン・サポーターが日常生活のなかでもクラブを応援できるようなサービスやキャンペーンを展開していく構想が示されています。

具体的な施策の詳細は段階的に発表されていきますが、

  • スマートフォンやアプリを活用した応援体験
  • 地域店舗や商業施設と連携した企画
  • スタジアム観戦とオンラインをつなぐ仕掛け

といった「オンライン×オフライン」を組み合わせた応援のかたちが想定されています。

スタジアムの中から、街へ、日常へ――広がる「応援コミュニティ」

スチュワードの活動は、スタジアムという「場」におけるボランティア活動として発展してきました。一方、ドコモとの取り組みは、その「応援の輪」を街や日常生活へと広げていく試みだと言えます。

これからのクラブ応援は、

  • 試合の日にはスタジアムで声援を送り
  • 試合のない日も、アプリやサービスを通じてクラブや地域に貢献し
  • ボランティアやイベント参加を通じて顔の見えるつながりを育む

というように、多層的なコミュニティとして広がっていく可能性があります。

浦和レッズは、スチュワードという草の根のボランティアの力と、ドコモとの連携によるデジタル技術を活かした応援という、異なる2つのアプローチを同時に進めることで、「クラブと地域が共に成長する仕組み」を模索しているとも言えるでしょう。

30年の歩みを礎に、次の世代へ伝えていくもの

浦和レッズ・スチュワードの30周年記念イベントは、これまでの歴史を振り返ると同時に、「この活動を次の世代へどうつないでいくか」を考えるきっかけにもなりました。

長年活動を続けてきたスチュワードの背中を見て、「自分もクラブを支える一員になりたい」と思う若い世代が増えていくことは、クラブにとっても大きな財産になります。
また、ドコモとの新たな取り組みを通じて、サッカーをきっかけに地域の人たちがつながり、日常生活の中でも「浦和レッズを応援している」という実感を持てるようになれば、クラブの存在意義はさらに深まっていくはずです。

スチュワード活動が築いてきた「支える喜び」と、ドコモとの連携が目指す「広がる応援」
この2つが合わさることで、浦和レッズはこれからも、単なるサッカークラブを超えた「地域の誇り」として、多くの人々に愛され続けていくことでしょう。

参考元