ブラジル人記者が語る日本代表の「11月シリーズ」――サッカー日本代表に見る新たな可能性と課題
サッカー日本代表、11月連勝の裏側に迫る
2025年11月、日本代表は連勝を飾り、国内外のサッカーファンの注目を集めました。しかし、その連勝の価値や成果については、日本国内の報道だけでなく、海外からの視点にも耳を傾けるべきだという意見が強まっています。特にブラジル人記者からは、日本のテレビではなかなか語られない本音が飛び出しました。「収穫はサノ」「ボリビアは平地だと南米最弱なのに」といった指摘や、日本代表の伝統的な課題について冷静に斬り込んでいます。
ボリビア戦をめぐる厳しい評価――「相手に合わせてしまう」伝統
ブラジル人記者は、今回の連勝を「相手が強いと良いプレーをするのに、あまり強くない相手とも歩調を合わせてしまう。もはやこれは、サムライブルーの伝統だね」と指摘します。実際のところ、ボリビアは南米の中でも平地で戦う場合、「最弱」とされており、格上の相手に本来の力を発揮する一方で、格下との試合では精彩を欠く場面が目立ちました。
試合展開と選手たちのパフォーマンス
- 堂安律:右ウイングバックで攻守に貢献し、2点目を決めたプレーは特に評価されています。鈴木のパスカットから中村敬斗、上田綺世とパスを繋ぎ、久保建英からパスを受けて堂安がニアサイドへ蹴り込むという連携プレーは、ワールドカップ出場国レベルの説得力を感じさせました。
- 久保建英:右MFとして攻撃の起点となり、堂安への決定的なパスなど、差を生み出す力を発揮。特にボール奪取能力はキャプテン遠藤航にも劣らないと絶賛されました。
- 佐野海舟:ボランチとして守備力と安定感を見せ、試合ごとに役割が大きくなっています。海外の記者からも「純粋なプレーでは遠藤航と並ぶ」と高評価を受けています。
- 鈴木淳之介:左CBとしてパスカットから攻撃につなげ、堂安の得点にも大きく貢献。試合を通じてチーム内の序列を一気に上げました。
- 中村敬斗:途中出場から右サイドで流れを変え、町野修斗へのクロスや自ら得点をマーク。低迷から脱した選手としてブラジル人記者も高く評価しています。
キャプテン遠藤航とボランチの「序列争い」
ここでクローズアップされているのが、ボランチのポジション争いです。キャプテンの遠藤航は安定した守備力で知られていますが、若手の佐野海舟もボール奪取・展開力において評価を高めています。さらに、「純粋なプレー」という観点からも佐野海舟と遠藤航のどちらを起用すべきか、専門家・海外記者の間で議論が活発化しました。
低迷からの復活――「ケイト」と「ダイゼン」
「ケイト(中村敬斗)とダイゼン(町野修斗)は低迷を脱した」との声も上がりました。森保一監督は後半21分に上田綺世、中村敬斗、町野修斗を投入し、流れを一気に変えました。27分には中村の右からのクロスを町野修斗が蹴り込み、33分には上田の左からのパスを受けた中村が追加点を決める活躍を見せました。これにより、若手選手の序列にも大きな変化が生まれています。
日本代表の「収穫」――新世代の可能性
- 試合を通して若手の成長が明確に現れました。特に久保建英、佐野海舟、「違いをつくる選手」としてブラジル人記者からも高く評価されています。
- チーム内競争が活発化し、ポジション争いが試合の緊張感とレベル向上につながっています。
- 監督・選手ともに「本大会までケガしないで欲しい」という願いが強く、戦術、体力両面での強化が進められています。
元日本代表・中村憲剛からの視点
2025年10月のブラジル戦をはじめ、現役時代から指摘していた「自分の良さをどうチームの中で発揮するか」という問いは、今の代表にもそのまま受け継がれています。中村憲剛氏は、現日本代表の選手層の厚さや流動的な序列争いを肯定的に捉え、特に中村敬斗や佐野海舟といった新戦力に期待を寄せています。
チーム作りの今後――課題と展望
- 格下相手への対応力:相手によってプレーの強度が波打つ傾向は依然として課題です。実力差がある相手にも自分たちのリズムとスタイルを主導できるかが今後の鍵となります。
- ポジション争い:チーム内の序列や役割が流動的になってきており、公式戦を通じて実力主義が徹底されつつあります。選手たちの成長とその競争がチーム力向上につながっています。
- ケガ対策:本大会に向けて、選手のコンディション維持とリカバリー体制が一層重要視されています。
まとめ――日本代表に求められる次の一歩
2025年11月の連勝は、必ずしも手放しで褒め称えるものではありません。あくまで収穫と課題、成長と停滞が交錯する「実りある実験の場」であったと言えるでしょう。日本サッカーは今、新世代の台頭とともに、真の強豪国への階段を一歩一歩登っています。冷静な海外視点も取り入れながら、「勝ち方」と「戦い方」、両面でさらなる進化が期待されます。森保一監督、そして躍動する若手たち――中村憲剛氏の提言と共に、サムライブルーの今後に注目していきたいものです。




