ミラノ・コルティナ冬季オリンピック、イタリアで聖火リレーがスタート

2026年冬季オリンピック「ミラノ・コルティナ冬季競技大会」の開幕を2カ月後に控え、イタリア国内での聖火リレーが首都ローマから始まりました。イタリア全土を巡る聖火の旅が本格的に動き出し、冬の祭典に向けて機運が一気に高まっています。

ローマで行われた出発セレモニー

イタリア国内の聖火リレーは、ローマ中心部にある競技場をスタート地点として行われました。歴史と伝統のあるこの地からのスタートは、オリンピックの精神とイタリアのスポーツ史を象徴するものとなっています。

首都ローマでのセレモニーには、多くの市民や関係者が集まり、ランナーがトーチを掲げて走り出すと、大きな歓声と拍手が沸き起こりました。1960年ローマ五輪でも聖火リレーが行われたこの街は、再び世界的なスポーツイベントの舞台として注目を浴びています。

ギリシャ・オリンピアで採火された聖火

今回の聖火は、オリンピック発祥の地として知られるギリシャ・オリンピアで採火され、その後イタリアへと運ばれました。オリンピックの聖火は、古代オリンピアの太陽光を利用した伝統的な方法で点火されることで知られ、近代オリンピックでもこの儀式が継承されています。

2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪の聖火リレーも、まずギリシャ国内でのリレーが行われ、その後イタリアへとバトンが引き継がれました。オリンピアで灯された炎が、国境を越えてイタリアに到着し、ローマから再び新たな旅路に出た形です。

イタリア全土を巡る約1万2000キロの旅

イタリア国内の聖火リレーは、ローマを出発し、イタリア全土を巡る約1万2000キロのルートを走る計画です。ルートには、各地の名所や歴史的な街が組み込まれており、国を挙げてオリンピックを盛り上げるものとなっています。

報道によると、聖火は次のような場所を訪れる予定です。

  • ルネサンス文化の中心地フィレンツェ
  • 世界的に有名なピサの斜塔がある中部ピサ
  • 水の都として知られるベネチアの運河

こうした観光名所を巡ることで、オリンピックとともにイタリアの魅力も世界に発信する狙いがあります。また、2026年2月6日の開会式が行われるミラノをはじめ、競技会場が置かれる北イタリア各地もリレーのルートに含まれています。

約1万人がトーチをつなぐ聖火リレー

イタリア国内の聖火リレーには、約1万人のランナーが参加する予定です。スポーツ選手だけでなく、市民ランナーや地域にゆかりのある人々など、多様な背景を持つ人たちがトーチを手に走ります。

聖火リレーは、単に火を運ぶだけでなく、「平和」「友好」「希望」といったオリンピックが掲げる理念を各地に届ける役割も担っています。沿道には多くの市民が集まり、ランナーに声援を送る様子が報じられており、国民の期待が高まっていることがうかがえます。

環境に配慮した再利用可能なトーチ

今回のミラノ・コルティナ冬季五輪の聖火リレーでは、環境への配慮も大きな特徴となっています。使用されるトーチは、1本で最大10回まで再利用できる設計となっており、資源の無駄を減らす試みが行われています。

近年のオリンピックでは、持続可能性や環境負荷の低減が重要なテーマとなっています。再利用可能なトーチの導入は、その象徴的な取り組みのひとつといえます。デザイン面でも、イタリアらしいスタイリッシュさと機能性を両立させたトーチが採用されていると伝えられています。

開会式はミラノ、聖火はサン・シーロへ

2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピックは、2026年2月6日に開幕し、開会式はイタリア北部の大都市ミラノで行われる予定です。

聖火リレーはこの開会式の会場まで続き、ミラノのサン・シーロで行われる点火式をもってゴールを迎えます。サン・シーロはサッカーの聖地としても知られる大スタジアムであり、その舞台でオリンピックの聖火台に炎が灯される瞬間は、世界中の注目を集めることでしょう。

なお、ミラノ・コルティナ大会は、ミラノとドロミーティ山塊に位置するコルティナ・ダンペッツォの2地域を中心とした「分散開催」の冬季五輪です。競技はアルプスの雄大な自然を舞台に行われ、伝統あるリゾート地と大都市が協力して大会を支えます。

ギリシャからイタリアへつながる長いリレー

今回の聖火リレーは、ギリシャとイタリアの両国をまたぐ長い旅路でもあります。聖火は2025年11月26日にギリシャのオリンピアで採火され、ギリシャ国内の複数の都市や地域を巡ったあと、イタリアへと渡りました。

ギリシャ国内のリレーでは、オリンピアから始まり、パトラやテッサロニキ、アクロポリスなど、古代遺跡や歴史的都市を通過しました。その後、聖火はイタリアに引き継がれ、今回ローマでのスタートを迎えた形です。

このように、聖火リレーは単に開催国だけのイベントではなく、オリンピックの原点と現代を結びつける象徴的な行事としての意味も持っています。

ミラノ・コルティナ大会を前に高まる期待

ミラノ・コルティナ冬季五輪は、イタリアで開催される久しぶりの大規模な冬季スポーツイベントです。コルティナ・ダンペッツォでは、1956年にも冬季オリンピックが行われており、今回の大会は70年ぶりの「里帰り」という側面もあります。

イタリア国内では、スキーやスノーボード、フィギュアスケートなどをはじめとする冬季競技への関心が高まっており、聖火リレーはそうした期待をさらに盛り上げる役割を果たしています。

また、聖火が通過する各地では、地元の文化や特産品をPRするイベントなども予定されており、オリンピックをきっかけとした地域活性化にもつながると見られています。観光業への波及効果も期待されており、特にフィレンツェやベネチアといった世界的観光都市では、多くの来訪者が聖火リレーを見守ることになりそうです。

日本からの注目とオリンピックの意義

日本でも、冬季オリンピックはフィギュアスケートやスキージャンプなどで多くのメダリストを輩出してきたことから、非常に人気の高い大会です。ミラノ・コルティナ大会でも、日本代表選手の活躍に期待が集まっています。

聖火リレーのスタートは、世界中の人々にとって「もうすぐオリンピックが始まる」という実感を与える節目の出来事です。特に今回は、環境配慮型のトーチを採用するなど、新しい時代のオリンピックのあり方を示す取り組みも行われています。

スポーツを通じて国境を越えた交流と理解を深めるというオリンピックの理念は、世界情勢が揺れ動く中で、今あらためてその重要性が見直されています。ローマから始まった聖火の光は、イタリア各地を巡りながら、多くの人々の心に希望の灯をともしていくことでしょう。

これから迎えるクライマックスへ

今後、聖火はイタリア国内を巡り、2026年2月6日の開会式当日、ミラノ・サン・シーロで聖火台に点火される予定です。その瞬間をもって、ミラノ・コルティナ冬季オリンピックが正式に幕を開けます。

ローマでのスタートは、まだ長い旅路の第一歩にすぎませんが、世界中の視線が徐々にイタリアへと集まりつつあることを象徴する出来事となりました。これから先、聖火がどのようなドラマと出会い、人々の心にどんな思い出を残していくのか、多くの期待が寄せられています。

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