ボートレース大村「第14回クイーンズクライマックス」開幕 平高奈菜が“打倒・守屋美穂”を宣言
ボートレース大村で開催中のPG1「第14回クイーンズクライマックス(QC)」とG3クイーンズクライマックスシリーズが、いよいよクライマックスへ向けて熱気を増しています。なかでも注目を集めているのが、トライアル1回戦11Rで激突する守屋美穂と平高奈菜の対決、そして大けがから復活して今大会に臨んでいる浜田亜理沙です。
ここでは、ボートレースファンはもちろん、最近ボートレースに興味を持ち始めた方にもわかりやすいように、「第14回クイーンズクライマックス」の概要や見どころ、主要選手たちのコメントや背景をていねいに解説していきます。
クイーンズクライマックスとは?女性レーサーたちの頂上決戦
クイーンズクライマックス(QC)は、女子ボートレーサーたちの年間総決算ともいえるビッグタイトルです。その年の活躍度や獲得賞金などの条件を満たしたトップクラスの女子レーサーだけが出場できる、まさに「女王決定戦」といえる大会です。
2025年は第14回大会となり、開催地はナイターレースでおなじみのボートレース大村。大村はインコースが強い水面としても知られ、スタート力やターン技術に加え、レース運びの巧さがより問われる場となっています。
本大会は大きく分けて以下の2つで構成されています。
- PG1クイーンズクライマックス本体(トライアル戦&優勝戦)
- G3クイーンズクライマックスシリーズ戦(本体出場を逃した選手らによるシリーズ競走)
ファンは、トップ級選手が集う本体と、実力派がしのぎを削るシリーズ戦の両方を楽しむことができ、さらにナイターならではの雰囲気も相まって、年末を彩る一大イベントとなっています。
トライアル11Rに注目集まる 1号艇・守屋美穂 vs 2号艇・平高奈菜
なかでもファンの視線を一身に集めているのが、トライアル1回戦11Rです。このレースには、以下の6選手が出場します。
- 1号艇:守屋美穂(岡山)
- 2号艇:平高奈菜(香川)
- 3号艇:川野芽唯(福岡)
- 4号艇:西橋奈未(福井)
- 5号艇:平山智加(香川)
- 6号艇:小野生奈(福岡)
大村公式サイトの出走表・コメントによると、1号艇の守屋美穂は、記者評価5点と高評価で、担当モーター64号機は出足に「◎」が入るなど、総合的に好仕上がり。 守屋自身も、他艇との足合わせで「分は悪かったが、付いてはいける感じ」と手応えをつかんでおり、インからの逃げが強く意識されています。
一方で、2号艇の平高奈菜は23号機を駆る形で、記者評価は4点。モーター評価は出足・伸び足・回り足ともに「○」と、バランス型の印象です。 スポーツ紙などでは、「エンジンは下降気味」とされつつも、「エンジンが悪い感じはしない」「握り込みはバイオ燃料っぽい感じ」とコメントしており、細かな調整でレースまでにどこまで仕上げてくるかがカギとなっています。
予想としては、地元でのイン戦連勝など実績十分の守屋美穂が「本命視」され、「守屋が逃げてリズムをつかむ」といった見方が多くなっています。記者の前日予想でもイン逃げ本命度80%と高く、イン優位の大村水面らしい評価になっています。
平高奈菜、「見ないでください」と笑いを誘いつつも打倒宣言
そんななかで話題を呼んだのが、11R出場メンバーを対象に行われた公開インタビューでの平高奈菜の一言です。
日刊スポーツの写真ニュースによると、平高は、1号艇守屋の絶好枠に注目が集まる流れの中で、「見ないでくださいて言ってみましょう」と、独特の切り返しで笑いを誘いながらも、「打倒・守屋美穂」を誓う姿勢を見せました。
普段からトーク力にも定評のある平高らしい、柔らかい雰囲気のコメントではありますが、その裏側には、「イン最強」ともいえる守屋にあえて挑む気持ちの強さがうかがえます。2コースからどこまでプレッシャーをかけ、スタートで先手を取れるかが、レースの大きな焦点となりそうです。
特訓の様子を追ったレポートでは、23号機の評価自体は下げ気味ながらも、平高の起こしからの行き足は軽快で、「下馬評『C』とは思えない見え方」との声も上がっており、舟券的にも侮れない存在として注目されています。
モーター・足色の評価 守屋が安定感、平高は“隠れ好気配”も
モーター評価をあらためて整理すると、以下のような構図が見えてきます。
- 守屋美穂(64号機):出足◎、伸び○、回り足○。イン逃げ本命視されるほどの安定感。
- 平高奈菜(23号機):出足・伸び・回り足はいずれも○。下馬評はやや控えめだが、特訓ではスリット付近の行き足が軽快との評価。
- 川野芽唯(74号機):出足○、回り足◎でターン回りに強み。
専門紙では、「平高奈菜は下降中のエンジンで、先に攻める川野芽唯が相手」といった見立てがあり、展開としては3号艇・川野が先にまくり気味に攻め、その外を2コースの平高が差す、あるいはまくり差しを狙う形も考えられます。
また、スリット練習の分析では、平高が早めの起こしからスリットで突出する場面もあったとされ、スタート勘というよりも「起こしからの加速感」を重視して調整を進めている様子も伝えられています。 こうした姿勢は、「打倒・守屋」を口にするだけでなく、実戦面でもインを崩しに行く準備を着実に進めているといえるでしょう。
第14回クイーンズクライマックスの出場選手と大会構成
ボートレース大村の特設サイトでは、「PG1第14回クイーンズクライマックス」の出場選手や番組構成が詳しく紹介されています。
トライアル戦には、年間を通じて活躍してきた女子レーサーたちが名を連ね、遠藤エミ、渡邉優美、鎌倉涼、そして今回話題の守屋美穂、平高奈菜など、ファンにはおなじみの実力者がズラリと並んでいます。
一方、G3クイーンズクライマックスシリーズ戦には、本体に惜しくも届かなかった選手を中心に、多くの実力派レーサーが参戦し、こちらもハイレベルな攻防が連日繰り広げられています。
シリーズ戦は、賞金は本体PG1より下がるものの、来季に向けた勢いづくりや、自身の課題克服の場としても重要な位置づけとなっており、選手たちのモチベーションは非常に高いのが特徴です。
大けがからの復活 浜田亜理沙がクイーンズクライマックスに出場
今回のクイーンズクライマックスで、もう一つ大きな話題となっているのが、浜田亜理沙の復帰と出場です。
報道によると、浜田は過去に大きなけがを負い、長期にわたる療養とリハビリを余儀なくされましたが、その苦難の時期を乗り越えて、今大会の舞台に帰ってきました。支えとなったのは、多くの仲間や家族、そしてファンの存在でしたが、とくに「遠藤エミ姉妹に感謝」という言葉が伝えられています。
ここで言う「姉妹」は、実の姉妹という意味ではなく、同じ女子レーサーとして、時に家族のように励まし合ってきた間柄を指す表現として紹介されることが多く、遠藤エミをはじめとした周囲の選手たちの支えが、浜田の心の支柱になっていたことがわかります。
クイーンズクライマックスという晴れ舞台に立つまでには、再びボートに乗ること自体が怖くなるような時期もあったとされています。それでも諦めず、やっとたどり着いたこの大舞台。レースごとの成績だけでなく、「スタートラインに帰ってこられた」という事実そのものが、多くのファンの胸を打っています。
遠藤エミの存在感 トライアルでも“パワー全開”のコメント
今大会で存在感を放っているもう一人の選手が、遠藤エミです。
スポーツニッポンの報道では、トライアル12Rに臨む遠藤が「パワーを感じる」と、モーターの仕上がりに手応えを口にしており、初戦から全開で飛ばしていく姿勢を強調していました。
遠藤はこれまでも数々のビッグタイトルを争ってきたトップレーサーであり、その経験値と勝負強さは女子レーサーの中でも屈指のものがあります。特に、大きな舞台での一発に強いことから、ファンからの信頼も厚い選手です。
浜田亜理沙が感謝の言葉を送る相手として名前が挙がることからもわかるように、遠藤は単なるライバルというだけでなく、多くの後輩レーサーたちから「憧れ」の対象、そして精神的な支えとなる存在でもあります。
女子ボートレースが見せる「強さ」と「優しさ」
今回のクイーンズクライマックスを象徴するトピックとして、「打倒・守屋美穂」を笑いを交えながら宣言する平高奈菜、大けがからの復活を遂げた浜田亜理沙、そして支え合う女子レーサーたちの姿が挙げられます。
レースの世界は結果がすべての厳しい勝負の場ですが、女子ボートレースの世界では、そうした厳しさの中にも、仲間を思いやる温かさや、つながりの深さが色濃く現れています。遠藤エミをはじめ、同世代や後輩どうしが励まし合いながら高め合っていく様子は、多くのファンにとっても忘れがたいドラマとなっています。
一方で、水面に出れば、そこは一切の遠慮が許されない勝負の世界。インから逃げたい守屋、2コースからプレッシャーをかけたい平高、復帰戦でも結果を残したい浜田──それぞれが自分の目標と誇りをかけてターンマークに向かっていきます。
これからのレースの見どころ
今後も、クイーンズクライマックス本体のトライアル戦や優勝戦に向けて、枠番の入れ替わりやモーターの仕上がり具合、そして選手たちのコメントから目が離せません。
- 守屋美穂がイン戦の強さを生かして初制覇に近づくのか
- 平高奈菜が「見ないでください」と笑わせたトークの裏に隠した勝負師の顔を、レースで見せられるか
- 浜田亜理沙が、復帰後の大舞台でどのような走りを見せるのか
- 遠藤エミをはじめとしたトップレーサーたちが、シリーズ終盤でどのような意地を見せるのか
ボートレース大村の水面では、単なる勝ち負けを超えた、人間ドラマと技術のせめぎ合いが続いていきます。年末のひととき、ナイターの光に照らされた女子ボートレーサーたちの熱い走りに注目してみてはいかがでしょうか。


