クレモネーゼ対ユヴェントス ― スパレッティ新体制で挑むセリエA第10節プレビュー

2025年11月1日、イタリア・セリエA第10節が行われ、ユヴェントスはアウェーでクレモネーゼと対戦します。今回の試合は単なる1戦にとどまらず、名将ルチアーノ・スパレッティ新監督の初陣として、クラブの今後を占う重要な一戦となります。
ユベントスはここ数シーズン、首位争いから遠ざかり、再び輝きを取り戻すため、大きな決断を下しました。本記事では、監督交代の経緯、スパレッティ監督のキャリアや戦術、現状のチーム状況、クレモネーゼとの注目ポイント、そしてセリエA上位争いの展望も交えて、わかりやすく解説します。

スパレッティ新監督就任の背景と期待

2025年10月30日、ユヴェントスは正式にルチアーノ・スパレッティ氏(66)の新監督就任を発表しました。契約期間は2026年6月30日まで。さらに、来季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を獲得した場合は自動延長されるオプションも含まれていると報じられています。

直前まで指揮を執っていたイゴール・トゥドール監督は、公式戦8試合を未勝利(5分3敗)と苦しみ、チーム状態の悪化を受け27日に解任されました。暫定的にマッシモ・ブランビッラ監督が指揮を執り、29日にようやくウディネーゼ戦で3-1と勝利、約9試合ぶりに白星を獲得したばかりでした。

  • スパレッティ氏は、エンポリ、ウディネーゼで評価を高め、ローマではコッパ・イタリア2度制覇。
  • インテル、ナポリといった名門を率い、ナポリでは2022-23シーズンに33年ぶりのリーグ優勝を達成。
  • 2023年にはイタリア代表監督に就任するも、ワールドカップ予選不振で2025年6月に解任。

就任記者会見でスパレッティ監督は、「スクデット(リーグ優勝)をユヴェントスにもたらしたい」と高らかに宣言、ファンとクラブから大きな期待が寄せられています。

現在のユヴェントス ― チーム状況と再建への課題

2025年10月末時点のユヴェントスは、セリエA7位。CL出場圏内の4位とは勝ち点3差に迫っているものの、本来のユーヴェらしい安定感や攻撃の鋭さは影を潜めています。
新シーズン開始以降、主力の負傷や戦術的混乱もあり、攻守両面でのバランスが崩れがちでした。暫定監督ブランビッラ体制でのウディネーゼ戦の勝利を受け、スパレッティ新監督はチームを最短で立て直しつつ、自らの哲学を浸透させていく必要があります。

  • 直前9試合の成績:1勝5分3敗
  • トゥドール前監督解任後、クラブとして5人目の監督
  • 攻守の切り替えに課題、決定力不足も指摘されている

クラブは公式コメントで、「このような専門知識と経験を持つコーチをビアンコネロファミリーに迎えられてたいへんうれしい」とし、再建への自信の表れを見せています。

スパレッティ監督の戦術と哲学 ― ユヴェントスに何をもたらすのか

数々のビッグクラブを率いてきたスパレッティ監督は、確かな戦術眼と柔軟なマネジメント力で知られています。特に注目されるのは「ゼロトップシステム」の考案者としての顔で、FWに真のターゲットマンを置かず、中盤や2列目の選手が柔軟にポジションを入れ替えながら攻撃を仕掛けるスタイルを特徴とします。

  • イタリア国内外でのタイトル獲得経験、選手の特徴を活かした柔軟なシステムが評価される
  • 中盤の強度と流動的な攻撃を軸に、守備でも組織的な連動を重視
  • ユヴェントスの伝統である堅守速攻に、現代的なポゼッションフットボールを融合させる可能性

就任会見でも、「8カ月の契約でも全力を尽くす。セリエA制覇のためにここに来た」と強調し、就任初戦となる今回のクレモネーゼ戦を新たな出発点と位置付けています。

クレモネーゼとの対戦 ― 初陣の注目ポイント

クレモネーゼはユヴェントスにとって侮れない相手です。昇格組ながら粘り強い守備と献身的なランニングを武器に、いくつかの強豪相手に善戦してきました。
予想される展開としては、守備を重視するクレモネーゼに対し、スパレッティ監督がどれだけ早く自身の戦術をフィットさせられるかが鍵です。

  • ユヴェントスはポゼッションを高め、試合を支配することが求められる
  • クレモネーゼはカウンターやセットプレーでの一撃に要警戒
  • スパレッティ新体制でのスタメンや選手起用法にも注目

特に、中盤の構成と守備の切り替えが重要なポイントとなりそうです。スパレッティ監督の“チーム再生力”が、就任初戦から見られるかに期待が集まります。

セリエA上位争いの展望 ― ユヴェントスは復活なるか

2025-26年シーズンのセリエAは混戦模様です。ユヴェントスは現在7位とやや苦しい位置にありますが、首位との差は決して絶望的ではありません
今季はミランやローマ、ナポリといった強豪による上位対決も多く、ユヴェントスとしては直接対決での勝利、下位クラブからの取りこぼし防止が必須条件となります。

  • 主要ライバル:ミラン(昨季から上位定着)、ローマ(安定感向上)、ナポリ(連覇狙う)
  • ユヴェントスの強み:組織力、経験豊富な主力選手、伝統的な勝負強さ
  • 課題:連係面の改善、新監督体制下でのメンタル強化、若手・新戦力の起用バランス

スパレッティ氏自身が「スクデット争いに復帰したい」と語っているように、ここからの浮上が大きな目標となります。早期の成績安定により来季CL出場権の自動更新にも期待がかかります。

まとめ ― ユヴェントス再建、スパレッティ体制の船出

「私はセリエA優勝のためにここに来た。」
――ルチアーノ・スパレッティ新監督

強豪ユヴェントスが名将スパレッティ監督のもと、復権への第一歩を踏み出します。直近数年苦しんできた伝統クラブに新たな風が吹き込まれ、サポーターからも再生への熱い声援が寄せられています。
クレモネーゼ戦は単なる一戦ではなく、「スパレッティ体制の船出」として、今季のセリエA躍進に向けた重要なターニングポイントとなるでしょう。
イタリアサッカーの新たな激戦を予感させるこの試合に、注目が集まります。

参考元