【ボートレース住之江 SGグランプリシリーズ】毒島誠が優勝戦1号艇に 節イチの走りでビッグタイトル10冠へ王手

ボートレース住之江で開催中のSG第40回グランプリ/グランプリシリーズで、シリーズ優勝戦の1号艇を手にしたのは、昨年のグランプリ覇者・毒島誠(ぶすじま・まこと、群馬)です。
シリーズ準優勝戦10Rをインから危なげなく逃げ切り、最終日11Rのシリーズ優勝戦ポールポジションを獲得。「いろいろな経験ができた1年」を締めくくる舞台で、通算10回目のSGタイトルという大きな節目に挑みます。

SG第40回グランプリ/グランプリシリーズとは

ボートレース界の年末最大イベント「SG第40回グランプリ」は、ボートレース住之江を舞台に12月16日から21日まで開催されています。
賞金王決定戦にあたるグランプリ本体と並行して行われているのが「グランプリシリーズ」で、トライアルに進めなかった選手たちによるハイレベルなSGシリーズ戦です。

グランプリは年間獲得賞金上位選手による頂上決戦、そしてシリーズはその“裏番組”という位置づけですが、どちらもSGタイトルが懸かる大舞台。
ボートレース住之江のナイター水面で、連日白熱した攻防が繰り広げられています。

準優勝戦を貫禄のイン逃げ 毒島誠がシリーズ優勝戦1号艇

グランプリシリーズは大会5日目となる8~10Rで準優勝戦3個レースが行われ、最終日11Rのシリーズ優勝戦メンバーが出揃いました。
その中でひときわ存在感を放ったのが、昨年のグランプリ覇者・毒島誠です。

シリーズ準優勝戦10Rで1号艇を託された毒島は、スタートからしっかり踏み込んでイン速攻。
住之江の難水面をものともせず、危なげない逃げ切り劇を披露し、堂々と優勝戦1号艇をつかみ取りました。
これにより、シリーズ優勝戦11Rでは“王道のイン”から、ビッグタイトル奪取に挑むことになります。

「いろいろな経験ができた」波乱の2025年を語る毒島

2025年の毒島は、決して順風満帆な1年ではありませんでした。
春先には3月の尼崎、平和島でG1連続Vという圧巻の走りを見せながら、その後5、6月にフライングを犯し、90日間の出場停止という重いペナルティを経験しています。

さらに、その90日休みの影響から出走回数不足となり、来年1月からはA級ではなくB2級に降級することが決まっています。
トップレーサーとして第一線を走ってきた毒島にとって、B2降級は大きな転機ともいえる出来事です。

本人は今節に臨むにあたり、次のように振り返っています。

  • 「いろいろな経験ができた」
  • 「人生でこんなに落ちることはないと思う」
  • 「(ここも)獲りたいし、タイトルだけではなくて、B2になっても1走1走変わらず走ります」

自身の“落ちた一年”を冷静に受け止めながらも、走りへの姿勢だけは決して変えないという強い決意を語っています。
その言葉どおり、今節のシリーズ戦でも、スタート・ターンともに高いレベルを維持し続けており、昨年のグランプリチャンピオンとしての貫禄あるレース内容が光っています。

目標は通算10回目のSG制覇 “ビッグ戴冠”へのあと一歩

今回のグランプリシリーズ優勝戦で毒島が狙うのは、単なるシリーズ優勝にとどまりません。
それは、ボートレーサーとして大きな節目となる「SGタイトル通算10回目」の戴冠です。

ボートレースにおけるSG(スペシャルグレード)は、選手にとって最高峰の舞台。
そのタイトルを10回も手にするというのは、長年第一線で結果を残し続けてきた証であり、ごく一部のトップ中のトップだけが到達できる領域です。

昨年はグランプリ本体を制して賞金王の座に輝いた毒島。 今年はフライングと長期休みで出場機会が減り、賞金ランキングでも苦しい立場に立たされましたが、それでも今節のシリーズ戦ではしっかりと準優勝戦をクリアし、優勝戦1号艇を自力で引き寄せました。

今シリーズを勝てば、強烈な苦難を味わった2025年を「SG10冠&シリーズV」という最高の形で締めくくることになります。
水面上で与えられた評価は来年B2級となっても、レース内容や結果で“真の実力”を証明し続ける姿は、多くのファンの胸を打つでしょう。

舞台はボートレース住之江 ナイター水面で光るテクニック

今節の舞台となっているボートレース住之江は、大阪市住之江区に位置するナイター専用場で、「住之江ナイター」の呼び名で親しまれています。
インが比較的強い傾向にある一方で、独特のうねりや水面コンディションの変化があり、スタート勘やターン技術が試される水面としても知られています。

SG第40回グランプリ/グランプリシリーズは、12月16日から21日までの6日間開催。
グランプリはトライアル1st・2ndを経てファイナルへと進む構成で、シリーズは予選~準優勝戦~優勝戦という流れで争われています。

公式サイトでは、出場レーサー紹介や番組構成、トライアル・シリーズの展望なども掲載されており、ファンは事前に各選手の近況や相性などをチェックしながら観戦を楽しむことができます。

シリーズ戦線の流れと他の注目レーサー

グランプリシリーズには、グランプリ本体出場には届かなかったものの、実力・実績ともに一級品の選手たちが多数参戦しています。
4日目終了時点でも、シリーズ準優勝戦に向けて激しいポイント争いが展開されました。

準優勝戦3レース(8~10R)には、モーターを仕上げてシリーズ上位をうかがう選手、地元住之江水面で一発を狙う選手など、個性豊かなメンバーが集結。
そうした中で、準優勝戦10Rイン逃げという最高の形で勝ち上がった毒島は、シリーズの“顔”として最終日に臨むことになります。

また、同じ住之江で同時開催されているグランプリ本体では、トライアル2nd最終戦(12R)で桐生順平が得点トップで1号艇という構図も注目を集めています。
グランプリとシリーズ、2つの頂上決戦が同じ水面で行われることにより、場内はまさにボートレース年間最大のクライマックスを迎えています。

落ちても走りは変わらない 毒島誠の“覚悟の2026年”へつながる一戦

毒島誠は、来年1月からB2級になりますが、「B2になっても1走1走変わらず走ります」と宣言しています。
階級が下がっても、スタートを全力で行き、ターンマークを全力で回るという基本姿勢は一切変えないという、レーサーとしての矜持がそこにはあります。

SGのタイトルホルダーがフライングと長期休みを経てB2級から再スタートを切るというのは、ボートレース界でも決して多くないケースです。
しかしそのぶん、来年以降、各地の一般戦やグレード戦で「B2の毒島誠」がどのような走りを見せるのか、多くのファンが注目することになるでしょう。

その新たなスタートを迎える直前の大一番が、今回の住之江グランプリシリーズ優勝戦です。
ここで10回目のSGタイトルを獲得できれば、「落ちた一年」を「大きな糧に変えた一年」として締めくくることができますし、たとえ結果がどうであっても、インから王者らしいレースを貫く姿勢そのものが、多くの人の心に残るはずです。

ナイター照明に照らされた住之江水面で、1号艇・毒島誠がどんなスタートを決め、どのようなターンで1Mを攻略するのか――。
そして、2025年を締めくくるビッグタイトル10冠目を自らの手でつかみ取ることができるのか。
ボートレースファン必見のシリーズ優勝戦となりそうです。

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