ロス五輪への第一歩「福岡国際マラソン2025」きょう12時10分号砲 細谷恭平・菊地駿弥らがMGC切符を懸けて挑む
福岡の冬の風物詩として知られる福岡国際マラソン2025が、きょう12月7日、福岡市・平和台陸上競技場発着コースで開催されます。スタート時刻は正午12時10分。来たるロサンゼルス五輪を見据えたMGCシリーズ2025-26男子G1の一戦として行われ、日本のトップランナーたちがロス五輪代表への第一関門となるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)出場権を懸けて走ります。
ロス五輪への「入口」となる重要レース
今大会の福岡国際マラソン2025は、単なる伝統レースにとどまらず、複数の大きな意味を持っています。
- MGCシリーズ2025-26男子G1大会として位置づけ
- 2026年名古屋アジア大会男子マラソン代表選考会を兼ねる
- 2028年ロサンゼルス五輪へ向かう選考レースの「第一歩」として実施
日本人選手にとって特に重要なのが、ロス五輪MGC(2027年開催予定)への出場権です。今大会では、
「2時間9分00秒以内」かつ「日本人6位以内」という条件を満たした選手が、ロス五輪MGCの出場権を獲得できます。
この基準をクリアすることで、将来の五輪代表選考レースに進むことができるため、選手にとっては「ここで外すわけにはいかない」大勝負の舞台となります。
舞台は福岡・平和台 伝統あるコースで正午12時10分スタート
大会の会場は、長年にわたり国内外の名ランナーを迎えてきた福岡市営平和台陸上競技場。スタートとフィニッシュは同競技場で行われ、市街地を巡るコースで実施されます。
- 大会名:福岡国際マラソン2025 ~MGCシリーズ2025-26男子G1~
- 開催日:2025年12月7日(日)
- スタート地点・フィニッシュ地点:福岡市営平和台陸上競技場
- スタート時刻:午後0時10分(12時10分)
12月上旬の福岡は、フルマラソンにとって比較的走りやすい気候になることが多く、過去にも2時間6~7分台の好記録が数多く誕生してきました。
今年もロス五輪を目指す有力選手たちがそろい、記録と勝負の両立が期待されています。
注目の日本人有力選手たち
細谷恭平「悲願の初優勝」と日本代表を誓う
今大会で最も注目を集める一人が細谷恭平(黒崎播磨)です。
細谷はこれまで福岡国際マラソンで上位に食い込んできた実力者で、2021年大会では2時間08分16秒で2位に入り、MGC出場権を獲得しています。
その後も安定して高いレベルで走り続け、2023年福岡国際マラソンでは2時間07分23秒・4位と、日本人トップ争いを演じてきました。
今回のレースに向けては各メディアで「悲願の日本代表を目指す」「今度こそ優勝を」という強い決意を語っており、地元・九州に拠点を置く実業団選手としても、特別な思いでスタートラインに立つことになります。
記事やインタビューでは、「ロス五輪へ向けたMGC切符をここで確実に取りにいく」という姿勢が繰り返し紹介されており、優勝とMGC獲得の“ダブル目標”で挑むレースとなりそうです。
2時間5分台の自己ベストを持つ菊地駿弥も初参戦
もう一人の注目選手が、菊地駿弥(中国電力)です。
菊地は自己ベスト2時間06分06秒(記事中で「2時間6分06秒」と紹介)を持ち、国内トップレベルの実績を誇るランナー。今大会が福岡国際マラソン初参戦となります。
メディアでは、「5分台を持つ細谷恭平、菊地駿弥らがMGCへ駆ける」として、高速ランナー同士の激しい競り合いが紹介されています。
菊地にとっても、ロス五輪に向けたMGCシリーズの大事な初戦となるだけに、積極的なレース運びが期待されています。
前回2位からの雪辱を期す西山雄介
西山雄介(トヨタ自動車)も見逃せない存在です。
西山は2022年オレゴン世界選手権男子マラソンで13位に入った経験を持つ国際派ランナーで、昨年の福岡国際マラソンでは2位に入りながらも優勝には一歩届きませんでした。
今大会では「雪辱を期す」形で再び福岡に乗り込み、世界選手権経験者としての底力を見せられるかが焦点となります。前回よりもさらに積極的にレースを進め、日本勢を引っ張る展開も考えられます。
ベテラン・鎧坂哲哉も存在感十分
長距離界で長く第一線を走ってきた鎧坂哲哉(旭化成)もエントリーし、「ベテランの味」に注目が集まります。
駅伝やトラックで多くの名勝負を演じてきた鎧坂が、福岡の伝統コースでどのようなレースを見せるのか、マラソンファンの関心を集めています。
国際招待選手も豪華 2度の優勝経験を持つギザエらが参戦
福岡国際マラソンは、毎年海外の有力選手が優勝争いを演じることでも知られています。
今大会の主な海外勢として紹介されているのは、次の選手たちです。
- イブラヒム・ハッサン(ジブチ)
└ 2023年の別府大分毎日マラソン優勝者 - ライモイ・ヴィンセント(スズキ/ケニア)
└ 国士舘大学出身、日本のレースをよく知るランナー。 - マイケル・ギザエ(スズキ/ケニア)
└ 2021年・2023年の福岡国際マラソン優勝者
特にギザエは、2021年大会で2時間07分50秒、2023年大会で2時間07分08秒と、いずれも高いレベルで優勝している福岡の「常連王者」です。
日本人選手にとっては、世界レベルのペースと勝負を経験できる貴重な機会でもあり、今大会でもレースの主導権を握る可能性があります。
これまでの福岡国際マラソンの歩みと日本勢の挑戦
福岡国際マラソンは、かつては「びわ湖」「別府」と並び、国内男子マラソンの主要大会として世界のトップランナーが集ってきた伝統レースです。
近年は大会の形態や位置づけを変えながらも、
- 世界で戦う日本人ランナーを育てる舞台
- 五輪・世界選手権へとつながる選考レース
として、長距離界にとって欠かせない存在であり続けています。
近年の日本勢の成績を振り返ると、
- 2020年大会:吉田祐也が2時間07分05秒で優勝、日本歴代9位の好記録
- 2021年大会:マイケル・ギザエが優勝、日本人トップは細谷恭平(2時間08分16秒・2位)でMGC出場権を獲得
- 2022年大会:イスラエルのマルテフェリが優勝、日本勢も2時間8分台で粘る
- 2023年大会:ギザエが再び優勝し、細谷が4位で2時間07分23秒をマーク
こうしてみると、細谷恭平はすでに「福岡に強い」日本人エースの一人と言えます。
その細谷が、今年は「優勝」と「ロス五輪MGC切符」という二つの目標を掲げて挑むことからも、今大会にかける意気込みの強さがうかがえます。
MGCとは? ロス五輪代表への道筋
ニュースの中でたびたび登場するMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)は、日本陸上競技連盟が行うオリンピック代表選考レースです。
仕組みを簡単に整理すると、
- 対象期間中の指定大会(MGCシリーズ)で設定記録や順位条件を満たした選手が、「MGC出場権」を獲得
- MGC本番(1レース)で、上位に入った選手がオリンピックマラソン日本代表に内定
今回の福岡国際マラソン2025は、この「MGCシリーズ2025-26」の男子G1大会のひとつであり、
「2時間9分00秒以内」かつ「日本人6位以内」の条件をクリアした選手が、2027年開催予定のロス五輪MGCへの出場権を得ます。
このため、選手たちは単に上位に入るだけでなく、タイムも意識しなければならないという難しいレース運びを求められます。
気温や風などのコンディション、外国勢のペース、日本人同士の駆け引きなど、さまざまな要素がからみ合う中で、誰が基準を突破するのか大きな注目です。
市民やファンが楽しめるポイント
テレビやネット速報、現地観戦でレースを楽しむ方に向けて、観戦のポイントをいくつか挙げてみます。
- レース序盤(~20km):外国勢を含む先頭集団のペースと、日本人有力選手がどの位置で様子を見ているかに注目
- 中盤(20~30km):ペースメーカー離脱後、誰が主導権を握りにいくか。細谷・菊地・西山らの表情や動きがカギ
- 終盤(30km以降):MGC基準(2時間9分00秒以内)から逆算し、「あと何分でゴールしなければならないか」を意識して見ると、タイム争いの緊張感がよく伝わる
- 日本人6位ライン:トップ争いだけでなく、「6位前後」の争いもMGC権獲得に直結するため非常に重要
中継や速報サイトでは、ラップタイムや通過順位が細かく伝えられます。
マラソンにあまり詳しくない方も、「2時間9分00秒以内」と「日本人6位以内」というキーワードを頭に入れておくと、レースの意味合いがよりわかりやすくなるはずです。
ロス五輪を目指す若手・中堅世代の「世代交代レース」にも
今回の福岡国際マラソンには、20代後半から30代前半の脂の乗った世代が多くエントリーしています。
五輪や世界選手権を経験してきた選手に加え、ここ数年で急成長を遂げたランナーも増えており、
- これまでの実績を持つ選手が順当にMGC権をつかむのか
- 新たなスター候補が一気にブレイクするのか
という意味で、「世代交代」の行方を占う一戦と見ることもできます。
細谷恭平のように、すでに福岡で高い実績を持ちながら、まだ五輪代表には届いていない選手にとって、今回のレースはまさに「悲願」への挑戦。
一方、菊地駿弥のような高い自己ベストを持つランナーが、福岡の舞台で初めてどのような走りを見せるかも楽しみなポイントです。
福岡から世界へ――ファンとともに歩む長距離ロードの伝統
福岡国際マラソンは、多くの市民ボランティアや沿道の声援に支えられてきた大会です。
選手にとっては厳しい勝負の場である一方、地元にとっては「応援する喜び」を感じられる年末のイベントでもあります。
ロス五輪まであと数年。
その長い道のりの「第一歩」が、きょう正午12時10分、平和台陸上競技場から踏み出されます。
誰がレースを制し、誰がMGCへの切符をつかむのか。
そして、福岡からどんな新たな物語が生まれるのか――。
日本長距離界の未来を占う大一番から、しばらく目が離せません。



