ジェレミー・リン、NBA現役引退を発表 ~“リンサニティ”から15年の軌跡~
NBAと世界に衝撃を与えた“リンサニティ”の主人公がバスケットボール界から旅立つ
2025年8月31日、ジェレミー・リンが現役引退を正式に発表しました。彼がプロバスケットボール選手として築き上げたキャリアは、約15年にも及びます。ハーバード大学卒業後の2010年、NBAデビューを果たした彼は、翌年のニューヨーク・ニックスで歴史的なブーム“リンサニティ”を巻き起こし、世界中のバスケットボールファンの心に強烈な印象を残しました。
ハーバード大学からNBAへ~異例の道のり~
ジェレミー・リンは、アジア系アメリカ人として初のハーバード大学出身NBAプレイヤーでした。2010年のNBAドラフトで指名されなかったものの、度重なるトライアウトとサマーリーグ参加を経て、地元であるゴールデンステイト・ウォリアーズと契約を結びプロデビュー。この時点で彼がアメリカのバスケットボール界において多様性の象徴となることを、自身も、周囲もまだ予想していなかったでしょう。
ニューヨーク・ニックスでの“リンサニティ”爆発~奇跡の数週間~
2011-12シーズン、ニューヨーク・ニックスへの移籍が決まると、リンの運命は大きく動き出します。チームの怪我人が相次いだことから、ローテーションに入ると、2月4日のニュージャージー・ネッツ戦で25得点を記録。そこから約2週間、リンは圧倒的な活躍を続け、無名の控えガードが連日メディアのトップを飾る“リンサニティ”という社会的ムーブメントにまで発展しました。「NBA史上最も胸躍る瞬間」と称されるほどの旋風でした。
- 連続20得点以上(7試合連続)
- リンの活躍でニックスは連勝街道を駆け上がった
- アジア系アメリカ人初のNBAスターダム入り
- ソーシャルメディアでも彼の名前がトレンドの常連に
リンの物語は、単なるスポーツの枠を超え、夢や人種の壁を乗り越えて世界中の若者たちに勇気を与えました。
NBAキャリアの足跡 ~幾多のチーム遍歴、そして世界へ~
“リンサニティ”以降もジェレミー・リンはNBAで存在感を放ち続けました。ヒューストン・ロケッツ、ロサンゼルス・レイカーズ、シャーロット・ホーネッツ、ブルックリン・ネッツ、アトランタ・ホークス、そして2019年にはトロント・ラプターズでNBAチャンピオンを経験します。
- NBA通算成績
- 出場試合数:480
- 平均得点:11.6得点
- 平均アシスト:4.3アシスト
- 平均リバウンド:2.8
- FG成功率:43.3%
- スリーポイント成功率:34.2%
- フリースロー成功率:80.9%
それぞれのチームで、リンは自身の役割を柔軟に受け入れ、主力にも控えにもなりながら、常にチームを支え続けてきました。NBAという厳しい舞台で15年間プレーを続けたその意志と努力は、バスケットボール界全体から高く評価されています。
海外での挑戦~中国・台湾で続いた“バスケ人生”~
NBAを離れた後もジェレミー・リンは現役を続けました。2019年、中国・CBA(北京首鋼籃球倶楽部)に入団し、続いて台湾でもプレー。異国の地でも多くのファンに支持され、アジアのバスケットボール文化の発展に大きく貢献しました。
- 中国では絶大な人気を誇りスター選手として活躍
- 台湾・新北キングス所属時は指導者的役割も担う
- アジア系バスケットボール選手のロールモデルとして活動
日本や中国、台湾を含む東アジアのバスケットボールファンにとって、ジェレミー・リンの存在は希望や誇りの象徴となりました。
「野生の子供時代の夢をすべてかなえた」~リンが語る引退の決意~
引退表明の際、ジェレミー・リンは「野生の子供時代の夢をすべてかなえることができた」と語っています。NBA入り自体が難関中の難関である北米スポーツ界で、彼が作った“リンサニティ”は、挑戦と夢の象徴でした。彼のキャリアは、スポーツマンだけでなく、多様なバックグラウンドを持つ人々に勇気を与えています。
ジェレミー・リンがNBAと社会にもたらしたもの
- 多様性と包摂性:アジア系アメリカ人としてNBAでトップ選手に成長
- 夢と挑戦:苦難を乗り越える姿は多くの子供たちに影響
- 社会現象の創出:“リンサニティ”を通じてNBAの新時代を切り開く
- 世界のバスケットボール界へ貢献:アジア各国での活動や発信が競技発展に寄与
SNSでファンにメッセージを~惜しまれる引退に世界中から感謝と賛辞~
ジェレミー・リンは自身のSNSでも引退を発表し、世界中のファンへ感謝のメッセージを送りました。彼の投稿には、NBA関係者や各国のファンから惜しみない賛辞や感動の声が集まりました。
これからのジェレミー・リン~新たな挑戦と旅立ち~
今後の活動については明言されていませんが、リンはすでに指導や社会貢献活動、スポーツ界の発展にも強い関心を示しています。彼がバスケットボールを通じて世界の垣根を壊したという功績は消えることはなく、これからも彼は多くの人々の記憶と心の中で生き続けるでしょう。
まとめ:希望と挑戦の象徴、ジェレミー・リン
ジェレミー・リンが現役生活にピリオドを打つことは、NBAだけでなくバスケットボール界全体、さらにはグローバルなスポーツ文化の歴史に残る大きな出来事といえます。彼の掲げた”夢の実現”は、今後も世界中の若者たち、スポーツを愛する全ての人々の心に響き続けるでしょう。