高知競馬の2歳頂上決戦「金の鞍賞」 クスダマ中心も上位拮抗の一戦に注目集まる
高知競馬の年末を飾る2歳馬の重賞「金の鞍賞」が、高知競馬場ダート1400メートルで行われます。高知所属2歳のナンバーワン決定戦として位置づけられる伝統レースで、ここをステップに翌年の高知三冠へ羽ばたいていく馬も多い重要な一戦です。
2025年の金の鞍賞は、有力馬がひしめく上位4頭中心の混戦ムードと見られていますが、その中でも8戦オール連対という安定感で注目を集めるクスダマが一歩リードとの評価が高まっています。
金の鞍賞とはどんなレースか
金の鞍賞は、高知競馬場で行われる2歳馬限定の重賞競走で、高知の若駒路線における最重要レースのひとつです。
距離はダート1400メートル、高知競馬場のタフな馬場と独特のコース形態を舞台に、スピードだけでなく持久力や操縦性、精神面の強さも問われます。
このレースは「高知2歳王者決定戦」と言われ、好走した馬が翌年の高知三冠戦線や他場交流戦で活躍するケースも多く、若駒の出世レースという位置づけです。
また、2025年シーズンは全日本的な2歳・3歳ダート戦線を盛り上げる「ネクストスター高知」とも関わりが深く、その勝ち馬が直結するステージとしても注目されてきました。
2025年金の鞍賞の位置づけと展開ムード
2025年の金の鞍賞は、当初「エンドレステイル」の参戦が見込まれ、一強ムードとの見方もありましたが、同馬が出走を自重したことで、一転して混戦模様のレースとなりました。
主役候補が不在となったことで、力差が接近した有力馬たちにとってはタイトル奪取の大きなチャンス。ファンや関係者の間では、どの馬が頭ひとつ抜け出すのか、予想の難しいレースとして話題になっています。
なかでも、安定した戦績で評価を高めているクスダマと、巻き返しを期すジョウショーボビーという同厩舎の2頭を軸に、その他の有力馬がどう絡んでくるかが、大きな焦点となっています。
クスダマ ― 8戦オール連対の安定感で一歩リード
最も注目されているのが、印◎に推されているクスダマ(牡・雑賀正光厩舎)です。
ここまでの戦績は8戦すべてで連対(2着以内)という抜群の安定感を誇り、高知2歳路線の中でもっとも信頼できる存在の一頭と見られています。
前走では初めて古馬(年上)の馬たちとの対戦に挑み、年長馬を相手にしながらも2着を確保。
道中でややモタつく面を見せる場面もありましたが、それでも最後までしっかり脚を使い、重賞につながる貴重な経験を積んだと評価されています。
予想陣は「今回も好勝負必至」としており、なかには中心視する声も少なくありません。
安定した先行力と終いの踏ん張り、そして実戦経験の豊富さから、金の鞍賞でも勝ち負けの最有力候補といえるでしょう。
ジョウショーボビー ― 主役交代を狙う逆襲候補
もう一頭、クスダマと同じ雑賀正光厩舎のジョウショーボビー(牡)も、上位争いに名を挙げられている有力馬です。
予想印では○の評価を受けており、「主役クスダマに対する最大の刺客」という見方もあります。
陣営も、ここまでの戦績やレースぶりからポテンシャルの高さを評価しており、まだ前進気勢に欠ける面はあるものの、能力的にはクスダマに迫るものがあると見ています。
これまでのレースでも、相手なりに走れるセンスを見せており、折り合いさえつけば一気の逆転劇も期待される一頭です。
同厩舎の2頭出しとなる今回、レース前から「どちらが厩舎の真のエースなのか」という点にも注目が集まっています。
クスダマが実績面でリードしている一方、成長途上のジョウショーボビーがここで一気に主役の座を奪うのか、ファンにとっても興味深い構図となっています。
サンフラワームーン ― 近走成績以上に怖い存在
印▲に推されているのが、サンフラワームーン(牝・打越勇児厩舎)です。
近3走の着順だけを見れば「大きな着順」に終わっているため、数字の上ではやや不振に映りますが、予想陣は明確な敗因があったレースが多いと分析しています。
例えば、展開が向かなかったり、馬場状態や枠順の影響を受けたりと、能力を出し切れなかったレースが続いており、「力負けではない」という評価です。
牝馬ながら高知のタフな条件に対応できるパワーを備えている点も強調されており、人気が落ち着くようなら配当妙味も含めて注意が必要な一頭といえます。
トサノシュジンコウ ― 間隔をあけて立て直し、改めて注目
続いて、△評価を受けているのがトサノシュジンコウ(牡・工藤真司厩舎)です。
ここまでやや伸び悩み気味の戦績ではあるものの、今回に向けて少し間隔をあけて再調整されたことで、状態面の上積みが期待されています。
予想コメントでは「スケール感では他馬に見劣らない」とされており、馬体や走りのフットワークから、重賞でも通用しうる素質を持った1頭と評価されています。
これまで噛み合わなかった条件や展開が、金の鞍賞で好転すれば、上位勢に割って入るシーンも十分に考えられるでしょう。
キッサキ ― 大敗からの巻き返しを期す伏兵
一方で、×印ながら穴として名前が挙がっているのが、キッサキ(牡・田中守厩舎)です。
前走は大きく敗れてしまったため、成績表だけを見ると評価を落としがちですが、そのレースでは内枠で展開の不利を受けたことが指摘されています。
今回は大外枠に替わり、さらに主戦騎手が再び手綱を取る見込みとなっていることから、「条件が大きく好転した」との見方もあります。
リズム良く運べれば、前走から一変して上位争いに加わる可能性もあり、馬券的には押さえておきたい存在といえるでしょう。
上位4頭が中心も、隊列とペースが鍵
このように、クスダマ・ジョウショーボビー・サンフラワームーン・トサノシュジンコウの上位4頭を中心とした構図となっている一方で、展開次第ではキッサキのような伏兵が台頭する可能性も指摘されています。
とくに高知の1400メートル戦は、序盤の位置取りとペース配分が結果を大きく左右します。
先行争いが激しくなれば、脚を溜めた差し・追い込み勢の出番が回ってきますし、逆に淡々とした流れになれば、前に行った馬がそのまま押し切るケースも珍しくありません。
クスダマは先行しても差しても対応できるレースセンスの高さが強みとされており、展開に左右されにくい点も「一歩リード」とされる理由のひとつです。
陣営の思惑 ― 厩舎同士・馬同士の“静かな駆け引き”
金の鞍賞は、単にタイトルを争うだけでなく、各陣営の思惑が交錯する舞台でもあります。
とくに複数頭を出走させる厩舎の場合、それぞれの馬の適性や成長度合いを見極めつつ、翌年以降のローテーションも視野に入れながらレースに臨むことになります。
雑賀正光厩舎のクスダマとジョウショーボビーの2頭に関しては、「どちらも将来的に楽しみな素材」であり、ここでの走り次第で今後の路線や目標レースの組み立てに影響してくることは間違いありません。
また、打越勇児厩舎や工藤真司厩舎、田中守厩舎といった高知の実力厩舎にとっても、2歳重賞で存在感を示すことは、翌年以降の勢力図を占ううえで重要な意味を持ちます。
レース当日、パドックでの気配や返し馬の雰囲気などから、陣営の仕上げ具合や勝負気配を読み取ろうとするファンも多く、「誰が・どの馬が本気で獲りに来ているのか」という観点でも注目が集まる一戦です。
ファンの注目ポイント
- クスダマの8戦オール連対がどこまで続くか ― 重賞タイトルを手にして、名実ともに世代の頂点に立てるかが最大の焦点です。
- ジョウショーボビーの逆襲 ― 成長途上の素材が、一気に主役の座を奪う走りを見せるかどうか、厩舎内の力関係にも注目が集まります。
- サンフラワームーンの巻き返し ― 近走成績だけでは測れないポテンシャルを、ここで発揮できるかが鍵です。
- トサノシュジンコウの立て直し効果 ― 間隔をあけた再調整がプラスに働けば、上位争いに加わる可能性は十分です。
- キッサキの一変 ― 条件好転で、前走大敗からの巻き返しがあれば、配当面でも大きなインパクトを与える存在となるでしょう。
こうした見どころが重なり合い、2025年の金の鞍賞は、単なる一つの重賞を超えた「高知2歳世代の勢力図を映し出すレース」として、大きな注目を集めています。
レースの結果次第では、翌年度の重賞戦線や三冠路線の主役候補が、ここから新たに浮かび上がってくることになりそうです。



