渋野日向子が涙の出場権獲得 米女子ゴルフ予選会で31人がツアーへ
米国女子プロゴルフツアー(LPGA)の来季出場権をかけた最終予選会「LPGAQシリーズ」が、霜の影響による中断を経て2025年12月8日から9日にかけて開催されました。日本の女子ゴルファーたちが活躍した本大会で、渋野日向子選手が涙ながらに出場権獲得を果たし、櫻井心那選手も見事に通過するなど、日本勢の躍動が光りました。
苦しい状況での決死の戦い
渋野日向子選手は、今シーズンをポイントランク104位という成績で終えており、2025年シーズンは本人にとって極めて厳しい1年となっていました。この低迷を脱するため、最終予選会への出場を決断し、4日間にわたる長期の競技に臨みました。
最終ラウンドは悪天候の影響を受け、2時間の遅延スタートとなりましたが、渋野選手は気持ちを落ち着かせて集中力を保つことに成功しました。競技終了時点ではボーダーラインとなるトータル4アンダー・22位タイの成績でフィニッシュし、何とか出場権獲得圏内へ滑り込みました。
「落ちるところまで落ちた…這い上がるだけ」というコメントからは、苦しい状況の中での決死の思いが伝わってきます。競技終了後、渋野選手は「なんとかギリギリ、通ってよかったです」と涙ながらに語り、長く厳しい戦いを通過した喜びが全身から溢れ出ていました。
4年ぶりの予選会出場
今回の予選会出場は、米国への挑戦をかけて臨んだ2021年以来4年ぶりのことです。当時、渋野選手は「もうここには戻ってこない」と決意していましたが、その思いが叶わないまま、再び予選会への出場が必要となってしまいました。
しかし、このピンチを機に、オフシーズンにはトレーニングで汗を流すほか、「もっと再現性の高いスイング」を作ることなどを目指す計画を立てており、来シーズンへの強い覚悟が感じられます。
櫻井心那選手が15人目の日本人メンバーに
同じく日本を代表する若手ゴルファーである櫻井心那選手は、予選会を10位で通過し、来季のLPGA出場権を確実にしました。この快挙により、櫻井選手は来季の日本人米ツアーメンバーとして15人目となり、日本女子ゴルフ界の一角を占める存在へと成長しました。
櫻井選手は22ホール目で「連続バーディ締め」という素晴らしいプレーを見せ、2位に浮上して最終日へ進出。その後の最終ラウンドでも安定したプレーを披露し、「これから忙しくなる…らしいです」とコメントするなど、来季への期待感に満ちた表情を見せていました。
西村優菜選手も出場権獲得
さらに、西村優菜選手も涙の出場権獲得を果たし、日本勢3人による同時通過という快挙が実現しました。
31人がツアーへ 新しいカテゴリーでの戦いへ
今回のLPGAQシリーズでは、合計31人の選手がツアー出場権を獲得しました。渋野選手を含む予選通過選手は、「カテゴリー15」という優先出場順位に配属されることになります。
このカテゴリーでは、春のアジアシリーズ参戦は難しく、初戦は3月以降になる見込みとなっています。LPGA公式サイトも「渋野はLPGA復帰」「マラソンウイークを経て31人がツアーへ」として、この重要な予選会の結果を報道しました。
予選会の開催状況
本大会は当初4日間の予定でしたが、初日が1日順延されたため、実質的には6日間をかけて4ラウンドするという異例の日程となりました。また、第3ラウンド中には5時間超の中断が発生し、最終ラウンドでは霜によるコースコンディション不良により2時間の遅延スタートとなるなど、自然環境との戦いも強いられました。
渋野選手は、この困難な状況について「中止になった初日含め)6日間をかけて4ラウンドするのはなかなないこと。気持ちを落ち着かせるのが大変だったけれど、試合は集中してできたと思うし、この経験を生かせるといいなと思う」とコメントしており、苦しい経験を成長の糧にしようという前向きな姿勢が垣間見えます。
来季への期待と課題
渋野選手のオフシーズンには「やることがたくさんありすぎる」と本人が語るほど、改善すべき課題が多く残されています。しかし、今回の予選会を通過したことで、来季へのモチベーションは最高潮に達しているはずです。
3人の日本人選手がそろって出場権を獲得したことは、日本女子ゴルフ界にとっても大きなニュースとなります。来季のLPGAツアーでの活躍が今から期待されており、特に渋野選手の復帰戦はゴルフファンから大きな注目を集めることになるでしょう。
終わりに
「落ちるところまで落ちた…這い上がるだけ」という渋野選手の言葉は、スポーツ選手の真摯な姿勢を象徴しています。厳しいシーズンを経験した渋野選手、躍進を遂げた櫻井選手、そして出場権を獲得した西村選手。日本の女子ゴルファーたちの来季での活躍に、期待の目が注がれています。




