2026年WBCの放映権をめぐる最新動向:世界で進む「配信シフト」とは
2026年に開催される第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC 2026)をめぐり、世界各国で放映権や配信プラットフォームの動きが大きな話題になっています。特に、インターネット配信サービスによる独占配信が進んでいることは、野球ファンにとって視聴環境が大きく変わることを意味します。
本記事では、その中でも注目を集めている2026年WBCの配信・放送をめぐる動きを、できるだけわかりやすく整理してお伝えします。
2026年WBCとは?大会の基本情報
まずは、2026年に開催されるWBCの基本的な情報を簡単におさらいしておきましょう。
- 大会名:World Baseball Classic(ワールド・ベースボール・クラシック)
- 次回大会:第6回大会(2026年)
- 主催:MLB(メジャーリーグ・ベースボール)とMLB選手会が設立したWBCI(World Baseball Classic Inc.)
- 開催時期:2026年3月(第6回大会として実施予定)
- 参加チーム:全20チームが出場予定
- 第1ラウンド開催都市:東京、サンフアン(プエルトリコ)、ヒューストン、マイアミの4都市
- 日本代表:前回2023年大会のディフェンディングチャンピオンとして参戦
WBCは、各国・地域の代表チームが国旗を背負って戦う、野球版「ワールドカップ」ともいえる大会です。前回2023年大会では、日本代表が優勝し、大谷翔平選手らの活躍もあって日本国内の視聴率・注目度は非常に高いものとなりました。
世界的な流れ:インターネット配信サービスがWBCを独占
2026年大会を前にして話題になっているのは、放映権が従来の地上波テレビからインターネット配信サービスへと移りつつあるという点です。
とくに、韓国では「TVING(ティービング)」が2026年WBCの全試合を独占配信すると発表され、韓国国内で大きな関心を集めています。TVINGはCJ ENMグループが運営する動画配信サービスで、ドラマやバラエティだけでなく、スポーツのライブ配信にも力を入れているサービスです。
さらに、同グループのCJ ENMが「2026年ワールド・ベースボール・クラシックの放映権を獲得した」と報じられており、これにより韓国国内では、WBCに関する権利をCJ ENMグループが一括して握る構図となっています。ニュース内容としては、
- 「TVINGがWBC 2026全試合を独占配信」
- 「CJ ENMが2026年WBCの放映権を獲得」
という2つがセットで伝えられています。CJ ENMが権利を取得し、その配信プラットフォームとしてTVINGが位置づけられている形と考えられます。
同様の流れは日本国内でも見られます。日本では2025年8月、Netflix(ネットフリックス)が2026年WBCの日本向け独占配信権を取得したことが公式に発表されました。
Netflixは、WBCの主催団体であるWBCIと独占メディアライツ・パートナーシップを締結し、
- 2026年3月に開催される第6回WBCの全47試合
- 日本国内での独占配信(ライブおよびオンデマンド)
を行うことを明らかにしています。Netflixにとって、日本でのライブスポーツ配信はこれが初の試みとなります。
各国で進む「地上波から配信へ」の変化
2026年WBCをめぐる動きを見ると、共通しているのは、
- これまで地上波テレビが担ってきた大型スポーツイベントの中継が、配信サービスへ移行しているという点
です。
日本では、過去のWBCではテレビ朝日系列やTBS系列などの民放テレビ局が日本戦を中心に生中継し、高視聴率を記録してきました。しかし、2026年大会については、
- 日本の地上波テレビ局による生中継は行われない見込み
と報じられています。その背景として、
- WBCIが設定した放映権料の大幅な値上げ
- 推定150億円規模ともされる高額な独占放送権料
- 広告収入の減少などにより、地上波テレビ局では採算が取りづらい構造的な問題
が挙げられています。
東京ラウンドの興行権を持つ読売新聞社は、
「WBCIが当社を通さずに直接Netflixに対し、東京プールを含む全試合について、日本国内での放送・配信権を付与した」
と説明しています。これまでのように、読売新聞社を通じて地上波各局に放映権が分配される形ではなく、主催者であるWBCIが直接グローバル配信事業者と契約する形に変わったことになります。
この構図は、日本だけでなく韓国など他の国・地域にも当てはまると考えられ、結果として「有料配信を観られる人だけがリアルタイムでWBCを楽しめる構造」になりつつあります。
LAドジャース・大谷翔平選手のWBC出場と視聴機会
ニュース内容の中には、
「LA Dodgers’ Shohei Ohtani, who plays in the 2026 World Baseball Classic (WBC), can also be seen as T..」
という一文も含まれています。これは、ロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平選手と、2026年WBCの視聴環境を関連づける内容です。
大谷翔平選手は、前回2023年WBCで大会MVP級の活躍を見せ、日本代表の優勝に大きく貢献しました。そのため、2026年大会でも大谷選手の動向は世界中の野球ファンから注目されています。
今回のニュースの文脈では、
- 2026年WBCがTVING(韓国)やNetflix(日本)といった配信サービスで視聴可能になる
- もし大谷翔平選手がWBCに出場すれば、そのプレーもこれらのサービスを通じて観戦できる
といった意味合いで言及されていると解釈できます。
ただし、「出場するかどうか」や「起用法」など、選手個人の将来の動向は現時点では確定していません。本記事では、ニュースとしてすでに報じられている事実のみを扱い、将来予想や仮定による記述は避けています。
WBC 2026を視聴するには?日本と韓国のケース
ここでは、ニュースで示されている範囲の中から、視聴方法のポイントを整理します。
日本国内での視聴方法
- 配信プラットフォーム:Netflix(ネットフリックス)
- 配信内容:全47試合をライブ配信および見逃し配信(オンデマンド)
- 地上波放送:2026年大会については生中継が行われない見込み
Netflixは日本国内での独占配信権を持つため、日本の野球ファンがリアルタイムでWBCを観戦するには、基本的にNetflixへの加入が必要となります。
韓国国内での視聴方法
- 配信プラットフォーム:TVING(ティービング)
- 放映権保有:CJ ENMが2026年WBCの放映権を獲得
- 配信内容:TVINGがWBC 2026の全試合を独占配信する形でサービス提供
韓国でも、地上波よりも配信サービス中心の視聴環境へと移行している構図がうかがえます。
なぜ配信サービスがWBC放映権を取るのか
今回の一連の動きの背景には、スポーツビジネスとメディア環境の変化があります。
- 1. 放映権料の高騰
WBCIが提示した放映権料は、従来よりも大幅に引き上げられたとされています。日本向けの独占放送権料は推定150億円規模とも報じられており、広告収入が伸び悩む地上波テレビ局にとっては、採算を合わせることが難しいレベルです。
- 2. サブスクリプションモデルとの相性
NetflixやTVINGのような配信サービスは、月額課金(サブスクリプション)モデルを採用しており、
- 新規加入者の獲得
- 既存会員の継続・満足度向上
に大きく貢献するコンテンツとして、WBCのような大型スポーツイベントを位置づけています。WBCの独占配信は、配信サービスにとって投資回収の見込みが立てやすいコンテンツといえます。
- 3. グローバル戦略の一環
Netflixは、「デジタル配信プラットフォームを通じて、野球ファンと世界を結びつける革新的な一歩」とコメントしており、スポーツ配信への本格参入を通じて、グローバル市場における競争力を高めようとしています。
同様に、CJ ENMやTVINGも、自社グループのコンテンツ力を強化するうえで、WBCのような国際大会を重要なピースと位置づけていると考えられます。
視聴者にとってのメリットと課題
2026年WBCの放映権をめぐる今回のニュースは、視聴者の立場から見ると、次のようなメリットと課題の両面があります。
メリット
- インターネット環境があれば場所を問わず視聴できる
スマートフォンやタブレット、PC、スマートTVなど、さまざまなデバイスでWBCの試合を視聴できるようになります。 - 見逃し配信で時間に縛られず観戦可能
ライブで観られない試合も、好きな時間にオンデマンドで楽しめる点は、配信サービスならではの利点です。 - 全試合を一つのサービスで網羅
予選から決勝まで、同じプラットフォームで全47試合を追えるのは、ファンにとってわかりやすい環境です。
課題
- 有料サービスへの加入が必須
地上波のように「テレビさえあれば無料で観られる」という形ではなくなり、月額料金などのコスト負担が生じます。 - 高齢者やインターネット環境が整っていない層への配慮
配信サービスの利用に不慣れな人にとっては、視聴ハードルが高くなる可能性があります。 - 「ユニバーサル・アクセス」の観点からの議論
国民的イベントともいえる大会が、誰もが無料で視聴できるわけではなくなることについては、法律・政策の観点からも議論が起きています。
今後の注目ポイント
2026年WBCをめぐる放映権・配信の動きは、今後の国際スポーツイベント全体のあり方を占う試金石ともいえます。
- WBC後、視聴者の反応や加入者の動きがどうなるのか
- 次回大会(2030年以降)でも同様の配信モデルが継続されるのか
- 地上波テレビと配信サービスの役割分担がどのように変化していくのか
といった点は、今後も注目されるテーマです。
いずれにしても、「WBC 2026は、地上波ではなく配信サービスで観る大会になる」という方向性は、日本や韓国を含む各国で共通した大きな流れとして定着しつつあります。野球ファンとしては、
- 自分が住む国・地域でどのサービスが放映権を持っているのか
- そのサービスの料金や視聴方法はどうなっているのか
といった情報を早めに確認し、2026年3月の開幕に備えておくことが大切になりそうです。



