“史上最強の研修生”オチルサイハン、異例の横綱しこ名「旭富士」を継承しデビュー
モンゴル出身の新星・オチルサイハンとは?
オチルサイハンは、モンゴル・ウランバートル出身で23歳の新弟子です。彼は2018年春に来日し、神奈川県の旭丘高校に相撲留学として入学したのが日本での第一歩でした。在学中、国民体育大会団体戦でベスト8、卒業後には伊勢ケ浜部屋へ入門という輝かしい経歴を持ちます。
日本相撲協会の「外国出身力士は1部屋1人まで」という規定のため、伊勢ケ浜部屋での約4年半もの研修生活を送ることとなりました。その中で、彼は磨き抜かれた実力を身につけ、すでに稽古場ではトップ力士たちと互角に渡り合う実力を見せてきました。
「旭富士」のしこ名継承—異例の大抜擢
オチルサイハンのデビューで大きな注目を集めているのが、横綱経験者のしこ名「旭富士」を受け継いだ点です。通常、横綱や大関のしこ名は昇進時など節目で襲名されることが多く、デビュー時からこのような歴史的名跡を使うケースは極めて稀です。
この異例の慣例破りについて、師匠である伊勢ケ浜親方(元横綱・照ノ富士)は「名前に負けないように頑張ってほしい」と強い期待を寄せています。偉大な先代(第63代横綱・旭富士)の意思を継ぐことで、部屋や母校の思い、そして相撲界全体からの期待も背負うことになりました。
四年半の苦労と鍛錬、いよいよ初土俵へ
長い研修期間を経て、オチルサイハンは2025年9月の新弟子検査に合格し、待ちに待ったデビューが決定。ちょうど11日に始まる九州場所の前相撲で初土俵を踏みます。
- 前相撲は本場所3日目(今回は11日9時25分)から始まり、序ノ口の前に行われます。
- 新弟子は3勝した順に抜けていき、抜けた順が翌場所の番付順になります。
- 本場所8日目、新序出世披露で晴れ舞台に立つ予定です。
この時点で「旭富士」を名乗ることは、オチルサイハンの才能と覚悟の表れ。部屋の一番稽古熱心だった点などが高く評価されています。師匠や、先代旭富士の宮城野親方(元伊勢ケ浜親方)も「一番強くなったから」「横綱になる可能性もある」と、今後の飛躍に太鼓判を押しています。
オチルサイハンにまつわる人物と背景
オチルサイハンは旭丘高校2年時に国民体育大会、3年時に全国高校選手権にも出場した経験を持っています。現在は身長185cm、体重150kgという恵まれた体格を生かし、更なる高みを目指します。
また、叔母はレスリング女子76kg級で五輪3大会に出場したブルマー・オチルバトというアスリート一族。家系にもスポーツの素質が根付いていることが分かります。
しこ名「旭富士」が意味するものとは?
「旭富士」というしこ名は単なる名跡ではありません。部屋や母校、そして相撲界全体の希望や伝統を背負う象徴でもあります。
- 旭丘高校の「旭」と、部屋を率いた伝説的横綱「旭富士」の意思の継承
- 過去、大関や横綱での襲名(「若乃花」や「琴櫻」など)は例がありましたが、デビュー時からは極めて珍しい
- 宮城野親方も「止め名ではない」とし、新たな伝説誕生の瞬間と位置付けている
相撲界から見たオチルサイハンのインパクト
伊勢ケ浜部屋には現在関取が6人も在籍しており、その中でも「最強の新弟子」「最終兵器」とまで呼ばれるほど、オチルサイハンは高い評価を受けています。
元横綱の名を初土俵で名乗る重圧とそれに見合うだけの実力。今後の大相撲界における中心人物となる可能性が高く、将来性に期待する声は日々高まるばかりです。偉大なしこ名継承の背景には、確かな実力と誰よりも熱心な稽古、そして支えてくれる師匠や部屋の仲間たちの思いがあります。
今後の展望とオチルサイハンの可能性
オチルサイハンのデビューは、ひとつの終わりであり同時に新たな物語の始まりでもあります。これまで偉大な力士を多く輩出してきた伊勢ケ浜部屋において、「旭富士」のしこ名にふさわしい土俵人生を歩むことが期待されています。
伊勢ケ浜親方は「名前に負けないように、でもプレッシャーを感じ過ぎず自分の相撲を貫いてほしい」と温かい言葉を送りました。相撲ファンからは「前代未聞のデビュー」として注目を集め、その行く末を見守る声が相次いでいます。
- 本場所での取り口や精神面の成長
- 先代・旭富士や照ノ富士らが築いた伝統の継承と発展
- 外国人力士としての新しい道
今、まさに歴史のうねりの中で、新たな“旭富士”がその第一歩を踏み出します。彼のこれからを応援し、温かく見守っていきたいですね。



