「百年構想リーグ」とチケット販売が本格始動 Jリーグ新時代の観戦スタイルとは

日本サッカー界が大きな転換期を迎える中、「明治安田Jリーグ百年構想リーグ」に向けた各種チケット販売やファンクラブ向けの特典施策が次々と発表されています。
本記事では、J1・J2・J3をまたぐこの特別大会「百年構想リーグ」の概要とともに、レプリカユニフォームのファンクラブ限定価格販売法人向けシーズンパスポート、そしてJ2・J3および2026/2027シーズンのシーズンパス販売開始について、わかりやすく整理してご紹介します。

百年構想リーグとは? 2026年シーズン移行前の「特別大会」

Jリーグ百年構想リーグ」は、2026年2月から6月に開催される、Jリーグ公式の特別なリーグ戦です。Jリーグが秋春制となる2026-27シーズンへ移行するにあたり、その“つなぎ”となる位置づけで実施されます。
タイトルパートナーである明治安田生命保険との契約に基づき、大会名は「明治安田Jリーグ百年構想リーグ」とされています。

この大会は、2025シーズン終了時点でJリーグに所属する60クラブを対象に、「J1百年構想リーグ(20クラブ)」「J2・J3百年構想リーグ(40クラブ)」の2つに分けて行われます。
J1は20クラブを対象とした「明治安田J1百年構想リーグ」として実施され、J2とJ3の40クラブが参加する「明治安田J2・J3百年構想リーグ」も並行して開催されます。

百年構想リーグは、通常のJ1・J2・J3リーグ戦とは別枠の大会であり、この大会の結果による昇格・降格は発生しません。 2026-27シーズンの昇降格はあくまで2025シーズンの成績をもとに反映されることが明言されています。

大会方式:地域リーグラウンドとプレーオフラウンドの二段構え

百年構想リーグは、「地域リーグラウンド」「プレーオフラウンド」の二段階で構成されています。

  • J1百年構想リーグでは、20クラブが東西2グループに分かれ、それぞれ10クラブずつのグループでホーム&アウェイの2回総当たり(全18節)を戦います。
  • J2・J3百年構想リーグでは、40クラブが東西南北4グループに分かれ、こちらも地域性を重視した形で対戦が組まれます。
  • 地域リーグラウンド終了後、同順位同士が対戦するプレーオフラウンドで最終順位が決定します。

J1百年構想リーグでは、PK戦による完全決着方式が導入され、90分で決着しない場合は延長戦なしでPK戦を行う点も特徴です。 勝ち負けが必ずつくため、各試合の緊張感がより高まることが期待されています。

ACLエリート出場権と特別助成金という大きなインセンティブ

百年構想リーグは昇降格には影響しない一方で、クラブにとっては大きなインセンティブも用意されています。

  • J1百年構想リーグの優勝クラブには、AFCチャンピオンズリーグエリート2026/27の出場権が与えられます。
  • また、J1百年構想リーグでは、通常リーグと同様に勝点1ごとに特別助成金が支払われ、最大で1クラブあたり1億800万円を獲得できる可能性があります。
  • 大会全体として、賞金・特別助成金・配分金の総額は25.2億円にのぼるとされています。

こうした制度によって、昇降格に左右されないチャレンジ経営面でのメリットを両立させる狙いが見て取れます。若手選手の起用や新戦術の試行など、クラブが中長期的な視点でチームづくりを進めやすい環境とも言えるでしょう。

ニュース内容1:U18対象レプリカユニフォームのファンクラブ限定価格販売

まず注目したいのが、「明治安田J1百年構想リーグ レギュラーおよびシーズンチケット(U18)対象レプリカユニフォームのファンクラブ限定価格販売」に関するニュースです。
これは、J1百年構想リーグに向けて、若年層(U18)の観戦体験をより豊かにすることを目的とした施策といえます。

具体的には、レギュラー会員やシーズンチケット(U18)を保有するファンクラブ会員を対象に、百年構想リーグで着用されるレプリカユニフォームを特別価格で購入できるキャンペーンが実施されます。クラブによってデザインや価格設定は異なりますが、共通しているのは、ファンクラブ会員限定の優待であるという点です。

百年構想リーグでは、各クラブが大会専用の新デザインユニフォームを発表しており、サポーターにとっては「記念アイテム」としての価値も高いものになっています。 特にU18世代にとって、自分の名前や背番号が入ったユニフォームを着てスタジアムに足を運ぶことは、クラブに対する愛着や観戦意欲を高めるきっかけにもなるでしょう。

ニュース内容2:法人シーズンパスポートのご案内

次に、「明治安田J1百年構想リーグ 法人シーズンパスポート」についてです。これは、企業や団体向けに用意された法人専用のシーズンパスで、ビジネスシーンでの観戦活用を想定した商品です。

法人シーズンパスポートは、2026年2月から開幕する明治安田J1百年構想リーグのホームゲームを中心に、指定席や招待枠をセットにして提供するプランが一般的です。 クラブによって内容は異なりますが、たとえば以下のような利用シーンが想定されています。

  • 取引先や顧客を招待しての接待・ホスピタリティ
  • 社員やその家族への福利厚生としての観戦招待
  • 地域とのつながりを深めるためのCSR活動の一環

法人向けにまとめて席を確保することで、毎試合のチケット手配の手間を軽減しながら、安定した観戦機会を確保できるのが大きな利点です。また、クラブにとっても、法人顧客を通じて新たなファン層へのアプローチが期待できます。

Jリーグが地域密着を掲げる中で、企業がクラブを応援し、それを社員や取引先と共有する動きは、「クラブ・企業・地域」の三方よしにつながる取り組みとなりつつあります。百年構想リーグは、こうした新しい関係づくりを後押しする舞台にもなりそうです。

ニュース内容3:「明治安田J2・J3百年構想リーグ&2026/2027シーズン・シーズンパス」販売開始

三つめのニュースは、「明治安田J2・J3百年構想リーグ&2026/2027シーズン・シーズンパスの販売開始」です。
これは、J2・J3クラブのサポーター向けに、百年構想リーグと2026/27シーズンをまたぐ観戦パッケージが販売開始されたことを意味します。

J2・J3百年構想リーグは、J1と同様に特別大会として実施されますが、その後には2026-27の新シーズンが控えています。 そこで、クラブによっては

  • 百年構想リーグのホームゲームをカバーするシーズンパス
  • 続く2026/2027シーズンのリーグ戦のホームゲームを含めた通期シーズンパス
  • 百年構想リーグと新シーズンをセットにしたお得なパッケージ

といった形で、長期的にクラブを応援できるシーズンパス商品が展開されています。

J2・J3クラブにとって、百年構想リーグはJ1クラブ同様に、新たな対戦カードや地域ダービーが生まれる特別な機会です。 サポーターにとっても、J2・J3ならではの距離の近いスタジアム体験を、より長いスパンで楽しめるようになるでしょう。

シーズンシートの新しい売り方「パックチケット」

J1百年構想リーグに関しては、シーズンシートを「パックチケット」として販売するクラブも登場しています。 これは、申込時に席種と枚数だけを選択し、実際の座席位置はクラブ側で後日割り当てるという販売方式です。

従来のシーズンシートは、「毎試合同じ席に座れること」が大きな魅力でした。一方で、百年構想リーグでは開催期間が限定され、日程もタイトであるため、一般販売とシーズンシートの両立や、スタジアム運営の柔軟性がより重要になってきます。この「パックチケット」方式は、そうした事情を踏まえつつ、できるだけ多くのサポーターにお得な観戦機会を提供しようとする工夫といえます。

また、一部クラブでは、百年構想リーグ版シーズンチケットの購入者向けに、オリジナルカレンダーの抽選プレゼントなど、追加特典も用意されています。 百年構想リーグという特別な期間を「記憶に残るシーズン」として演出しようとする意図が感じられます。

百年構想リーグ専用ユニフォームとファンクラブ施策の広がり

百年構想リーグでは、多くのクラブが専用デザインのユニフォームを発表しており、デザインのこだわりやコンセプトを打ち出しています。 クラブカラーをベースにしながら、地域の象徴や歴史をモチーフにしたデザインなど、サポーターの“誇り”を表現したユニフォームが続々と登場しています。

これに合わせて、ファンクラブ向けには

  • レプリカユニフォームの会員限定価格販売
  • ネーム&ナンバー加工の期間限定受付
  • シーズンチケット購入者向けの先行販売特別デザインアイテム

といった施策も展開されています。特にU18世代向けの優待は、将来的なコアサポーターの育成という観点からも重要な役割を担っています。

サポーターにとっての「百年構想リーグ」の意味

百年構想リーグは、昇降格がない特別大会でありながら、ACLエリート出場権勝点に応じた特別助成金など、クラブにとってのモチベーションとなる要素が数多く盛り込まれています。 その一方で、サポーターにとっても、次のような魅力があります。

  • 地域色の強い組み合わせによるダービーマッチの増加
  • PK戦採用による「必ず勝敗がつく」試合展開
  • 若手選手や新戦力の積極的な起用が期待される特別期間

そして、今回のニュースで取り上げたレプリカユニフォームの会員限定価格販売法人向けシーズンパスJ2・J3および2026/27シーズンのシーズンパス販売開始といった動きは、いずれも「百年構想リーグを入り口に、より多くの人にスタジアムへ足を運んでもらう」ための取り組みと見ることができます。

Jリーグは、「百年構想」という言葉が示すとおり、100年先を見据えたリーグづくりを掲げてきました。 2026年からのシーズン移行と、その前段となる百年構想リーグは、そのビジョンを具体的な形にしていく重要なステップです。
今回の各種チケット販売やファンクラブ施策は、その中でサポーターや企業、地域をどのように巻き込んでいくかを示す、ひとつのわかりやすいメッセージと言えるでしょう。

参考元